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糖尿病(とうにょうびょう) その2

 

ここに述べることは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントを摂ったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。 インターネットにより、Dr.牧瀬のアドバイスを受けられたい方は、こちら


 次にⅡ型の糖尿病に対するサプリメントを述べます。Ⅰ型の場合は絶対に医師の監督が常に必要ですが、Ⅱ型でも定期的に病院でチェックして下さい。そして、必ず主治医と相談しながらとってください。医薬品といっしょにとると、血糖 値が下がりすぎることがあるからです。
 それと、ビタミンや特に微小ミネラルが体のすみずみの組織にまで運ばれるには、毛細血管レベルの血流が良くなければいけません。それを助けてくれるのが、イチョウの葉エキスです。一緒にとってほしいものです。

まず、何はさておき、睡眠です。いかなるサプリメントよりも重要なのです。糖尿病患者さんには、何らかの睡眠障害に悩まされる人が約40%もいます。肥満、運動不足よりも、睡眠不足のほうが糖尿病にたたるのです。糖尿病の本質はミトコンドリアにおけるエネルギー生産不足です。それが、夜、睡眠時に最も回復されるのですが、十分な睡眠が取れない場合、エネルギーの回復がうまくいかず、糖尿病は悪化していきます。健康な人でも、4時間睡眠を6晩続けると、インスリン分泌に変化はないのに、朝食後の血糖値が上昇し、耐糖能が悪化します。最低7時間の良質な睡眠を確保してください。それには、メラトニンを0.3mg~1mgを就寝前30分にとるのも一つの手でしょう。メラトニンは脳内で発生している活性酸素も消去してくれます。

糖尿病のサプリメントは、糖尿病の長い歴史と同じように、そのリストは非常に長いものになります。そして、今でも新しいサプリメントが次々と発見されています。最近ではバナジウムというミネラルも糖尿病のサプリメントに付け加えられました。ここでは、それらの中から、もっとも入手しやすいものを二つだけ記載しておきます。

マグネシウム 250~300mg/日:糖尿病の人は一般的にこのミネラルが不足しています。尿から失われる傾向が糖尿病でない人より大きいのです。しかも、ブドウ糖をインスリンが細胞内に入れるための化学反応にマグネシウムは必要ですから、マグネシウムが欠乏すると、ブドウ糖のレベルが高いままになってしまいます。インスリン抵抗性という言葉をよく耳にしますが、マグネシウム不足がこれを助長しているのです。
 糖尿病は何度もいいますようにその多彩な合併症がこわいのですが、特に心・血管系がやられて命とりとなります。血栓をつくりやすくなり、血圧も高くなり、不整脈も頻度を増し、その分、心筋梗塞にもずっとかかりやすくなります。そういったもろもろの合併症を防ぐのに、マグネシウムは是非必要なのです。
 しかし、このミネラルほど過小評価されているミネラルはないようです。日に250~300ミリグラムは必要ですが、日本で売られている大半の総合ビタミン剤にはこれだけの量は配合されていません。いいところ20~40ミリグラムで、まったく配合されていないものもあります。
 ただし腎臓の悪い人はこのミネラルをサプリメントから補うときは、注意してください。また人によっては下痢をおこすことがあります。そのときは徐々に増やして下さい。

ビタミンB群
B1、B2、B3、B5、B6、B12、葉酸、ビオチン、コリンといった一連のビタミンB類は、人体の複雑な代謝経路の中でも特に炭水化物の代謝に密接に関係しており、 糖というエネルギーの根源にかかわる代謝に異常をきたす病気、つまり糖尿病にはなくてはならないものです。
 どれか一つでも欠けるようなことがあってはなりません。
 したがって、これらのB群は、ビタミンBーコンプレックスとして、まとめてとるべきものです。糖尿病という異常な代謝疾患そのものがビタミンB類を過剰に消費し、かつビタミンB類の尿中への排泄を促し、ビタミンB類の不足を来します。
 もし、経口血糖下降剤あるいはインスリンを使用中なのに、このビタミンB群のサプリメントをとっていないなら、是非、薬局に行って、購入して下さい。いくらでも安いものが売られています。

B1 : イギリスのウォーリック大学の研究者たちは、糖尿病患者の血中のビタミンB1は正常よりも75%も少ないと発表しています(Diabetologia, 2007; doi:s00125-007-0771-4)。
これは普通の血液検査ではわかりません。
 糖尿病になると血中からビタミンB1が大量に奪われ尿に混じって体外に出てしまうのです。B1の不足は血管の内皮細胞に損傷を与え、動脈硬化や慢性的炎症をもたらします。
 また、B1不足は神経にもダメージを与えます。
触角が異常に過敏になり、ちょっと何かに触れただけで、あるいは触られただけで、痛みを感じるといった症状から始まることが多く、それが進行していくと、始終、燃えるような痛みに四肢がおそわれる事態になることがあります。
 ここまで進行したら悲惨です。がん末期の疼痛よりも、いやな痛みです。そういう神経障害にビタミンB1 は、B12、ビオチン、α-リポ酸とともに非常に効果があるのです。
そこまで至らぬうちから是非、予防に毎日とってほしいビタミンです。 
 チアミンとも呼ばれるこのビタミンB1 が顕著に不足したときにおこる病気が脚気です。
英語ではこの脚気を「ベリベリ(beriberi)」といいます。
これはスリランカの言葉であるシンハリ語で「~することができない」を意味するということです。
 つまり、脚気にかかり、歩くことができないということなのです。両下肢の対称的な麻痺や浮腫、激しい疲労、下痢もおこり、体重減少、最後には心不全にいたります。
 明治時代、大日本帝国の兵士に蔓延したことがあります。貧しい家の出の彼らは、故郷にいるときは麦、粟、稗を食っており、ビタミンB1に不足はなかったのですが、軍隊に入隊し白米を食うようになってからこのビタミン欠乏症にかかったのです。

当時の軍医のトップたちはドイツ医学を学んだ超エリートです。しかし彼らは、脚気は何が原因でおこるのかまったく理解できませんでした。 なぜなら、世界最高権威のドイツの病理学書にも記載されていなかったのです。今であれば、脚気はビタミンB1 不足に由来することなど、中学生の教科書にも載っているくらいです。

 しかし、大日本帝国最高のエリートたちも時代の枠を超えることはできなかったわけで、今、思えば感無量です。 ペニシンリン(1928年)も、DNAの二重螺旋(1953年)も、心臓の移植手術(1967年)も、CT(1972年)も、iPS細胞(2007年)もなかったのです。
 ヒトゲノム解析が完了し、35億もの塩基対からなる遺伝子の地図が完成しました。 メンデレーエフの元素周期表(1869年)が20世紀の物理化学の基礎となったように、この遺伝子マップは21世紀の医学生物学の基礎となりそうです。 そして、iPS細胞。失ったり、機能不全に陥った器官も、それで再生できるようになるのです。私たちは今たいへんな時代に生きていることを自覚して下さい。
 この遺伝子マップをデータベースにして、想像もできない医療が生み出されるのは、元素の周期表から核エネルギーが解き放たれたように、絶対といっていいほど確実なのです。
 メンデレーエフその人自身も、自分がどれだけ偉大な基礎を築いたか、生きている間にはわからなかったはずです。 iPS細胞の途方もない重要さは、研究費を十分に出さない日本政府の理解をはるかに超えているのです。不死が当たり前になる時代はすぐそこに来ているのです。
 みなさん、今、死んだらとっても損なのです。しかし、糖尿病患者さんの脳・血管系の病気、特に脳梗塞、心筋梗塞の罹患率は普通の2~3倍にも跳ね上がります。いずれも致命的です。
 糖尿病そのものでは極端な例以外は、死に至ることはありませんが、合併症ともいえる疾患によって神経を麻痺させ、視力を喪失し、足を切断し、腎機能を奪われ、血管を破裂させ、 最後には命を落としてしまうのです。

 飽食の現代に、この脚気は存在しないような錯覚に陥っている人がいますが、間違いです。 インスタント食品を電子レンジでチーンというような食生活にどっぷりと使っている若者には、〈隠れ脚気〉が多いのです。

 いまどき脚気などと、バカにしてはいけないのです。どうも最近の若いもんは生気がないといぶかる団塊の世代、あなたの目は決して狂ってはいません。年のせいかなとひがんではいけません。
 たしかに若者たちの食生活は惨憺たるもので、多くのビタミン、ミネラルが不足しているのです。弥生時代、縄文時代のほうが、はるかにましでした。
 それに、アリナミンが一種の国民薬のように今だにロングセラーを続けているのは、白米を主食にする日本人には慢性的にビタミンB類が不足しているのかもしれません。
ちなみにアリナミンには数種類のビタミンBが配合されています(武田製薬の宣伝になってしまったかな?宣伝費はもらっていません。このサイトはいかなる製薬会社のヒモもついておりません)。もし、あなたが何となくけだるく疲れやすいという症状を慢性的に訴えておられるなら、ビタミンB類の不足かもしれませんから、アリナミンを(また武田の宣伝になってしまったようですので、アスパラメイト、ノイビタゴールド、チョコラBB、新ポポンSでもけっこうです、と書き添えておきます)二倍量、三週間ほど続けてみて下さい。それで、いくぶん症状が改善されれば、ビタミンB類の不足が原因かもしれません。
 ビタミンB1は副腎が正常に機能するにも必要です。
副腎でステロイドホルモンがつくられることはごぞんじのとおりです。したがってビタミンB1が不足すると、ストレスに弱くなり、感染症にもかかりやすくなり、アレルギー疾患も起こしやすくなります。
 また神経伝達物質の一つであるアセチルコリンの産生に関係しており、デプレッションを含めた精神的な変調に効果があります。
所要量は一日1.5mgとなっていますが、 とても少な過ぎます。50mgはとって下さい。100mgで安全です。
 糖尿病患者さんで、まさか酒を無節制に飲むような人はいないと思いますが、過度のアルコールはビタミンB1 不足を引き起こします。
 この飲酒からビタミンB1 の欠乏をおこす古典的病気がウエルニケ・コルサコフ症候群という脳の病気です。 
現代日本ではまずお目にかかることができません。
しかし、内科の教科書には今でも必ず記載されています。
このように、現代医学教育はビタミン、ミネラルの不足によって生じる病気はえらくき真面目に教えるのですが、ビタミン、ミネラルを積極的に使う治療はまったく教えてくれないのです。

 アルコールのことが出てきましたので、ここでついでに糖尿病患者さんの飲酒許容量を書いておきます。適度なアルコールは、ストレスをとるという意味で許されるでしょうが、適度というのは、日本酒なら一合、ウイスキーはダブルで一杯、25度の焼酎では120cc、ビールで大ビン一本です。日にこのうちどれか一つです。四つ同時に可能という意味ではありません。念のために。

B2:リボフラビンともよばれ、強力な抗酸化作用を示します。
またATP産生のための補酵素をつくるのになくてはならないものです。片頭痛の予防もしてくれます。唇の両脇の角が切れている場合、このB2が不足していることがあります。これを医学用語では口角症といいます。
ビタミンB群のサプリメントをとったあと、尿が黄色になることがよくありますが、これは主にB2 の鮮やかな黄色に由来するものです。一日10~25mgは必要です。

B3:B2と同様に糖尿病から由来するさまざま症状に直接的には作用しませんが、コレステロールを下げる作用がありますから、インスリンによるLDL(悪玉コレステロール)の増加を阻止するためにも必要です。
またジホモガンマリノレン酸から、良性のエイコサノイドが産生されるのをこのビタミンは促します。インスリンはΔ5デサチュラーゼを活性し、アラキドン酸を増加させ、そこから悪性のエイコサノイドが代謝されてきます。
したがって、このB3は糖尿病には是非必要なサプリメントなのです。

 ついでに書いておきますが、B3はレイノー氏病にも効きます。
CoQ10が体内で合成されるときにもB3は必要です。また、統合失調症や、パーキンソン病、てんかんにも効果があります。
 またセロトニンのレベルをあげることによって、満足感あるいは幸福感をまし、攻撃的性格を和らげ、精神の安定にも役立ちます。
 現代アメリカに特に暴力が多いのは、あまりにも精製されすぎてビタミン・ミネラルが完全になくなってしまった食事からくる、ビタミン・ミネラル不足による攻撃的性格に由来するものであるという主張をときどき耳にします。
 特にビタミンB群が欠乏すると、精神の変調、不安定、デプレッション、不安、攻撃的性格、不眠などが惹起されやすくなり、暴力に走る可能性は非常に高くなりそうです。 日本の登校拒否やいじめも、ひょっとすると、いや、かなり食事に関係しているのかもしれません。一度、サプリメントで大量にビタミンB群を補って様子を観察するのも一つの手かもしれません。
日に、B3は15~20mg必要ですが、その5倍は安全で、かつ必要です。統合失調症の一つの治療として、3000mgのB3 と、3000mgのビタミンCを投与します。 しかしこういう場合は、医師の観察のもとで行なう特殊なケースですので、普通は100mg以内にしておくほうが無難です。というのは、B3は大量にとると肝機能障害を起こすことがあるからです。

 糖尿病というテーマから少しずれてきていますが、ここでもう少しビタミンBについて書いておきましょう。

B5:ビタミンB5はパントテン酸とも呼ばれます。
糖がエネルギーとして燃やされるには、アセチール・コエンザイム・Aという物質に転換されなければいけませんが、その転換にB5は必須なのです。
このビタミンは非常に多くの食物に含まれていますから、普通の食生活をしていれば極端に不足することはまずありません。
しかし、積極的に補ってやれば好ましい結果をもたらしてくれるケースがあります。このビタミンは抗ストレスビタミンと呼ばれることがあるように、B1と同様に副腎機能を活発にし、ステロイドホルモンの分泌を促します。
花粉症に悩んでいる人は一度、試される価値はじゅうぶんにあります。

 また、B5は単純疱疹(ヘルペス)にも効きます。
これも同じように、一日2000mgを一週間続けて下さい。その後、500mgにして再発を防いで下さい。(病院では抗ウイルス剤のゾビラックスなどが処方されるはずですが、B5は改善の助けになりますから、同時に服用してもかまいません) このビタミンをとってはならない唯一の例外は、マラリアにかかったときです。
マラリアはヒトの体内で繁殖するのに、B5が必要だからです。
もっとも、日本にいてはかからない病気ですから、気にする必要はまずないのですが。しかし、これだけ海外旅行が盛んになった今、マラリアにもじゅうぶん注意して下さい。

B6:ビタミンB6はピリドキシンとも呼ばれていますが、正確にはピリドキシンとピリドキサールとピリドキサミンの複合体です。すべて、リン酸ピリドキサールに代謝されて、補酵素として非常に多くの局面で多彩な働きをし、血糖値の安定になくてはならないビタミンです。

 最初のほうで動脈硬化のところで述べたように、ホモシステイン対策に極めて重要な働きをしますが、それについてはそこを読んでもらうことにして、他の作用について書いておきます。

 秘書、タイピスト、レジ係、作家など、手首をよく使う仕事に従事する人にみられる手根管症候群という病気があります。
特に30代~50代にかけての女性に多くみられます。
糖尿病も原因の一つになりますが、大半は手首の伸展を頻繁に行なうこと以外にこれといった原因がありません。手と手首にひりひりした痛みが走り、麻痺が生じます。
ひどい場合はステロイドを局所的に注射したり、手術に至ったりします。
しかし、100mgのB6投与を三ヵ月続けることによって大半は改善されます。
この研究はおよそ40年前にジョン・エリスという医者によってなされ、ビタミン療法の古典といえるほどのものです。一日の所要量は2mgですから、その50倍にもあたる量を投与するので、医師の指導のもとに行なわれるべきものです。
というのは、このB6の過剰はときとして、神経線維にダメージを与えたり、光線過敏症を惹起させるからです。
 しかし、普通のビタミンBの錠剤に含まれている量、5~25mgではまったく心配いりません。ただし、100mg以上とる場合は医師の指導のもとに行なったほうが安全です。また、パーキンソン病の治療を受けている人は、注意して下さい。パーキンソン病に使われるある種の薬(レヴォドーパ)の作用をだいなしにするからです。

 喘息にも有効なことがあります。多くの喘息患者さんは、トリプトファンという必須アミノ酸をセロトニンに代謝する過程がうまくコントロールされていません。
その結果、気管支の攣縮がおこり、喘息が悪化します。B6 はトリプトファンの代謝調節に大切な役目を果たし、症状を改善してくれます。
 また、多くの喘息患者さんは気管支拡張剤であるテオフィリンを服用していることがあります。この薬はビタミンB6を枯渇させる副作用があり、それを補うためにもB6の補給は是非望まれます。また避妊のためにピルを服用している女性も、ビタミンB6が枯渇しやすいので、補って下さい。
 しかし、もしデプレッション(うつ)がある場合、トリプトファンの代謝に直接関与するというこのB6の作用のために、まれに症状を悪化させることがあります。

 したがって、そのような場合10ミリグラム/日ほどにしておいたほうがいいかもしれません。

 B6は松果体を刺激してメラトニンの分泌を促し、不眠にも効果的です。ただし、B6をとり過ぎると鮮明な夢を見過ぎ、翌朝、疲れを感じることがあります。もっとも、積極的に夢を楽しみたい人は、B6の服用はサイケデリックな危険な薬よりもずっと害のないものですから、試されたらいいでしょう。
 その他、ニキビにも効くことがあります。またB2と同様に片頭痛の予防にもなります。 

B12 1000μg/日:コバラミンともよばれる赤い物質です。
コバルトを核として複雑な形をつくっています。
シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、アデノシルコバラミン、メコバラミンと、種類あります。胃の糖タンパクの内因子と結合し、回腸で吸収され、その後、肝臓に貯蔵 されます。
 肝臓に貯蔵されたビタミンB12はメコバラミンという活性型になり、血液中に移行して、ビタミンB12としての作用を示します。
コバルトそのもの欠乏はヒトではまず見られませんが、ビタミンB12は厳格な菜食主義者や老人にときどきあります。植物性の食物に唯一含まれていないビタミンがこのB12だからです。
また、老人はB12の小腸からの吸収に必要な、胃の幽門腺から分泌される〈内因子〉と呼ばれる物質をじゅうぶんにつくることができず、B12不足に陥りやすいのです。
加齢とともに幽門腺の分泌能力が低下し、65才以上では、3分の1にB12が不足しているといわれています。それと同じ理由で、手術で胃を切除した場合、萎縮性胃炎、胃がんなどでもB12不足がおこります。またクローン氏病では特に小腸そのものがやられますから、当然B12の吸収がうまくいかず、補ってやる必要があります。
大部分の神経は髄鞘(ミエリン)と呼ばれる一種の鞘のような脂質で覆われています。
絶縁体の役目を果たし、神経線維を走る電気インパルスの速度を速めます。その髄鞘がつくられるためにB12が必要なのです。
また神経伝達物質であるアセチルコリンができるのにもB12は必要です。
つまり、B12は神経が正常に働くにあたって非常に大切なビタミンだというわけです。
したがって、不足すると、四肢にちくちくとした痛みや逆に無感覚、触角や痛覚の異常、耳鳴り、物忘れ、さらにひどくなると昏迷、妄想まで生まれてきます。
糖尿病性の神経障害の治療にも頻繁にこのB12が使われます。
しかし最初に書いたように、いったんそういう症状が出てしまったら、事実上なかなか改善は難しいので、出る前に是非、予防して下さい。また、日本では珍しい多発性硬化症という神経系の病気の治療にもよく使われます。抗うつ作用もあり、点滴注射でうつと非常に効果があります。
またこのビタミン不足は悪性貧血をおこします。巨赤芽球性貧血というやつで、血液学の教科書に詳細に記載されています。普通、医学生がビタミンB12の欠乏症はときかれたら、最初に答えるのがこの悪性貧血です。このように造血にB12は必要ですが、骨髄で骨芽細胞の造成も促し、変形性関節症にも効果があります。
その他、男性不妊の改善にも役立ちます。B12は正常な細胞分裂に必要ですので、しきりに分裂を繰り返し、その数を増さなければいけない精子にこのビタミンの不足は禁物です。また、ふけにもきくといわれています。しつこいふけに悩まされている人は、一度試してみる価値があります。
  そして、ホモシステイン対策に絶対に必要であることを忘れないで下さい。それについては、「動脈硬化・狭心症・心筋梗塞」のページを再読して下さい。
厚生労働省が定めた、日本人のB12の所要量は大人で、2.4μgとなっていますが、まったくふざけた値で、極端に少なすぎます。B12の過剰症はいまだに報告されていません。非常に安全なビタミンなのです。アメリカ製のビタミンB12には1錠5000μgのもあるくらいです。私は健康維持の目的で日に5000μgをサプリメントから補っています。
 特にビグアナイド系の糖尿病薬(メルビン、グリコラン、ジメトスB)を服用しているときには、ビタミンB12が欠乏しやすいのです。ですから、積極的に補ってください。

また、腸でB12が適切に吸収されるには、甲状腺ホルモンが正常に分泌されていなければいけません。したがって、甲状腺の病気にかかっている人は、血中B12をチェックしておくべきです。特に最近は、甲状腺ホルモンが一応正常範囲内を示すものの正常下限ぎりぎりで、ほとんど甲状腺機能低下症といってもいいくらいの(これを私は「隠れ甲状腺機能低下症」とよんでいます)人が多く、そういう人たちはB12が不足気味だと推測されます。こういう人たちの症状は、低体温、うつっぽい、便秘気味、体重増加、生理不順、倦怠感などです。「うつっぽい」症状はB12の不足からかもしれません。

葉酸:ビタミンBの名はついていませんがビタミンB群に属します。これもホモシステイン対策に必須ですが、その他の効能を書き足しておきます。

 B12と同様にこの不足は巨赤芽球性貧血をおこします。
これも、専門医が扱うべき領域ですので、ここでは省略します。
 このビタミンはおよそ20あまりの酵素と一緒に働き、DNAとRNAの合成と維持に役立っています。したがって、DNAの障害のために生じるがんの予防にいいといわれています。

 

その中でも、とくに子宮頚部がんの予防に効果的です。栄養学のテキストによく引用されるのですが、アラバマ大学の研究によると、子宮頚部の細胞がじゅうぶんに葉酸を含有している場合、喫煙、避妊用のピル、ヒト・パピローマ・ウイルス(子宮頚がんの原因だとされウイルス)といったリスクに女性がさらされても、cervical dysplesia(頚部異形成。前がん状態)にいたる率は、2分の1から、5分の1に減少するということです。

 またもう一つきわめて大切なことは、二分脊柱、脊髄髄膜瘤と呼ばれる神経管の障害による奇形の出産防止に非常に有効なことです。(脳と脊椎の未発達な段階の胎児にあっては、それらは一本の管のようにつながっており、神経管と呼ばれています)  神経管の奇形発生率は500の出産にあたり1回ほどです。その他、口唇裂、口蓋裂の予防にもじゅうぶんな葉酸が必要です。そのためには、妊娠前から、あるいはいくら遅くても妊娠二週間以内から、じゅうぶんな葉酸を母親になる女性は補っておいて下さい。避妊用のピルは葉酸を枯渇させますので、そろそろ子供がほしいということでピルを止め、妊娠を準備し始めた女性は、最低400μgはとって下さい。

 またトロント大学の研究によるとデプレッションにも有効だそうです。
 痛風にも効果があります。尿酸ができるにはキサンチン・オキシダーゼという酵素が必要なのですが、その酵素の働きを抑制する作用がこの葉酸にはあるのです。しかし、そのためには10000~40000μgという大量投与が必要ですので、医師と相談して下さい。
ただし、葉酸を摂りすぎると、前立腺に悪影響を及ぼすという研究があります。ですから、葉酸だけのサプリメントを、特に男性は、積極的に摂る必要はないでしょう。ビタミンB群の中に含まれている量で十分です。

ビオチン:これもビタミンB群の一つですが、ビタミンHとよばれることがあります。糖尿病からくる、特に四肢の非常に不快な神経症状を防止してくれます。この効果を得るに必要な量は2~4mgです。15mgまで増量することもあります。また、ビオチンは血中半減期が3時間と短いため、一度にとらず、可能であれば、こまかく分けてとるのが望ましいのです。アルコールはビオチンを大量に消費しますから、飲酒はほどほどにひかえたほうが賢明です。また、ステロイド剤を服用しているとビオチンが欠乏してきます。
 このビオチンも50μgやそこらとっても、糖尿病の治療にはほとんど効果は期待できません。しかし、2~4mgもとれば、ビタミンB1、B12、α-リポ酸と同様に、糖尿病性神経症という四肢の非常に不快な神経症状を防止し、かつ治癒してくれます。 アトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症にも最近は積極的に使われるようになりました。また、ささくれだった爪にも効きます。この場合も、2.5mg(2500μg)/日は必要です。馬の蹄を強くするために、昔から獣医はこのビオチンを使っていました。その研究からヒトの爪にもと応用されたのです。

 普通、ヒトの腸内細菌が勝手に合成してくれるため、健康な人ではまずビオチンの不足はないのですが、二つだけ例外があります。
一つは何かの理由で、抗生物質を服用しているときです。ビオチンを産生する腸内細菌も根絶やしにされているからです。

 最後は、卵の白身をよく食べる人です。卵の白身にはアヴィディンというタンパク質が含まれており、それがビオチンの吸収を邪魔するのです。しかし、卵の白身だけを好んで食べるような人はまずいないだろうと思って、最初はここに書くつもりはありませんでした。
ところが、ボディビルディングをする人たちの中には、黄身を取り除き白身だけでタンパク質のシェークをつくる人がいるようなのです。黄身を取り除くのは余分なコレステロールをとるためです。そのシェークを毎日、毎日飲んでいたら、ひょっとするとビオチン不足を惹起させるかもしれません。そういうわけで、ここに一言書き添えておきました。

 以上ビタミンB1から始め、B2、B3、B5、B6、B12、葉酸、ビオチンと書きましたが、それを一つ一つ十分にとるのは、健康オタクといえど、なかなかむつかしいものです。そこで、いい製品を紹介します。「Balance B-50」。
インターネットで外国から簡単に購入できます。一か月分が1000円以下で、非常に安いものです。
 1カプセル中に、B1が50mg、B2が50mg、B3が50mg、B5が50mg、B6が50mg、B12が50μg、葉酸が400μg、ビオチンが50μg入っています。
医師という非常に神経を使う仕事に携わっていますので、私も毎日とっています。特に疲れを感じるときは、2カプセルとります。

 

ビタミンB群に属するコリンやイノシトールも重要で多彩な働きをするのですが、これ以上B群にかかわりあっていると、さらに糖尿病からはずれてしまいそうなので、ここで 止めておきます。

 

以上、マグネシウムとビタミンB群は、糖尿病の人は積極的に補ってください。しかしそれらが血糖値を下げることは、まずありえません。血糖値そのものを下げるサプリメントはありますが、医者の指導のもとで摂らなければ、血糖下降剤を服用していたり、インスリンをうっている場合、低血糖をおこすことも無きにしもあらずなので、ここではあえて紹介しません。したがって、サプリメントの処方を希望される人は、私の診察を受けてください。時間的か距離的にそれが無理な人は、メイルで問い合わせてください。
 また、一般的に、サプリメントの有効成分を体のすみずみの組織に行きわたらせるのに、イチョウの葉エキスが役に立ちます。毛細血管レベルの血流を改善するからです。100~150mg/日を摂られたらいいでしょう。ただし、夜間に摂ると、脳の血流が良くなりすぎて、頭が冴え、眠れないことがありますから、せいぜい午後4時くらいまでに摂ってください。


マゴットセラピー

もし、あなたの糖尿病が悪化し、壊疽(えそ)までおこしている状態であれば、マゴットセラピーという、蛆(ウジ)を使った治療も考慮してみるべきです。壊疽による切断を免れることができるかもしれません。痛みも副作用もほとんどありません。この治療で、約、8割の患者さんが切断を免れています。おそらく、古代では普通に行われたいたはずです。Maggotとは英語で蛆のことです。「マゴットセラピー」で検索してください。いっぱい情報が得られます。


糖尿病を改善するちょっとした工夫

:スウェーデンでの研究で、ピックルを炭水化物と一緒にとると、血糖が急に上昇しないことがわかりました。
何がそういういい結果を生むかと分析したところ、「酢」が作用していたのです。そこで、「酢」だけを食前にとってもらうと、同じような結果が得られたのです。ですから、サラダのドレッシングなどにも、積極的に酢を使ってください。

シナモン(肉桂):たった1グラムでけっこうですから、シナモンを紅茶かコーヒーにでも入れ、毎日のんでください。
昔から、シナモンは糖尿病にいいと言われていたのですが、プラセーボ(偽薬)をつかった治験で確認されています。シナモンの中に含まれているポリフェノールの一種、メチルヒドロキシカルコンポリマーmethylhydroxy chalcone polymer (MHCP) が脂肪細胞における糖代謝を20倍にもするためです。
 しかし、セイロン製のシナモンにしてください。他の国でとれたシナモンにはクマリンが大量に含まれており、とりすぎると肝臓に良くないからです。シナモンと似たものにカシアという香辛料がありますが(ひんぱんにシナモンと混同されています)、特に中国製のカシアはとらないほうがいいでしょう。
 何らかの理由でシナモンがとれない場合、そのサプリメントも売られています。Enhanced Cinnulin PFというのがいいでしょう。インターネットで探してください。

桑の葉茶:このお茶はむかしから糖尿病に効くということで愛飲されてきました。桑の葉にしか発見されていないDNJ(1ーデオキシノジリマイシン)という物質がポイントとなります。 小腸から澱粉や糖質が吸収されるときに、それらはαーグルコシダーゼという酵素の作用によってグルコースに分解されますが、その作用をDNJは阻害するのです。普通の乾燥した桑の葉の0.1%の重量でDNJは含有されています。お茶としてのんでもいいでしょう。玄米茶に似た味がします。

バナバ茶:バナバは東南アジア、オーストラリア北部の熱帯・亜熱帯に自生する広葉樹で、フィリピンでは「女王も手の届かぬ神木」といわれ、千年以上も昔から、葉は煎じられ、お茶として飲まれていました。
 その有効成分はコロソリン酸で血糖値を下げる作用が認められています。しかし、血糖値の低い人や正常の人が飲んでも血糖値には影響しません。亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの糖尿病に欠かすことのできないミネラルを豊富に含んでいます。
また、メラニンを作り出すチロシナーゼの活性を阻害し、メラニンの生成を抑えますので、美白効果もあります。

ウコン:この香辛料はインスリンの分泌を促してくれます。ときどき、カレーを食べようということです。しかし、毎日はすすめられません。ウコンも摂りすぎると、肝臓に負担がかかりますから。

タマネギ:タマネギは古代から糖尿病に効くと伝承されていますし、また現在、実験的にもその効果は確認されています。生でも、料理されたものでも効果はあまりちがいません。 おそらく、ケルセチンのためだと推測されます。

牛乳に注意:もし糖尿病家系であれば、赤ちゃんには牛乳は与えないほうが賢明です。一種の食物アレルギーによって、若年性糖尿病(いわゆるⅠ型糖尿病)を引き起こす確率が高くなります。必ず母乳にして下さい。

野菜はゆがいて:化学肥料を使って栽培された野菜には大量の硝酸塩が含まれています。硝酸塩はインスリンを分泌する膵臓のβ細胞を破壊するのです。 しかし、ゆがけば、多少なりとも硝酸塩は少なくなります。ゆがくことによって減ずるビタミン類の効能と、硝酸塩の危険性が減ずることを比べると、後者の方が健康にはよほど大事なのです。
 また、ゆがけば、生のときより、ずっと多く野菜をとることができます。5000年の歴史をもつ中華料理には生野菜はありません。それらがアジア人の体には合わないことが熟知されているのです。

笑い:笑うことです。笑いは食後の血糖上昇を抑えます。

運動:これは最初にもってくるべき、最重要な事項だったでしょう。自分が楽しく行える運動をみつけ、可能なかぎり持続することです。歯を食いしばって、いやいやながら行っても、ストレスがかかるばかりで、かえって糖尿病を悪化させます。

≪注意事項≫
アルブミンが尿に出ていないかどうかチェックしましょう。
なんども書きますが、糖尿病それ自体では命を落としません。合併症が怖いのです。その最たるものが、腎臓がやられることです。患者さんの中には自覚症状ないので、糖尿病であることが見つかった段階で、かなり腎機能の落ちていることがあります。これの簡単な検査が、尿アルブミンの検査です。

肥満体でなくても、あるいは成人でなくても、要注意
日本人の糖尿病患者さんの5%弱は、インスリン依存型糖尿病(insulin dependent diabetes mellitus IDDM 1型糖尿病)で、多くは若くして発症しますから、若年型糖尿病ともよばれたこともあります。
 このタイプは15才以下で、突然発症し急激に悪化することが多く、診断を誤った場合は死に至ることがあります。腹痛が主訴のこともあり、十分に注意が必要です。
また最初は全身の倦怠感、食欲不振といったていどの漠然とした症状で始まり、風邪かなと考えていたのが、次第に口渇、多飲、多尿、体重減少が顕著になり、来院することもあります。
糖尿病は太った中年オジサン、オバサンがかかるものという固定観念は危険です。0才の赤ちゃんでも発症します。インスリン非依存型糖尿病(今まで述べてきたⅡ型糖尿病)とは原因をまったく異にしており、一種の自己免疫疾患であろうというのが最近の考え方です。
 また、コクサッキーB4ウイルス、麻疹や風疹のウイルス、サイトメガロウイルスといったウイルスが引き金となっているとも考えられています。

二次性の糖尿に注意:他の疾患から二次的にひきおこされる糖尿病にも気をつけて下さい。
早期の膵臓がん、特に膵臓の体部…真ん中付近…にできたがんの場合、その10%に糖尿病が合併するといわれています。
その他、膵臓炎、肝炎、肝硬変、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、末端肥大症、薬物でも二次性の糖尿病を生じることがありますので注意して下さい。
いずれにせよ、頻繁に尿を検査して糖が出ていないかチェックすることです。痛くもかゆくもなく、自宅でただ同然の安価できる検査ですから、やらない手はないはずです。


糖尿病性昏睡

 これは非常に危険な状態ですから、やや専門的になりますが、糖尿病患者さん、ならびにその家族は、こういう危険性があるということを十分理解しておくべきです。知っておくのと、知らないのでは、雲泥の差があります。
4つのタイプがあります。

  • 低血糖性昏睡
  • 糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡
  • 非ケトン性高浸透圧性糖尿病性昏睡
  • 乳酸アシドーシスによる昏睡

a) 低血糖性昏睡
b)~d)とは治療をまったく異にします。治療のために、インスリンや血糖降下剤を使用しているときにみられます。
読んで字のごとく、血糖が必要以上に低くなったときにおこり、脱力感、冷や汗、顔面蒼白、手足のふるえ、動悸、頻脈などの症状をていします。
患者さんは常にキャンディや甘いものをもっているように指導されているはずです。普通は、これが最も多いのです。

b) 糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡
インスリン依存型糖尿病の患者さんが何らかの理由で突然インスリンの投与を中止したり、あるはインスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)の患者さんが暴飲暴食をしたり感染症にかかったときにおこります。
a)の低血糖性昏睡とはまったく逆の、インスリン作用の極度の不足によって生じます。そのため、
①肝臓に貯えられていたグリコーゲンが分解し、血糖値が上昇します。そのため、腎臓から水、ナトリウム、カリウム、リンなどの過剰な喪失がおこり、循環血液量低下、血圧低下をきたします。
②また、体の脂肪が脂肪酸とグリセロールに分解され、血中に放出され、それらは肝臓に集まり、肝臓の脂肪酸の濃度が上昇します。
過剰の脂肪酸は、アシルCoA →アセトアセチルCoA→アセトン、アセト酢酸 →βーハイドロオキシ酪酸と代謝されていきます。
アセトン、アセト酢酸、βーハイドロオキシ酪酸、の三つを総称してケトン体とよびます。このケトン体が血中に上昇しておこり、血液を酸性に傾けることをケトアシドーシスとよびます。

 以上、①、②が同時におこり、昏睡状態をひきおこすわけです。症状としては、急激な口渇、皮膚の乾燥、吐く息にアセトンの臭いと頻回で深い呼吸(Kussmaulの大呼吸と呼びます)、血圧低下、ショックなどです。
適切な処置が施されれば必ず回復しますが(死亡率1%以下)、最初の診断を誤ると死に至ることがあります。

c) 非ケトン性高浸透圧性糖尿病性昏睡
 高齢者のインスリン非依存型糖尿病患者さんがかかることが最も多いタイプです。
高血圧のためにサイアザイド系降圧利尿薬を服用しているときや、リウマチなどでステロイドを投与されているときにおこりやすいので、特に注意してください。
膵炎、心筋梗塞、腎障害、感染症、手術、暴飲暴食が引き金となることもあります。
インスリンのレベルはある程度保たれているため、ケトン体は生成されません。しかし血糖値は上昇しますので、血漿浸透圧が上がり、特にひどい脱水状態になります。
そのため、強度の 口渇をおぼえ多飲となり、また多尿もきたします。倦怠、悪心、嘔吐、腹痛、吐血、昏 睡と多彩な症状を呈しますが、糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡のときに見られる、アセトン臭を伴った回数の多い深い呼吸はみられません。

d) 乳酸アシドーシスによる昏睡
 これは糖尿病以外でもおこるのですが、特に血糖降下剤であるビグアナイド剤の副作用でおこることがあります。
最近はこの薬はほとんど使われなくなっていますがもし商品名でグリナビン、クレボホルミン、ジベストB、ジベトンS、ブフォルマイドなどを服用しているときは、特に注意して下さい。
激しい倦怠感、脱力感、悪心、嘔吐、腹痛、それにKussmaulの大呼吸が主な症状です。


教科書に載っていないこと

 最後に、どんな教科書にも載っていていないことを一つ書いておきましょう。
糖尿病患者さんには皮膚の白い人が奇妙に多いのです。男性でもしっとりとしたきめの細かい女性のように白い肌をした人がいます。
糖尿病とどういう因果関係があるかわかりませんが、事実そうなのです。
もっとも、皮膚が白いからといって必ず糖尿病だというのではありません。また色黒の糖尿病患者さんも大勢います。しかし、厳密に統計をとったわけではないのですが、印象として、色白の人にどういうわけか多いのです。

これは昔、私が日本生命相互保険会社で健康診断のアルバイトをしていたときに、そこの会社の社医をしていた先生から教わったのです。その先生は30年近く、保険加入のために健康診断をするお客さんを診ておられたのですが、その長い経験から、色白の人には糖尿病が多いと結論されたのです。

 それ以来私は、肥満体で女性のように白い男性患者さんに対しては、他の疾患で来院された場合でも、必ず糖尿病を念頭において、その点からも診察するように心掛けています。 そして、よくそれが当たり、やっぱりという例が多いのです。もしこのサイトを読まれている人で、両親、兄弟姉妹に糖尿病の人がいて、色白であれば、まず糖尿病の可能性を疑ってみるのが賢明です。


糖尿病はやがて過去の病気となる

 2005年9月、科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版に、岡山大学などのグループがインスリンを分泌する膵臓のβ細胞を大量につくる技術の開発に成功したことを発表しました。数年後には、ひょっとするとインスリンの注射は必要でなくなるかもしれません。
 また、2007年11月には、京都大学でついにヒトの成人の皮膚からiPS細胞がつくられました。自分のDNAとまったく同じDNAをもった膵臓をつくり、移植することが可能になるはずです。
 したがって、10~15年以内には、糖尿病は過去の病気となることでしょう。それまで、十分なビタミンやミネラルを補い、失明、透析、下肢切断など末期的な事態に至らないようにしてください。

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