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過激思想とは何なのか?

Pert2 サンフランシスコ~リマ

 しかし、過激思想とは何なのか? 医療は万人が行う権利があるがゆえに、医師免許制は廃止しろ、というのは過激思想にあたるのか(これは僕の主張です)? 日本医師会にとっては天敵でしょうけれど、日本政府にとっては、さほど実害はない。したがって、過激ではあるが、まぁー許せる。しかし、日本は今すぐ核武装し、生物兵器の生産を始めるべきだと主張する人間は過激思想の持ち主か? 政府は許してもアメリカが許さないので、過激思想の部類に入れられるのか? タリバンの友人を一人でももっていれば、過激思想を抱いているということになるのか? 人工中絶は神の教えに背くものであるから、それを行う医師は、ことごとく射殺しなければならいという考えは、過激思想にあたるはずですから、そういう連中は飛行機に乗れないのか?
 つまり、何を持って過激思想であると定義され、何を基準にして搭乗拒否がなされるのか、実に不明瞭なのです。言い換えれば、政府にとって都合の悪い思想を持っている人間は、みんな意地悪されるというわけなのでしょう。
こんなことが、アメリカでは現実におこり始めているのです。そして、この事態は徐々にそのひどさを増していき、ついには、彼らが最も忌み嫌う共産主義国家のような全体主義の国にアメリカは変貌して行くおそれが十分にあるのです。リーマンブラザーズに象徴されるいかさま資本主義の跳梁跋扈より、もっと破壊的で、致命的なのは、この思想・信条の自由の制限です。そのため、長期的なスパンで見れば、今独創的で活気のあるアメリカの産業も、Goolgeでさえも、やがて萎縮し、競争力を失っていくでしょう。
この国民の管理が、膨大な数の監視カメラと精密なコンピュータで行われることが致命的なのです。中国にも思想、信仰、信条の自由はありません。しかし、管理技術がアメリカと比べれば圧倒的に貧弱であり、また、そのすさまじい数の人間(戸籍にも入っていない人間さえ2億人いると推定されています)を管理することは、ほぼ不可能です。これを言い換えれば、中国の方がまだ、自由があるということなのです。 日本の監視カメラの数は3000万台をこえ、世界一です。コンピュータも十分にあります。携帯電話ですら日本製は外国のPCと同じほどの能力をもっています。単一民族で、戸籍もしっかりしています。海に囲まれていますから、出入国管理も完璧です。つまり、世界で最も国民を管理しやすく、居場所さえ随時、支配者は把握することができる国なのです。ああ、恐ろしや、恐ろしや、という国なのです。
 服のどこかに微小チップを貼り付けなくても、およその居場所はわかります。たとえば、僕ですが、地下鉄に乗る際、大阪は「PITAPA」というICカードを使います。東京であれば「Suica」にあたります。改札の機械に軽く触れるだけで、料金が課せられて、あとで一ヶ月分まとめて銀行から引き落としされます。毎月明細書が送られてくるのですが、それを見ると、何月何日何時何分にどこその駅から出たと記載されています。また、近くのコンビニスで、オレンジジュース一つをJCBのクレジットで買おうと、それも何月何日、どこで150円の品物を購入したかと記録されます。したがって、本気で僕の居所を知ろうとすれば、PITAPAとJCBの協力があれば、今(2010年5月20日午後12時34分)、大阪堺筋線北浜駅のコンビニのローソン近くに、僕がいるだろうというおよそのことがわかります。
もし、厚生労働省が、メタボ健診反対の「過激思想」の持ち主である僕を、社会的に抹殺しようとうすれば、簡単な話です。大阪の地下鉄の中で、痴漢にしたてあげればいいのです。PITAPAを使うことにより、何時何分にどこそこの駅から乗車したことがわかりますから、そこに、被害者になるよう訓練された女性と、それを見つける屈強な男を送り込むのです。「きゃっ! この人、あたしのお尻をさわったのよ!!」と叫ばせ、男が僕の腕をつかみ、駅員に引き渡す。新聞社にすぐ電話し、取材させ、翌朝の新聞には、「医師、痴漢行為で逮捕!!」とすれば、一件落着です。僕は北浜の診療所も、沖縄の研究所も閉じ、せいぜいインターネットのブログで、冤罪だと叫ぶしかできなくなるのです。
はたして、皆さん、僕たちはこういう恐ろしい社会に住んでいるという自覚はあるのでしょうか?? 今、日本はまだ、そういう管理ができる可能性があるという段階でとどまっていますが、アメリカはすでに一歩、踏み込んでしまったようです。
おそらく、アメリカの衰退は、この自由の制限から始まっていくでしょう。他ならぬ自由の旗頭であったアメリカ自らが、国民の自由を制限して行く様子をしっかりと僕たちは観察し、他山の石としようではありませんか。


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