最近はインターフェロンもかなり改良され、また、リバビリンなどと組み合わせで、確実にウイルスの量を減らすことができるようになりました。しかし、副作用である精神症状と皮膚症状が多発し、標準療法に反応性が高い人ほど副作用が強い傾向があります。

そのため、途中で治療をやめざるを得ない患者もいます。また、インターフェロンは非常に高額です。日本で開発され、しかも抗がん剤に次ぐドル箱ですから、特に日本の医者はインターフェロンを使いたがるのですが、可能なかぎり、使いたくないものです。


(A型肝炎)

A型は衛生状態の悪い時代、地域に発生し、今の日本国内で罹患するより、海外旅行で罹患し、潜伏期間が2週間~1ヵ月ですので、帰国後発生するタイプが多いようです。

第三世界では絶対に生水を飲んではいけないことは、どんな旅行案内書にも書いてあるし、また普通の常識を持ち合わせていたら飲みません。しかし、盲点があるのです。

一つは生ジュースです。マンゴー、パパイア、オレンジといった生ジュースは特に東南アジアでは美味しいのですが、それらが100%果汁であればいいのですが、水で薄めてある場合が問題なのです。その水がどんな水かわかりません。

それと、氷です。飲み物に浮いている氷は、どのような水からつくられたのかチェックできません。いくら100%の果汁、あるいはボトルからのウイスキーであっても、浮いている氷が不潔なものであっては話になりません。高級ホテルでも信用してはいけません。

また第三世界から日本に帰国する飛行機の中で出される飲み物に入れられる氷も疑ったほうが安全です。ステュワーデスが「With ice?」と、訊いたら、「No、thank you」と答えましょう。

日本までせいぜい6時間~10時間。そのくらいは冷たいものは我慢すべきです。日本発の飛行機ではOKです。

私は第三世界では、氷は飲み物には入れない、食事はホテルでとらない、生ジュースは目前で果物そのものを搾って水で薄めないものしか飲みません。食事はどこでするのかと言えば、目前で料理をつくる露天の小さなレストランでしかとりません。

おかげで、自慢ではないのですが、30年間、80数ヵ国、いろんな国を渡り歩きましたが、肝炎どころか、たった一度のひどい下痢以外、不愉快な症状を経験したことはありません。

そのたった一度のひどい下痢は、ガーナの首都アクラで、高級レストランで食事をしたあとでした。つまり、材料をどのように調理しているかわからなかったのです。

マルセイユやナポリの超高級シーフードレストランで出される生牡蛎や貝も危険です。日本国内でも、生牡蛎によるものが多いので、特に一月~三月にかけて、生牡蛎を食べるのは避けましょう。

A型肝炎は海外に出ても、日本国内においても、以上のことに注意し、かつ常識を働かせば十分防げます。もっと確実にしたいのなら、A型肝炎の予防接種を受ければいいでしょう。

そして、さらに幸いなことに罹患したとしても、慢性化することはありません。自然治癒する疾患ですので、基本的には薬物療法は不必要です。

しばらく徹底した安静臥床、それに十分にビタミン、ミネラルを補われるといいでしょう。いったん治癒すると抗体ができますので、もう二度とA型肝炎にはかかりません。

しかし、最近、激症化する例が多いので要注意です。特に中、高年で罹患した場合、重症化しやすく、強力な肝補助療法を行なう必要があります。

したがって、抗体ができていない中、高年で、第三世界に海外旅行をされる人は予防接種を受けておいたほうが無難です。3回に分けて、7ヵ月間にかけてされますので、旅行の予定をできるだけ早い目に立て、準備の中に肝炎の予防接種も入れておくことが望まれます。

普通、私は予防接種は一般的にすすめないのですが、第三世界に旅行する場合には、すすめています。

(B型肝炎)

昔は輸血後感染する例が多かったのですが、1982年以降、輸血用血液のB型肝炎のチェックがなされるようになってからは、まずその心配はありません。主な感染経路は母子感染です。

B型肝炎ウイルスのキャリア(保持者)である母親から生まれてくる赤ちゃんが、産道を通ってくるときに感染するのです。日本人のB型肝炎のキャリアの大部分はこれです。

しかし、1985年以来、ワクチンや免疫グロブリンで予防措置が取られるようになり、激減しています。したがって、20才より若い日本人にはこのタイプのB型肝炎の感染はほとんどないと考えてよいのです。

現在200万人がB型肝炎ウイルスのキャリアだと推測されており、そのうち10%、つまり20万人が発病しています。したがってたいへんな数です。この20万人という数字は大西洋の北のほうに浮かぶにアイスランドの人口です。一国の人間がまるまる一つの病気におかされているという計算になります。一種の国民病とさえ言われるほどです。

しかし、ゆくゆくB型肝炎は根絶とまで行かなくとも、非常に少なくなる運命にありますが、性行為による感染が残っています。エイズウイルスより感染力が強く、粘膜に少しでも傷があれば感染します。特に東南アジアで遊ぶ男性は要注意です。

しかし成人は免疫の力が強いので、ウイルスはやがて排除され、慢性化することはありません。

問題は慢性化した場合で、およそ5割が、ゆくゆくは肝硬変、肝臓がんに移行していきます。これが恐いのです。命取りになります。

また、B型肝炎の場合、C型肝炎よりも肝臓がんに移行する率は低いのですが、肝硬変という段階を踏まず、突然肝臓がんになる場合があり、常に注意が必要です。それに、他の病気で、例えば喘息とか膠原病で止むを得ずステロイドを投与された場合に、B型肝炎の変異株の増殖が促され、急性増悪をおこすことがあります。

したがって、他の病気で医者にかかるときにも、必ずB型肝炎であることを言っておきましょう。

よく使用される薬として、グリチルサン製剤の「強力ネオミノファーゲンC」という注射があります。「強ミノ」と略して医師が看護婦に指示しているのを聞かれた患者さんがきっとおられると思います。それほど頻繁にどこの病院でも使われる薬です。

しかし、かなりの回数根気強く打ち続けなければならず、それでやっとAST(GOT)、ALT(GPT)が下がったとしても、打つのを止めれば、また上がってきます。ALTを80以下に常に保っておくことができれば、肝臓がんへの移行はかなり阻止できると言われていますが、そのための注射であれば意義はあると思われますが、B型肝炎を治癒させるにはほど遠いのです。

また、「小柴胡湯」という漢方薬がありますが、一万人に一人の確率で副作用として間質性肺炎という死に至る重大な病気をひきおこします。肝細胞の炎症を抑える作用があるとされていますが、事実上、肝硬変、肝臓がんへの移行は止めることはできません。

またウルソデスオキシコール酸製剤の「ウルソサン」という薬がときどき投与されていますが、これはたしかにPBC(原発性胆汁性肝硬変)という特殊な肝硬変には効きますが、それ以外は「強ミノ」と同じく、ALTを80以下に保っておくという効果しかありません。

インターフェロンも副作用ばかりが多く、B型肝炎ウイルスの遺伝子の一部が人の遺伝子に食い込んでいるせいもあって、ウイルスを駆除することは、非常に難しいのが現状です。

また、B型肝炎に対するステロイド離脱療法という治療法がありますが、よほどその治療に熟練した医師がいる病院で受ける以外は避けたほうが無難でしょう。

肝臓移植はB型肝炎の場合、成功率は非常に低く、たとえ海外の優秀な病院でそれが可能であるとしても、すすめられません。体のどこかに必ずB型肝炎のウイルスが残っており、移植後再発することが非常に多いのです。


(C型肝炎)

C型肝炎ウイルスが発見されたのが1988年で、輸血用血液のC型肝炎ウイルスのチェックが始まったのが1990年で、完全にチェック体制が整ったのが1992年です。したがって、それまでに輸血された人たちのおよそ一割りがC型肝炎に感染したと推測されます。

また、刺青や覚醒剤注射の回し打ちによっても感染がおきますが、本当のところ感染経路の半分は解明されていません。

C型の場合、B型肝炎ウイルスと比べ血液に含まれるウイルスの数がその1/10万とずっと少なく、母子感染やセックスによる感染はまずおこりません。

ウイルスの輸血をしたこともない、また刺青や覚醒剤と無縁な紳士淑女に、C型肝炎の既往歴がある患者さんには、臨床の場ではしょっちゅうお目にかかります。皆さん、どこで感染したのかまったくわからないのです。

日本人の約1.1%がキャリアで、そのうち100万人が発病していると言われています。これは実に膨大な数字です。さきほど、B型肝炎のキャリアは200万人で、そのうち10%が発病していると書きました。言い換えれば、20万人がB型肝炎を発病していることになります。しかし、C型肝炎の患者数はその5倍にもなるのです。

C型肝炎に罹患してAST(GOT)、ALT(GPT)が上昇する急性期でも、症状が重くないケースが多く、たんに体がちょっとだるい、食欲がない、「風邪かなっ」という程度で過ぎてしまい、あとで慢性化した時点で、会社の健康診断なので、指摘されることがかなりあります。この急性C型肝炎の症状の軽さがあだとなり、知らないうちに慢性化するのがこわいのです。

B型肝炎とちがってC型肝炎は突然悪化したり、肝硬変を飛び越えていっきに肝臓がんになるようなケースはまずありません。静かに、徐々に、しかし確実に肝臓がんへんと移行していくのです。20年経過すると約65%のケースで肝硬変、50%が肝臓がんへ移行します。

インターフェロンは日本で発見されたせいもあるのでしょうか、世界のインターフェロン使用量の半分を日本だけで消費しています。1992年にインターフェロンの健康保険適用がきまり、当時は1800億円もの売り上げを記録しました。インターフェロンに対する研究も日本が世界をリードしています。

最初は夢の新薬ともてはやされたのですが、その後いろいろな欠点が指摘されだしました。その筆頭は副作用です。頭痛、腹痛といった軽いものから膠原病まで、あらゆる種類の副作用が報告されています。

インターフェロンの副作用により欝状態になり、自殺という新聞記事を読まれたかたはきっとおられると思います。

また、高価なことも欠点です。種類、それに投与期間にもよりますが、最低150万円~最高800万円ほどかかります。健康保険をきかしても高額であることには変わりありません。

サプリメントとして、特にα-リポ酸がすすめられます。しかし、このサプリメントは下手に摂ると、他のビタミンの相対的不足をおこしますので、慎重に摂らなければいけません。またラクトフェリンが著効を示しますが、普通のタイプでは効きません。

それと、瀉血がすすめられます。これは、最近、ようやく日本の医学界でもその効果が認識されだし、病院によっては、行ってくれるところもあります。

しかし、現状は多くの病院は旧態依然です。瀉血をするとヘモグロビンが減り、肝臓の鉄分が消費され、その結果ALT(GPT)が下がるのです。

しかし、その瀉血の部位ですが、日本で行われる腕の正中静脈からの瀉血より、本当は肩甲骨のやや下あたりに走っている浅い静脈から瀉血するほうが効果的なのです。

これは、韓国は釜山の韓方医学の大家から教わりました。解毒と瀉血療法のために、月に一度、ツアーを組んでその大家のところに患者さんと一緒に行くツアーも組んでいます。

あなたが悩む次の疾病に、医薬品と違って副作用が圧倒的に少なく、しかも医薬品と同等か、あるいはより効果的な、ビタミン、ミネラル、ハーブなど、安全で自然な数種類のサプリメントと摂取量を、常に患者さんの症状にフィードバックしながらパーソナルに処方をします。したがって、改善状態に応じて、2~3ヶ月に一度、処方を変えたり、量の増減を行います。