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メタボリック・シンドローム

最近、健康雑誌のみならず、新聞にもみかける言葉です。肥満、高脂血症、高血圧、高血糖などをあわせもつ状態をいい、厳密な定義は国により少し違ってきますが、日本では

①男性でへそ周りのウエストが85cm以上、女性で90cm以上。

まず、①の条件をみたし、次の②~④のうち少なくとも二項目をみたすと、メタボリックシンドロームであると定義されています。

②中性脂肪値が150mg/dl以上。HDLコレステロールが40mg/dl未満。
③収縮期血圧が130mmHg以上。または拡張期血圧が85mmHg以上。
④空腹時の血糖値が110mg/dl以上、またはHbA1cが5.5%以上。

これら四つの条件をすべて満たす場合は特に死の四重奏ともいいます。

以上のファクターの一つだけでも、心・血管系の病気のリスクが高いのですが、それらが重なってくるとリスクはもっと高くなります。

と、かなり、深刻そうに書いてしまいましたが、要は中年太りのオジサン、オバサンをいうわけで、昔からあったのです。

そして、「おい、おい、まってよ、この基準だったら、俺も、アタシもメタボだよ」という声が聞こえそうです。まさに、そのとおりで、中年のオジサン、オバサンの8割がメタボリックシンドロームになってしまいます。

これが、最近、中学生でも知っているほどの言葉になってしまったのには、わけがあります。つまり、現代医学は新しい病気が必要なのです。おわかりですか、この理屈が?

医者、薬剤師、製薬会社などにとって、最も恐ろしい事態は、病気がこの世からなくなることです。みんな失業してしまいます。常に何か新しい病気、それも薬がよく売れそうな病気が必要なのです。

「中年太りのオジサン、オバサン症候群(シンドローム)」では、かっこがつきません。そこで、「メタボリック・シンドローム」と、もっともらしいネーミングをしたわけです。日本人の8割を病人にしたてあげる、いわば、恐ろしくでたらめな基準なのです。

そして、このメタボリックシンドロームの治療にいったいどれほどの根拠があるのか? かなり、いいかげんなものだという気がするのは、私だけでしょうか?

これについては、「メタボの罠」大櫛陽一著、角川SSC新書を読まれるとよくわかります。東海大学医学部教授の大櫛氏は実に明快に、しかも確固たるエビデンスをもって、上記の基準に反論を書かれています。是非、お読みください

メタボリックシンドロームの基準で最も重きを置かれているのが①です。ようするに肥満です。ところが、この「男性でへそ周りのウエストが85cm以上、女性で90cm以上」という基準は実にでたらめであって、何の根拠もありません。

ちょっと、考えてみてください。身長180センチの人のウエストが85センチであることと、身長160センチの人のウエストが85センチであることとは、まったく違っています。それを無視して十把一からげに、85センチ以上を肥満とするのは、これほどおかしな基準はありません。

また、普通、日本以外の国のメタボリックシンドロームの基準①は、女性の方が少ないのです。例えば欧州インスリン抵抗性研究グループが発表している基準は、男性94センチ以上、女性80センチ以上です。日本の基準のみが、男性の方が少ないのです。

国際糖尿病連合は「日本のウエスト周囲径の基準は奇妙だから使わないように」という宣言文が出されているくらいなのです。

ということで、もし、あなたが日本の実に奇妙奇天烈な診断基準により、メタボリックシンドロームだと認定されても、少しも悩む必要はありません。ただ、危険なまでに肥満があれば、それを気にするだけで十分なのです。

では危険なまでの肥満とは、いったいどの程度の肥満なのでしょう。

肥満度を表すのに最も頻繁に使われているのはBMI(ody ass ndex)で、体重(kg)÷[身長(メートル)×身長(メートル)]です。例えば、体重70kg、身長170センチであれば、BMI=70÷[1.7×1.7]=24.22となります。

日本人の場合、18.5以下を痩せ、18.5~25未満を標準、25~30未満を肥満、30以上を高度肥満とします。真実のところ、BMIが25~28くらいの、ちょっと肥満気味の人の方が長命なのです。

アメリカの統計などを参考にすると、BMIが35以上の人では急激に死亡率が高まります。したがって、それが危険なまでの肥満と考えていいでしょう。

BMIが35というのは、例えば、身長170センチの人であれば体重100kgくらいで、身長160センチであれば体重90kgです。

要するに90kg~100kg以上の人は、注意しなければいけないということです。それ以外のチョイ太オジサン・オバサンには治療の必要性はまったくありません。

このような危険なまでの肥満の原因で、最も多いのが男女とも、ホルモンのバランスの崩れです。その典型が更年期です。更年期といえば女性だけのようにきこえるかもしれませんが、男性だって更年期はあるのです。

ようするに特に性ホルモンのバランスが変化する時期ということなのです。20代、30代では運動をしなくても、スリムな体型を維持している人は非常に多い。つまり、運動よりも、ホルモンのバランスが問題なのです。

男性ではテストステロンの減少、女性であればプロゲステロンの減少(あえてエストロゲンの減少とは書きません。専門的な議論になるのでこの理由は省きます)が肥満に大きく影響してきます。

また、男女とも、甲状腺ホルモンが低下した場合、肥満がおきてきます。つまり、肥満の解消には、性ホルモンと甲状腺ホルモンの正常化がきわめて大切なのです。またアディポネクチンの産生を促すサプリメントも助けになります。

身長、体重、へそ周りのウエスト、中性脂肪、HDL、血圧、血糖値、それに現在服用中の医薬品とサプリメント、具体的なお仕事の内容、既往歴(例:胆石のため手術 38才で)、家族歴(例:父 62才で心筋梗塞で死亡)、などお知らせください。

私のクリニックは美容のための痩身は行っておりませんので、危険な肥満以外は指導はいたしません。それでも痩せたいという人は、美容整形外科に行かれて、高いお金を払って、手術でおなかから脂肪を取り除いてください。非常にバカバカしい気がしますが。