ドクター牧瀬のアトピー性皮膚炎完治療法ガイド


③ブラダーラック(ヒバマタ、ケルプ):500mg~600mg/日

緑褐色の海草で水温の低い海域に自生し、北欧などではシチューにも使われます。ヨウ素、亜鉛、カリウムといったミネラルが豊富に含まれています。

アトピーの患者さんを観察していると、非常に多くの人が便秘気味で、体温が36度を切る場合が多いのです。これは甲状腺機能が普通の人よりも良くないことを示します。

もっとも、その90パーセント以上の人が、血液検査では甲状腺機能低下を示す結果はでてきません。正常範囲だけれども下限ぎりぎりが多いのです。したがって、何も治療しなくてよいということになるのですが、現実には甲状腺機能が低下気味なのです。

そこで自然なハーブであるブラダーラックでヨウ素を補い、甲状腺機能をたかめることが望まれます。便秘解消にも効果があります。また亜鉛も豊富に含まれていますから、皮膚の再生にも役立ちます。

サプリメントとしては値段も安いので是非、とられることをおすすめします。痩身にも効果があることがあります。ただし、甲状腺機能亢進症や妊娠中、授乳中の人はひかえてください。

④ビオチン(ビタミンH):1mg~2mg/日(μgでないことに注意)

ビタミンHとも呼ばれるのは、このビタミンがネズミの皮膚炎を防止することをドイツ人が発見し、ドイツ語の皮膚HautのHにちなんだからです。これも水溶性のビタミンB群に属します。

ビオチンの最大の役目は、α-リノレン酸からEPA(エイコサペンタンエン酸)や良性のエイコサノイドであるプロスタグランジンE3の産生を促すことです。

EPAはアラキドン酸から悪性のエイコサノイドが代謝されるのを阻害します。つまり炎症を防ぐということです。

次は、ヒスチジンという一種の必須アミノ酸を体外に排出させる働きがあります。このヒスチジンから脱炭酸酵素によって、かゆみを引き起こすヒスタミンが代謝されてきます。

つまりビオチンはかゆみのもとになる化学物質の生成を阻害するというわけです。さらに、ビオチンは皮膚の基底細胞の下にある毛細血管を丈夫にして血流を増し、新しい皮膚の生成を促します。

また、そのせいか、ささくれだった爪にも効きます。馬の蹄を強くするために、昔から獣医はこのビオチンを使っていました。アトピーではありませんが、皮膚疾患の掌蹠膿疱症にも効果があります(この場合は日に9mg~12mg)。

乳児では腸管が未発達のため、ビオチンの産生や吸収が少なくなり、不足することがあります。特に人工栄養児の場合、日本の粉ミルクはアメリカのそれと比べて、ビオチンの添加量が少なく、非常に懸念されています。

日本の乳児にアトピーが多いのは、粉ミルクにビオチンが十分に添加されていないのが原因だという先生がいるほどです。「おむつかぶれ」にも効果があります。

ビオチンは水溶性ですので摂り過ぎによる過剰症は心配しなくていいと考えてはいけません。意外な落とし穴があるのです。それは、今、CoQ10とともに話題になっているα-リポ酸との関係です。

ビオチンとα-リポ酸は化学構造が似ているため、一方を取りすぎると、片方が相対的不足をおこすのです。

したがって、ビオチンを治療のために大量に摂るときは、α-リポ酸も補ってやらなければいけません。ビオチンとともに、日に300mg~600mgのα-リポ酸も摂ってください。

またビオチンが有効に働くにはマンガンが必要です。日に3~4ミリグラムは必要ですが、普通の食生活をしていては不足することはまずないとされています。

しかし、カルシウムを大量に摂取するとマンガンの吸収が阻害されます。何かの理由でカルシウムのサプリメントを摂っている人は、気をつけたほうがいいでしょう。また、マンガンは「愛情のミネラル」あるいは「愛情の塩」とよばれることがあるように、特に授乳期の女性には必要なミネラルです。

したがって、授乳期の女性、あるいは離乳までいっていない赤ちゃんがアトピー症状を呈している場合、積極的に補うことがすすめられます。

また、「5.乾燥肌」で述べたセラミドの生成にはマンガンは必須です。そこにも書いたように、パイナップル・ジュースのコップ1杯には、マンガンが3ミリグラム含まれていますから、毎日、飲んでください。


また、マンガンは甲状腺ホルモンの生合成にも必要不可欠です。

特に最近、若い女性に、いわゆる「隠れ甲状腺機能低下症」の人が多く観察されます。体温が36度を切る。便秘ぎみ。いつもボーッとしていることが多く、だるい。脈が遅い。肥満とまではいえないが、ずんぐりとしてきた。しかし血液検査ではまったく異常なし。甲状腺の機能の異常は、低下でも亢進でも、アトピーを悪化させます。

ビオチンは次のような人に不足します。

透析を受けている人、抗生物質を服用している人、それからα-リポ酸だけを摂っている人、それに卵白を非常に多く摂る人(ボディビルダーで、卵の黄身を取り除き白身だけでタンパク質のシェークをつくる人がいるようです。黄身を取り除くのは余分なコレステロールをとるためです。

そのシェークを毎日飲む場合、卵のところに書きましたように、卵白に含まれているアヴィディンというタンパク質がビオチンと結合して吸収を邪魔するのです)、そして、長期間にわたって睡眠誘導剤、抗うつ剤、抗てんかん薬などを服用している人です。これは重要で、意外と認識されていません。

アトピー患者さんには心の問題をかかえている人がけっこう多いので、こういう薬を長年のんでいる方がおられます。そして、こういう薬がビオチンの吸収や細胞への取り込みを阻害して、アトピー症状を悪化させていることに気づかないでいるのです。

特に構造式にカルバミド基やウレイド基をもつ向精神薬には注意してください。このへんは専門的になりますので、まずそういった薬を処方している先生に聞いて、確かめてください。

ビオチンは最低3ヶ月は続けてください(掌蹠膿疱症の場合、その倍ほどの期間)。それで症状に変化がなければ、ビオチン不足ではなかったということです。

そして、ビオチンを摂る場合は、α-リポ酸、マンガンを補うためのコップ1杯のパイナップル・ジュースを飲み、ビフィズス菌の多いヨーグルトをひかえ、卵白をとらず、抗精神薬、抗生物質も避け、そして必ず禁煙です。そうでなければ、ビオチンは有効に働きません。

またあとに述べる宮入菌と相性がいいので、同時に摂ることもすすめられます。

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