隠れ甲状腺機能低下症4

「Ⅱ」現代の病気を解く6つのキーワード

 それと、もう一つ簡単な甲状腺機能低下を見つける方法があります。 勤務先での健診では、普通は甲状腺にまつわるホルモンの検査をしません (本来は、ぜひ組み込まれなければいけないのですが)。しかし、肝機能やコレステロールなどに関する血液検査は行います。その中で、ALPとコレステロールの数値に注意してください。

 ALP(アルカリホスファターゼ)という酵素は胆嚢・胆道・肝臓系、骨代謝などに異変があった時に、異常値を示します。 多くは、正常値より高いときに注意が促され、一般健診のあと、肝臓や胆嚢の精密検査を要するというようなコメントがついてきます。 ところが、これが低い値を示すときは、けっこうないがしろにされやすいのです。 と、言いますのは、ALPが正常よりも低い値を示すのは、「遺伝性低ALP血症」という10万人に一人ほどしか起こらない病気と、「甲状腺機能低下」や、亜鉛が欠乏する状態 (たとえばアルコール依存症)、あるいは何らかの理由でマグネシウムが少ないときなどになってくるからです。

また、甲状腺機能低下で、甲状腺ホルモンの分泌が減ると、肝臓でのコレステロールの合成が減じ、かつ、胆汁へのコレステロール排泄も減り、結果的に血中のコレステロールが増えます。
ALP低下だけ、あるいは、コレステロール値上昇だけ、各々一つだけで甲状腺機能低下を疑うのは早急でしょうけれど、この二つが同時にあれば、 甲状腺機能低下も念頭に入れておき、念のために甲状腺専門クリニックに行かれ、精査されたほうが良いでしょう。

ここに具体的な症例をあげます

< 女性・45歳 >
ALP 87U/L(基準値:104~338)
総コレステロール272mg/dL(基準値:150~219)
HDLコレステロール125mg/dL(基準値:40~90)



この人の主訴は、ひどい物忘れと、倦怠感、抜け毛、肥満です。主治医は甲状腺には無頓着だったようで、甲状腺にまつわるホルモンの検査はなされていませんでした。他の数値はまったく異常なしだったので、抗高脂血症剤の服用をすすめられるだけで終わっていました。納得がいかないので、あとで、他の病院で検査したところ、軽度の橋本病であることがわかりました。

 みなさん、去年の健診の血液検査のデータをもう一度見てください。そして、「ALP↓+コレステロール↑」であり、疲労感、うつっぽい、便秘、冷え症、脈が遅い、集中力不足、運動するも痩せない、顔も浮腫気味、眉毛の外側が抜けてきている、毛髪がごわごわ、 貧血気味、皮膚乾燥、精力減退(男性)、生理不順(女性)とあれば、かなりの確率で甲状腺機能低下を疑ってください。

ここに述べることは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントを摂ったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。 インターネットにより、Dr.牧瀬のアドバイスを受けられたい方は、こちら


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