ついに、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、2017年11月に発表した新しい高血圧診療ガイドラインで、今まで140/90mmHgだった基準値を130/80mmHgに下げました。

「やったぜ、ベイビー!!」と多くの製薬会社がほくそ笑んだのですが(おかげで、ますます降圧剤が売れますから)、この基準によると、アメリカ成人の46%が高血圧になるそうです(つまり1億人以上!!)。日本の場合、130mmHg台の血圧の人は1520 万人、50才代では3割、70才代では5割の人が高血圧になってしまいます。高血圧人口、なんと総計6,000万人!! *厚生労働省「平成27年 国民健康・栄養調査」によります。

この新しいガイドラインについて、アメリカのみならず世界中の多くの医師たちが驚き(この基準が発表されたとき、その会場にいた医師たちから、どよめきの声がおこったそうです)、かつ困惑しており、このきびしすぎる基準については、素晴らしい基準で、これで心・血管障害の発生率はかなり減るだろう、いや、製薬会社のためにしかならないとか、血圧が下がり過ぎて寝たきり老人が増えるとか、毀誉褒貶(きよほうへん)、喧々諤々(けんけんがくがく)の状態であります。しかし、いずれにせよ、やがて日本もこのガイドラインに従っていくことになるでしょう。

しかし、問題は、「高血圧」を病気だととらえることから、始まりそうです。これといった原因の見当たらない、いわゆる本態性高血圧で、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、眼底出血などをおこすことがなければ、たとえ160mmHg/100mmHgであっても、通常、何の症状もなく普通の生活が送れます。これを降圧剤で下げると、元気がなくなる、足元がふらつく、めまいがする、勃起不全になるなど、むしろ病的な症状がおこることが多いものです。病的な症状がおこらないかぎり、それは、簡単な話、つまり高血圧は病気ではないのです。次に述べるように、それは危険防止のために役立つ「信号であり指標」なのです。そうとらえると、気も楽になり、血圧も下がるものです。

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