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ポスター発表(2)

Part1 まずはサンフランシスコへ

 ちょっと専門的になって、読者にはおもしろくないかもしれませんが、一つ紹介しましょう。それは、クマリンという一種のポリフェノールが、癌に効くという研究です。Florida Agricultural and Mechanical University 農学部の発表です。発表しているのは、黒人です。名刺には、Musiliya A. Musaという、初めて見る名前が書かれています。 もともとは、セネガル出身だそうです。助教授です。目のつけどころがいいので、発表をカメラで摂っておきました。
 クマリンをベースとして、そこから合成されるベンゾピラノン誘導体は、MCF-7という乳癌のホルモン依存性癌細胞を、従来使われているタモキシフェンという抗癌剤と同じ程度に縮小させるという研究です。また、A-549という肺の癌細胞にも効果があるということなのです。
 ここで、読者に注意していただきたいのは、クマリンは自然に存在する物質ですが、その誘導体は人工的な産物だということです。クマリンだけでも抗癌作用を示すのですが、それをさらに強化するために、わざわざ人為的に手を加えるというのが一つの目的ですが、もう一つの目的は、人為的に新しい物質をつくらなければ、特許が取れないというのも大きな理由なのです。特許が取れなければ、お金も取れません。そこで、化学者たちは自然に手を加え、人工物をつくろうと躍起になるのです。
 しかし、人工的に合成された薬は、どうしても副作用が強くなります。人体は自然の一部です。それがゆえに、自然界にすでに存在するものが体の中に入ってきても、さほど人体は驚きません。しかし、人工的に合成された薬は、いわば、人体にとって極めて異質なエイリアンなのです。人類がエイリアンに遭遇したとき、どう対処していいかまったくわからないのと同様に、人体はエイリアンである薬をどう代謝していけばいいかわからないのです。そこで、副作用が発生する確率が非常に高くなるのです。
 月桃にもクマリンが含まれています。しかし、人工的に化学合成されたものではなく、自然の一部に織り込まれて存在しています。したがって、化学合成されたものよりも効き目はたしかに強くないかもしれませんが、はるかに安全なのです。ですから、前立腺癌という、癌の中では比較的おとなしい癌には非常に適しており、3人も手術なしで、癌が消えてしまったのでしょう。
 植物には抗癌作用をもつ物質を含んでいるものがけっこうあります。たとえば、「一位の木」と呼ばれる杉の一種です。これには、強力な抗癌物質パクリタキセルが含有されています。このパクリタキセルは独特のメカニズムで癌細胞を殺傷します。細胞分裂に必要な微小管の安定化と過剰形成をおこし、その働きを阻害し、癌細胞の分裂を邪魔するわけです。
 それに目をつけたアメリカの製薬金社ブリストル・マイヤーズ・スクイブは、パクリタキセルを化学合成し、商品名をタキソールと名づけ、日本を含めた世界五十数カ国で売っています。しかし、このような純粋なパクリタキセルを投与した場合、特に抹消神経障害という重篤な副作用をおこすことがあります。
 しかし、「一位の木」の樹皮を煎じて飲むと、そういう副作用は非常にでにくくなるのです。半合成や全合成されたものより、自然に近くはるかに安全なのです。熱水抽出成分の中にあるパクリタキセルは、がん細胞が増殖しかけると、遊離型になって正常な細胞には作用せず癌細胞のみを攻撃します。癌細胞がおとなしいときは、パクリタキセルは糖などと結合して、正常な細胞を攻撃しないのです。つまり安全なのです。詳しくは www.drmakise.com の「症状別治療講座」の癌の「パクリタキセル含有杉」のところを参照してください。がん以外にも、子宮筋腫、糖尿病、腎臓病、花粉症、C型肝炎などにも有効です。


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