
アメリカでは7~8人の女性中1人の割合で乳がんにかかります。たいへんな率です。
日本でも食生活の変化によってじょじょに増えてきており30人に1人ほどです。これも恐るべき数字です。しかし、5年生存率は90パーセント以上ですから、がんのなかでも前立腺がんと同じく治しやすいがんといえるでしょう。
最近マンモグラフィーによる検診ビジネスが盛んに喧伝されています。しかし、これもPETと同じように延命率とは何の関係もありません。むしろ、もし乳がんがすでに存在しているなら、かえって転移を促す危険性があります。
転移がなく小さなものであれば、まず手術です。
最近は乳房の形成手術が大変にすすんでいますから、小さな手術痕などきれいに隠せます。それなのに、手術を拒否し、完治するべきはずのがんを完治させないでおくことほどバカバカしいことはありません。
常識を逸脱したビタミン、ミネラルの代替療法は危険です。エストロゲン類似物質を含んでいるザクロジュースを飲みすぎて乳がんを発生させ、死亡した知人がいます。また、イソフラボンを含んでいるサプリメントは不用意に摂ってはかえって危険です。こういうことをごぞんじでしたか?
特に乳がんは、現代医学とサプリメント療法、これら二つに十分な知識と経験のある医者から指導を受けながら、ビタミン、ミネラル、ハーブなどを摂るべきなのです。
モキシフェン、ハーセプチンなどとサプリメントの併用は、専門医でしか指導できません。自己流は非常に危険です。自己流でサプリメントを摂るくらいなら、現代医学一本で行ったほうが、まだずっとましです。
40歳以上、低い初潮年齢(12歳以下)、高い閉経年齢(55歳以上)、出産を経験していない --- 言い換えれば、エストロゲンに多くさらされた人 --- が、乳がんを発生しやすいのです。
エストロゲンは、主にエストロン、エストラジオール、エストリオールの三つの性ホルモンの複合体ですが、その中でも、エストロン、エストラジオールの比率が高いほど、乳がんにかかりやすいのです。
つまり、エストリオール÷(エストロン+エストラジオール)が小さいほど安全だということです。アメリカは非常に乳がんの発生率が高い国ですから、乳がんに対する代替療法も、日本とは比較にならないほどすすんでいます。
例えば、ヨードを補うことによって、エストリオール÷(エストロン+エストラジオール)の比率を小さくして、乳がんの発生を防ぐというような治療もあるのです。(乳腺症にもヨードは効果があります)。
エピガロカテキン・ガレート(EGCg)という緑茶に含まれているカテキンの一種も抗がん作用があります。昔から緑茶をよく飲む地方はがんが少ないといわれていました。
特にエピガロカテキン・ガレートはDNAポリメラーゼ活性阻害能力がすぐれており、がん細胞のアポトーシスを促します。がん細胞をばらばらにして転移をおこさせやすくする作用があるウロキナーゼという酵素の働きも阻害します。
それでは、緑茶をたくさん飲めばいいということになるのですが、いったんがんにかかってしまって、それを治そうという目的であればやはり大量のエピガロカテキン・ガレートを摂取しなければならず、それにはサプリメントでとる必要があります。
緑茶にはカフェインが含まれていますから、大量に飲むことは健康によくはありません。また、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、メキャベツに多く含まれる、イソチオシアン酸塩が乳がん(前立腺がんにも)の予防に非常に役立ちます(しかし、それらの野菜を食べ過ぎると甲状腺機能の低下をきたしますので注意してください)。
それを含有するサプリメントも存在します。また、フラックスシード・オイルに多く含まれるオメガ3の不飽和脂肪酸も予防に役立ちます。
少し専門的になりますが、2-ヒドロオキシエストロゲンと16-ヒドロオキシエストロゲン(2/16)の比率を改善することが、乳がん治療にいい結果をもたらします。それには、インドール-3-カルビノール(I3C)とdi-indolylmethane (DIM)が非常に効果があります。
これらもキャベツ、ブロッコリーなどにたくさん含まれています。しかし、それでも不足する場合は、サプリメントから摂取する方法もあります。まず、最初はDIMを摂るのが普通です。
また、DHEA(デハイドロエピアンドロステロン。DHAではないことに注意)が不足していると、乳がんのリスクが高くなります。
その場合はそのサプリメントを摂るのがいいのですが、下手に摂りすぎてもいけません。つまり、何々のサプリメントが乳がんに効果的だと、 漠然と人から聞いて、自分流に摂るのは、かえって危険なのです。
「がん予防」や「肺がん」のところもお読みください。詳しい経過をお知らせください。それを検討したうえで適切なサプリメントを処方します。