蕁麻疹

アトピーの患者さんには時々合併します。とくに風呂上りに起こりやすく、「ボコボコとした」あるいは「ちょっと盛り上がった感じ」という表現で膨疹を説明する人が多いのです。
かゆみはけっこう強いのですが、たいてい、1~2時間、あるいはせいぜい翌朝には消えてしまっています。このタイプの蕁麻疹はコリン性蕁麻疹と呼ばれ、皮膚の抹消神経から放出されるアセチルコリンが関与しているとされています。アセチルコリンが肥満細胞に直接に作用し、ヒスタミン、ロイコトリエンなどのかゆみを促す物質の放出を促すからだと、一般的には説明されます。
それと、薬物ではアスピリンとペニシリンが蕁麻疹をよく引き起こします。慢性蕁麻疹の患者さんの2割~3割は、解熱・鎮痛薬で悪化します。
 
慢性の特発性蕁麻疹はかなり多く、蕁麻疹を主訴とする人たちの約5割りを占めます。この場合は、最近、健康保険が使えるようになりましたオマリズマブ(商品名ゾレア)を試してください。一種の生物製剤ですが、止むを得ません。現在のところ重篤な副作用の報告はありません。ただし、IgE値が最初から低い人(43IU/mL以下)の3割には効果がまったくないことがありますから、医師とよく相談してから摂ってください。
 
サプリメントの処方としては、ビタミンB群(通常の3倍)とビタミンC(日に10グラムほど)が有効です。
どこにどのように作用しているかよくわかりませんが、これで緩和される患者さんが結構おられます。
また、併せて腸溶性ラクトフェリンも足されることもおすすめしています。
これで少しも改善しない場合は、体内のエストロゲン・ドミナンスによって引き起こされていることもあります。これに対処するには、α-GPC、桑の葉のサプリメントが助けになる可能性があります。男性の場合は、これらの組み合わせにジインドリルメタン(DIM)、女性の場合は、インドル-3-カルビノールを足されたらもっと良いでしょう。
 
食事に関する詳細な記録をとることです。できれば、調味料、香辛料なども記録すればいいでしょう。蕁麻疹をおこす引き金となる物質がみつかるかもしれません。

50才を過ぎてから、突然、理由不明の蕁麻疹が頻発するようになった場合、念のために内科で検診などを受けてください。
 

ヘルペス

アトピー患者さんはよくヘルペスを合併させます。一番多いのは口唇や周りにできる小さな水ぶくれ様のもので、ピリピリと痛みがあります。 特長は、でき始めの湿疹の真ん中にはおへそのような小さな穴があいていることです。特にストレスが重なったときに発症します。単純ヘルペスウイルスⅠ型が原因ウイルスです。

このウイルスは感染力が強く、直接的な接触の他にウイルスがついたタオルやコップなどを介しても感染します。 一度感染して免疫を獲得して抗体ができても、機会があれば再感染や再発を繰り返します。感染力が強いので、患部を触った指で目をいじらないようにしてください。 目の角膜がヘルペスウイルスでおかされると非常に危険です。また、水泡も破らないように注意してください。普通、2週間以内に治ります。

大人にみられる口唇ヘルペスは、ほとんどが再発で、多い人は年3~4回も再発を繰り返します。 治療はアシクロビル(商品名ゾビラックス)やビダラビン(商品名アラセナA)という抗ウイルス剤(軟膏もあります)がよく効き、さほど心配はいりません。

しかし、初期であれば、抗生物質のエリスロマイシン(商品名:エリスロシン)が意外と功を奏するのです。 この薬は理論的には、細菌のリボゾームという小器官に作用して、細菌がタンパク質を合成できないようにするのです。 したがって、リボゾームをもっていないウイルスには、エリスロマイシンは直接には作用しないはずですが効くことがあります。おそらく、ウイルスが増殖するときに使うヒトの細胞の中にあるリボゾームに作用しているものと推測されます。

口唇ヘルペスくらいであれば、2週間もすると、ほとんどは何の治療もしなくても(しかし、痛いですが!)自然に治ります。 しかし、これがカポジ水痘様発疹症にまでなるとたいへんです。重症のアトピー患者さんにときどき合併します。顔全体に広がることが多く、ひどいときは全身にひろがります。 数日は入院して治療を受けるべきです。 まれにあるのですが、カポジ水痘様発疹症が併発したことに気づかず、いつもと違ってヒリヒリするが、アトピーが悪化したのだろうというくらいで、 ステロイド軟膏を多い目に使う患者さんがいます。これは症状を悪化させます。

アトピー症状はかゆいのが原則です。痛いときは、変だと思い、すぐに病院に行ってください。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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