隠れ甲状腺機能低下症 諸注意

「Ⅱ」現代の病気を解く6つのキーワード

注意
1)日本の病院やクリニックですすめられるホルモン補充療法に使われるプレマリンにせよ、プロゲステロン・クリームから代謝されてできるエストロゲンにせよ、余分なエストロゲンはサイロキシン結合グロブリン(TBG)を増加させます。TBGは、血流中を自由にめぐっていた甲状腺ホルモンを吸収し、結合してしまうタンパク質ですから、たとえ甲状腺機能が正常であっても、甲状腺ホルモンの働き自体は減少してしまいます。

 そこで、体重増加、皮膚の乾燥、疲労感、便秘、うつなどがおきてくるのです。 したがって、もしあなたがホルモン補充療法を受けているにもかかわらず、肥満や慢性的な疲労が続くのであれば、ごくわずかでいいですから、甲状腺ホルモンを補うことが必要です。

しかし、これは医者の指導のもとで行わなければ危険です。

2)食物の中にあるビタミンB12はタンパク質と結びついています。それが、胃酸やペプシンによって遊離され、胃壁の細胞から分泌される内因子(IF)と結合し、IF-B12複合体として、回腸で吸収されます。ところが、甲状腺ホルモンが正常に分泌されないと、その吸収がうまくいきません。したがって、ビタミンB12不足の状態になりやすいのです。
糖尿病 のビタミンB12のところもお読みください。

3)就寝の理想は午後10時までですが、どんなに遅くとも11時までには床に就いください。その分、朝は早くおきてもかまいません。(朝は、寝たいだけ、寝てられてけっこうです)。どんな病気も夜ふかしすると、非常に治りがよくないのです。それは、成長ホルモンの分泌の関係からです。特に午前0時~午前2時あたり、寝ている間に、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは若い人の背丈をのばすだけでなく、他にもさまざま重要な働きをします。その一つに、甲状腺に関しては、抹消の組織でT4(テトラヨードサイロニン)からT3(トリヨードサイロニン)への変換を促進します。つまり、甲状腺ホルモンを働かすには、早寝が必要なのです。

4)甲状腺マッサージ:下図は、フランスはルイ14世の時代、70才にもかかわらず30才の若さと美貌を保っていたといわれるド・ランクル夫人が行っていた、甲状腺マッサージです。これが彼女の若さの秘密だったようです。もっとも、日に何度、1回につき何分間、このマッサージを行っていたかデータはありません。しかし、まったくお金がかからず、テレビを見ながらでもできる簡単な方法ですから、ほどほどに、試されても悪くはないでしょう。

甲状腺をマッサージすることのメリットに興味のある人は
<参考リンク>:https://www.massagemag.com/massage-therapy-thyroid-health-34099/(英文)
をお読みください。
1948年という、ずいぶん昔に、甲状腺をマッサージして、甲状腺機能を回復させる器具として、Bronislaw Wandel という人が、「Massage apparatus」という名で、特許を取っています。

5)鍼灸は、潜在性の甲状腺機能低下回復に効果があります。試されたらよいでしょう。「医学的エビデンス」もあります。
(英文)
https://www.researchgate.net/publication/221718806_The_influence_of_acupuncture_on_the_quality_of_life_and_the_level_of_thyroid-stimulating_hormone_in_patients_presenting_with_subclinical_hypothyroidism

6)抗生剤のシプロフロキサシンはレボチロキシンナトリウム(チラーヂンSなど)の吸収を低下させることがあります。このため、併用すると血中遊離チロキシン濃度の低下を来す可能性がありますので、注意してください。
Cooper JG et al., Ciprofloxacin interacts with thyroid replacement therapy, Br Med J 330: 1002, 2005

7)また、チラージンを摂られているときは、マグネシウムの摂取は慎重に行ってください。マグネシウムはチラージンの作用を弱めることがあるからです。

8)甲状腺機能をチェックするときに、ビオチンを大量に摂っていると検査結果が正確に出ないことがあります。アトピー性皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症などのためにビタミン群やビオチンを摂取している人は、検査の三日ほど前は、それらのサプリメントは摂らないで、検査を受けてください。

9)認知症と診断されてアリセプトなど4種類の抗認知症薬が処方されたケースのうち、7割は学会が推奨している甲状腺の機能低下の検査を事前にしていなかったことが、医療経済研究機構などの調査でわかりました。
認知機能の低下が甲状腺機能低下に由来すれば、抗認知症薬なしで改善が望めます。
検査しなかったことで、本来は必要ない人に薬が処方された可能性がありますので、注意してください。

ここに述べることは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントを摂ったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。 インターネットにより、Dr.牧瀬のアドバイスを受けられたい方は、「ご相談フォーム」よりご相談下さい


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