ホジキン病と非ホジキンリンパ腫の二つに分類できますが、いずれも化学療法と放射線療法の二つの組合せで7~8割が治癒します。

したがって悪性という形容詞はひょっとすると大袈裟すぎるかもしれません。希望のもてるがんです。白血病と同じく、専門医のいる病院で治療してもらいましょう。

この病気にかかり(非ホジキンリンパ腫のB細胞型ということでした)、現代医学を拒否して、はるばるメキシコの国境の町ティファナまでゲルソン療法を受けに行った日本人男性がいました。

ゲルソン療法というのは、一種の自然食事療法で、抗がん剤や放射線を使わずに、それなりにけっこういい成果をあげている、かなり有名な代替療法です。マックス・ゲルソン「ガン食事療法全書」というタイトルで邦訳されて、大きな本屋であればたいてい見つけられます。

その日本人男性患者は当然、抗癌剤などは使われないと思って行ったのですが、彼の意図に反して、そこで行なわれたのは、COP療法(サイクロフォスファマイド、オンコビン、プレドニゾロンといった三つの強力な薬の組合わせ)だったのです。

ところが、いいかげんな薬の使い方をされたらしく、すぐに再発してしまいました。一般的にどんながんでもそうなのですが、特に白血病、悪性リンパ腫は再発した場合、予後は非常に悪いのです。

内科でもとりわけ血液に関する病気は、プロ中のプロが扱うべきものなのです。ゲルソン療法を非難する気は毛頭ありませんし、むしろ、抗がん剤、放射線、手術のみを三種の神器としかみなせない現代医療よりはるかにすぐれていると考えます。

しかし、ゲルソン療法を行なう医師が血液のがんに関するプロだったとはとても思えません。半ば教科書片手にCOP療法を行なったのでしょう。おそらく、抗がん剤の使い方が中途半端だったのです。

白血病や悪性リンパ腫の治療のこつは、これで患者の体がもつのかと危ぶまれるほどの徹底した量を集中的に投与して、がん細胞を一気に根絶やしにすることなのです。

そういう治療は、なまじ自然療法に首をつっこんでしまった医師には非常に抵抗があり、これでいいのかという躊躇があるのです。それが災いしたのです。

したがって、初発の白血病や悪性リンパ腫は必ず血液の専門家がいる大学病院で治療してください。何とか市民病院でもまだ不十分です。これらの病気こそ、きらきらと輝くばかりの権威ある、どこそこ大学なになに内科で診てもらうのがベストなのです。

このときばかりは、「患者さん、私たちに任せてください。最高の治療を約束しますから」といわれれば、素直に「お願いします」と、受け入れるべきなのです。

代替療法やサプリメントによる治療を考えるのは、最初の抗がん剤で治癒されなかったときか、あるいは再発したときです。ゲルソン療法を行なうクリニックでも、まず最初に化学療法を選ぶのですから。

血液を専攻するのは医学生の中でもトップクラスの秀才です。三度の飯より学問が好きだという連中です。医局に入ってからも徹底的にしごかれ、非常に真面目に勉強しています。信頼してあげてください。

また、特に若い男性の患者さんでこれから子供をつくろうと考えている人は、薬によっては化学療法を受けると不妊になる可能性が非常に高いので、主治医とよく相談してください。

また睾丸は放射線に非常に敏感なので、このときも注意してください。いずれの場合でも精子を凍結保存しておくという方法も考慮されてしかるべきでしょう。

 これも白血病と同じく、現代医療がファーストチョイスですから、セカンドオピニオンはありません。ここに書いてあるとおりです。ただ、医者からサジをなげられたときのみ、相談を受け付けます。