
腎炎の分類は煩雑で、未だに完全な統一がなされておらず、けっこう厄介なのです。そこで、日常に比較的よく遭遇する代表的な腎炎だけをとりあげます。
(ネフローゼ症候群)
多くの原因疾患から共通の症状を呈する症候群で、次の4つを特徴とします。
①蛋白尿(日に3.5g以上) ②低蛋白血症 ③高脂血症 ④浮腫
原発性と続発性があり、前者は腎臓そのものに疾患が最初におきたために生じたものをいい、後者は先に身体的疾患があり、そのためにネフローゼ症候群をおこしたものをいいます。
原発性は、微小変化群、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎の4つがあり、続発性にネフローゼ症候群をおこす病気はかなりありますが、代表的なものは、SLE、糖尿病、多発性骨髄腫、Schonlein-Henoch紫斑病です。ここでは、原発性の中で最も多い、微小変化群について簡単に説明します。
-微小変化群-
ネフローゼ症候群の臨床症状を示す腎炎のうち、小児の場合8割がこのタイプで、大人の場合は3割を占めます。特に小児の場合、予後はよく、ステロイドによく反応し、完治する例が非常に多いのです(8割~9割が完治)。
したがって、このタイプの腎炎にはステロイド使用をすすめます。ステロイド使用に盲目的に頭から反対する自然療法指向の人たちにとっては、私の推薦は一見奇異にうつるかもしれませんが、ステロイドを使って完治するなら当然使うべきなのです。
いけないのは、命を取らない、しかもステロイド使ったからとて決して完治しない病気に(例えば関節リウマチなど)、漫然だらりとステロイドを使用することなのです。
一定期間のステロイド使用によって完全に治り、かつ他の治療手段が存在しないのなら、多少の副作用が出ても使うべきなのです。そこを恐々と不十分な量のステロイドを使っていると、治る病気も治らなくなります。
最初の1~2週間でむくみもとれ非常によくなったように見えますが、ここでステロイドを中止してはいけません。すぐに再発します。最低一ヵ月は十分な量を使い、漸減しながら、半年から一年間はステロイドを使います。
特に若いドクターたちの中には、ステロイドの副作用が頭から離れないらしく、この微小変化群に対して不十分なステロイドの使いかたをする人がいますが、それは誤りです。
したがって、このタイプのネフローゼ症候群の治療はステロイドが主体です。ビタミン、ミネラルなどのサプリメントはあくまで補助的な役割です。そこを間違って、健康食品販売店の宣伝にのせられて、ステロイド治療を止め、いい加減な代替療法に走ってはいけません。
しかし、ビタミン、ミネラル、ハーブを補助的にとるのは大いにすすめられます。例えば桃の葉や樹皮は昔から腎炎に使われてきました。コリンやイノシトールも大切です。
(IgA腎症)
慢性腎炎の6割がIgA腎症です。免疫グロブリンの一種であるIgAが免疫複合体を形成し、糸球体の一部に沈着します。抗原は不明です。
フランスを含めた南欧、そして日本に多く発症し、北米や北欧では少ない病気です。黒人ではまれですが、アメリカ・インデアンには多発します。未だに原因は不明ですが、人種的要因もあるようです。
発症しても数年は腎機能も血圧も正常なので、ほとんどの例が、健康診断で蛋白尿や血尿で偶然に発見されます。発症後10~20年で、2割から3割が腎不全に移行します。最終的には約5割が透析を受けるまで悪化します。
しかし、初期の場合、ステロイドのパルス療法と扁桃腺摘出で8割は寛解しますので、下手に代替療法に走ってはいけません。必ず専門に診てもらってください。ここでも、ステロイドの大量療法を恐れてはいけません。
降圧剤のACE阻害薬や抗血小板薬などが使われます。また、α-リノレン酸や、それから代謝されてでてくるEPAやDHAなどが、抗炎症作用とあいまって悪化阻止の効果があることは確認されていますから、積極的にそういうサプリメントもとるべきです。
ただ、IgA腎症にせよネフローゼ症候群にせよ、こと腎炎に関しては、他の病気にまして、しろうと判断でサプリメントをとっては危険です。
すでに、多くの患者さんが何らかの医薬品をとっていることと、カリウムやナトリウムなどの電解質のことも考慮に入れなければいけないからです。必ずビタミン、ミネラル、ハーブに詳しい医師に相談してください。
また、どんなタイプの腎臓病でも透析にまでなりたくないものです。それには、特にふくらはぎの運動も助けになります。その運動の具体的なやり方については、http://www.naizou.jp/jinzou/archives.cfmを開けてください。非常にためになります。
また、すぐ近い将来、おそらく10年以内、遅くとも15年以内、再生医療の素晴らしい発達によって、自分の皮膚細胞から、自分のDNAとまったく同じDNAをもつ腎臓が再生されるでしょう。そして、やがて透析という治療そのもがなくなります。それまで、希望をもってがんばってください。