ドクター牧瀬のアトピー性皮膚炎完治療法ガイド

いよいよアトピーの主な症状であるかゆみと炎症は治った。しかし、乾燥肌だけはなかなか治らない。そのため、保湿にどうしてもワセリンや保湿クリームが手放せないという患者さんはずいぶんおられます。

皮膚の構造を簡単に書きますと下のようになります。皮膚の一番上にあるのが角層で、ここには、ケラチン線維を充満させた角化細胞があります。この角質細胞にあるセラミドという脂質の一種は水分保有能力が非常に高いのです。しかし、アトピー患者さんの皮膚は、セラミドの量が少なく、その代わりにスフィンゴシルフォスフォリルコリン(SPC)やグルコシルスフィンゴシンという水分保有能力の低い脂質でいっぱいになっているのです。

特にSPCが増加すると角層が固くなり簡単な刺激で傷がつき、バリア機能 が失われてしまうのです。

セラミドは表皮基底層の有棘層や顆粒層で、アミノ酸の一種であるセリンとパルミトイルCoAから合成されて出来てきます(代謝図を参照してください)。その後、グルコシルセラミドや スフィンゴミエリンとして蓄積されたのち、角質最下層で細胞外に排出されます。

角質細胞間でグルコセレブロシダーゼまたはスフィンゴエミリナーゼにより再度セラミドに変換され、他の細胞間脂質と共に微細な薄い膜(ラメラ)構造をつくります。これが保湿に大切なのです。

そして、セラミダーゼによってセラミドはスフィンゴシンと脂肪酸に加水分解されます。老人性乾皮症の場合、このセラミダーゼの活性が加齢とともに非常に増加するために、セラミドの減少がおこり、皮膚が乾燥するのです。

しかし、アトピーでは、セラミダーゼやスフィンゴミエリナーゼ、βグルコセレブロシダーゼの活性には異常はありません。

アトピーにおいては、グルコシルセラミドアシラーゼの活性が高く、そのためグルコシルスフィンゴシンが増加しています。また、βグルコセレブロシダーゼが、異常に高い活性のグルコシルセラミドアシラーゼと競合し、グルコシルセラミドから代謝されるはずのバリア機能に最も大切なアシルグルコシルセラミドの生成を減少させてしまいます。

さらに、スフィンゴミエリンデアシラーゼの活性が正常よりも異常に高くなっており、スフィンゴミエリナーゼと競合し、セラミドよりスフィンゴシルフォスフォリルコリンの方を合成してしまいます。

つまり(a)と(b)の経路が亢進してしまい、セラミドが十分に生成されないのです。(ここまで、がんばって読んでくださったみなさんに祝福を!!  グルコシル~、スフィンゴ~で、目がちかちかしてきますね。よくわからなくてもけっこうです。心配しないように)。

簡単に言えば、以上に述べたもろもろの理由で、アトピーでは角層にセラミドが少なくなっており、保湿機能が非常に悪くなっているということです。

そこで保湿のためにセラミド配合のクリームをといいたいところですが、多少役にたつでしょうが、そもそもセラミドは皮膚の内側からできるものですから、そのようなクリームはその場しのぎになってしまいます。

では、体の中から補わなければいけないなら、セラミドを経口的に飲んだらどうでしょう?しかし、これもナンセンスです。腸から吸収される前に消化酵素で分解されてセラミドの原型をとどめません。

代謝図を見てください。セリンとパルミトイルCoAからセラミドができますが、最初の段階で3- ケトスフィンガニができなければ話になりません。その生成にはビタミンB6とマンガンが絶対に必要なのです。この二つが必要かつ十分になければ何も生まれてこないです。

アミノ酸の一種であるセレンや、パルミトイルCoAの材料になるパルミチン酸という飽和脂肪酸は普通の食事をしていれば、不足はまずおこりません。そこで、ビタミンB6をサプリメントから日に50mg、マンガンを日に3mg補うことです。マンガンは、コップ1杯のパイナップル・ジュースに、ちょうど3mg含まれています。

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