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アマゾンのヒポクラテス(1)

Part3 ペルー

 先住民の治療法に関する会話はまだ続きます。昼にはイキトスにもどり、そこで、ナポ川のウルコという村のアルフレッド・シキークという治療師と、遅い昼食を供にしました。ナポ川はエクアドルから流れて来る川で、イキトスからアマゾン川を2時間ほど下った地点で、アマゾン川と合流します。先住民の生活改善をボランティアでされているハビエルさんが、深夜の0時30分ごろ、無線でシキークさんに連絡を取り、わざわざイキトスまでよんでくださったのです。午前3時ごろから村を出て、12時間かけて船でイキトスまで来てくださったのです。ある程度の大きさの村には、無線の基地があり、それでイキトスと連絡を取り合っているようです。いくらなんでも、電話や携帯は通じません。
  コカミーヨという種族の人らしいのですが、名前からもわかるように、西洋人の血が多少混じっているようで、そのため、さながらアマゾンのヒポクラテスといった容貌です。59歳。さきほどのカワサさんと同じ年です。シャーマンと書かないのは、なんとなく勤勉な学校の先生のような感じがするからですカワサさんと同じく、非常に引き締まった体をされています。

ちょっと代替療法に詳しい人は、キャッツクローという植物をご存じだと思います。Googleで検索すると、いやというほどでてきます。太い猫の爪のような刺が葉の付け根に生えた、ツル性の植物です。免疫力増強、抗炎症作用、抗アレルギー作用などのために、非常に多くの病気に使われています。ペルーではインカ帝国の時代から愛用されていたようです。アマゾンの奥地にしか生えないので、その保護のためにフジモリ大統領が「キャッツクロー保護法」まで成立させたという植物です。
シキークさん、こと、アマゾンのヒポクラテス曰く、キャッツクローは確かに初期の癌には効くそうです。しかし、日本や欧米で使われているカプセルや錠剤タイプのものではだめで、キャッツクローの木を切ったあとにでてくる新鮮で透明な樹液を飲むと効くのです。ここでも、僕は、うーん、なーるほど、と唸ってしまいます。インカ時代からですから500年以上、いやおそらくもっと昔、ひょっとすると人類誕生と同じ時代あたりから、使われていたのですから、そこには長い伝承に支えられた知恵があるのです。同じ物質でも、鮮度、形、摂取方によって、効果が違ってくるのです。
キャッツクローの樹液を飲むとの同時に、前立腺癌には、アマサーシという木の樹皮を切って、その樹液を飲み、同時にアマサーシの新芽の生長線をゆがき、その蒸気を会陰部(睾丸と肛門の間の部分)に当てる。子宮癌には、セドロ、カシュー、グワイヤーバ、ウボを煎じて飲み、またこれで膣から子宮を洗浄する。乳癌にはトゥーナ(ウチワサボテンの葉)を縦割りにして、それを炙り、患部に当てる。
リウマチの初期にはパティオーナの葉を火であぶって、患部に当てる。進行したものには、チュチュワシ、ワカプラナ、イコハ、タワリ(タヒボ)、アスカワイヨの樹皮を酒に10日ほど漬け、それを10ミリリットルほど飲む。これは精力も回復させる。(これと似たリウマチの療法がヨーロッパにもあります。ブドウの皮をジンに漬けて飲むという方法です。おそらく、ブドウの皮に含まれている抗酸化物質が吸収されやすい形になるのでしょう)。

 皮膚病には、10歳以上の場合、グラナディーアの葉を煎じて飲む。これは、血液浄化のためであるが、この場合の血液とは、生理学的に患者自身が今もっている血液の他に、先祖から受け継いだ、いわゆる血統をも含む概念である。そして、ヒソカスピの樹皮を煎じるとゼラチン様の物質がでてくるが、それを日に3回皮膚に塗る。10歳以下の場合、ライムを絞って汁を煮詰め濃縮すると、茶色の固形物質になるが、それを患部に塗る。すると、ある時点で、患部の皮がむけて落ちてくる。食事の注意も大切で、肉類はだめ、歯のある魚や骨の多い魚もだめ、鳥は食べてもよろしい、云々。


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