それでも130/80mmHg 以下

 

高血圧

 以上のように書いていくと、高血圧はそのままほうっておいて良いのだと誤解されては困ります。たとえ、10年後にあなたの心筋梗塞にかかる確率をたった5%下げるだけでも、それにこしたことはありません。それと、高血圧が長期にわたり続くと、動脈硬化が進行し、その動脈硬化がさらに高血圧を加速させるという悪循環がおこります。頸動脈の肥厚も起こります。最悪の場合は心不全にまでいたります。

 しかも、永続する高い血圧は腎臓機能を害します。およそ30%の本態性高血圧の患者さんは、程度の差はあるものの、腎障害が隠れているといわれています。さらに、認知症、骨粗鬆症、睡眠時無呼吸症候群、EDなどにも悪影響を与えます。
では、どの基準にまで血圧は下げるべきでしょうか?

 「130/80mmHg 以下です」と答えると、な~んだ、ドクター牧瀬、あんたも製薬会社の肩をもって、降圧剤をやたらと処方するたぐいの医者だったのかといわれそうですが、最後までお読みください。

 米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)が膨大な資料を分析して到達した130/80mmHg の基準は軽々しく否定されるものではありません。心・血管系の専門家たちの結論です。SPRINT試験も重要です。悪徳医たちが製薬会社と裏で組んで、この厳しい基準を捻出したという、いわゆる陰謀説も明確な根拠はありません(結果的には製薬会社は喜んだでしょうが)。少なくとも45才以上のアメリカ人ではこの基準を維持することによって、今後10年に300万件の心・血管系の病気の発生が防げるかもしれないのですから。
Circulation: https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.118.035640(英文)

 また、特に私たちアジア人はこの厳しい基準を、遵守した方がよさそうです。130~139/80~89mmHgの高血圧でも、120/80mmHg以下の血圧に比較すると、10万人当たり年間51人多く、脳心血管疾患が発生し、なかでもアジア人の特性として脳卒中発症が冠動脈疾患発症の2倍多いのです。これは、ソウル大学校病院の研究の研究で、約249万例を中央値10年追跡して明らにした結果です。
(Association of Blood Pressure Classification in Korean Young Adults According to the 2017 American College of Cardiology/American Heart Association Guidelines With Subsequent Cardiovascular Disease Events. JAMA. 2018 11 06;320(17);1783-1792. doi: 10.1001/jama.2018.16501.)

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