本当に正しい知識の羅針盤「ドクター牧瀬のサプリメント講座」


高脂血症(コレステロールや中性脂肪の高い状態)

脂質異常症(高コレステロール血症)-その1

脂質異常症(=高脂血症:コレステロールや中性脂肪の高い状態)
コレステロールや中性脂肪は高くても治療は不必要。 しかし、どうしても下げたいという強迫観念にとらわれている人は、次のサプリメント。

月桃(JIPANG Ginger®) 、腸溶性ラクトフェリン、CoQ10(還元型)、ビタミンB群(B2、B3、B5、B6、B12、 葉酸、 ビオチン、コリン、 レシチン)、ザクロ、ビタミンC、オメガ3系不飽和脂肪酸(フラックスシードオイル、エゴマオイル、魚油)、 マグネシウム、イノ シトール、ブラダーラック

これらのサプリメントはあくまで一般化したもので、個々の症状によって違ってきます。したがって、これらのサプリメントを摂られる前に、Dr.牧瀬にメイルを送り(dr@drmakise.com)、量や種類をきいてください。粗悪な製品のサプリメントの摂取、摂取不足、過剰摂取はかえって身体に悪影響をおよぼし、完治を妨げる結果になることが多々あります。

もし、あなたがスタチン系の高脂血症用の薬、たとえば、メバロチン、リポバス、ローコール、リピトール、リバロなどを服用中であれば、必ずCoQ10(還元型)を多めに摂ってください。つまり、200~400mg/日。なぜなら、スタチン系の薬を摂ると心臓に最も重要なCoQ10が枯渇するからです。

もし、これを読まれている人が医療関係者であれば、次の文献を参照してください。日に400mgでも足らない恐れがあることが認識されるでしょう。
Rundek, T., et al. 'Atorvastatin decreases the Coenzyme Q10 level in the blood of patients at risk for cardiovascular disease and stroke." Arch Neurol.2004 June;61(6):889-92

特に月桃(JIPANG Ginger)、腸溶性ラクトフェリン、ビタミンB群、ビタミンC、フラックスシードオイル、マグネシウムは、健康維持のためにも効果的です。私は、コレステロールを下げるという意味ではなく、健康維持のためにそれらを服用しています。

ブラダーラックは甲状腺に異常のある人、妊娠中の女性は、医師と相談して摂ってください。

最初に、コレステロールに関する基本的な用語を簡単に説明しておいたほうが、これからの話をしやすいと思います。
しかし、じゅうぶんに知っておられる方や、あるいは面倒臭いと感じられる人は、飛ばしていただいてけっこうです。

《HDLコレステロール(善玉コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)》

脂質 + タンパク質 = リポタンパク

コレステロールや中性脂肪といった脂質は、水溶性環境である血液には溶けません。
水と油はまじわることはできないのです。
そこで脂質が血液中を流れるには、ある種のタンパク質に覆われていなければなりません。この覆われた状態をリポタンパクと呼びます。わかりやすく整理すると、上の図のようになります。
この脂質を構成しているのが、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、各種ステロイドホルモン、コレステロールエステル、糖脂質、カロテノイド、遊離脂肪酸、それに、ビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミンです。

 リポタンパクは脂質の構成成分の割合によって5つに分類されます。
そのうちの二つがLDL(低比重リポタンパク)であり、HDL(高比重リポタンパク)なのです。
LDLはコレステロールが47%、中性脂肪が9%、残りはリン脂質とタンパクです。HDLはコレステロールが19%、中性脂肪が8%、残りはリン脂質とタンパクです。
つまり、これでおわかりのように、LDLというコレステロールや、HDLといった異種のコレステロールがあるわけではないのです。コレステロールの分子としては一種類しかないのです。

 LDLコレステロールが悪玉といわれるゆえんは、ごく簡単にいえば、動脈の内膜に入り込み、粥状硬化をおこしやすいからです。
またHDLコレステロールが善玉といわれるゆえんは、血管にへばりついたコレステロールを肝臓にまで輸送し、肝臓に戻してやる働きがあるからです。
しかし、どちらもヒトが生きていくには絶対に必要なものです。
また、HDLは善玉といえど、特に手術後などに感染がおこったとき、LDLを酸化させることがあり、悪玉に豹変することもあるのです。つまり、エイコサノイドのところで述べたように、大切なのはバランスなのです。

《過酸化脂質》

 活性酸素は脂質と結びついて、粘着度の高い過酸化脂質なるものをつくりだします。
脂質(コレステロールや中性脂肪)そのものは動脈硬化を促進する主役ではありませんが、この活性酸素によって変形された過酸化脂質なるものは、血管にへばりつきやすいので、リスクは高くなります。
とくに、悪玉LDLコレステロールは活性酸素によって変性を受け、過酸化脂質になりやすいといわれています。下図参照。
したがって、抗酸化物質をとることによって、過酸化脂質の発生が減り、その分だけ動脈硬化のリスクは少なくなるというわけです。
この二つを頭に入れておいて下さればじゅうぶんです。

脂質 + 活性酸素 → 過酸化脂質

《コレステロールは厄介者か?》

 このようなタイトルで始めると、きっと、こうるさい食事制限の話がでてくるのではないかと懸念される人が大勢いらっしゃると思いますが、ご安心を。
そんな野暮なありきたりの情報を提供するために、時間を費やす気はまったくありません。
そもそも、コレステロールや中性脂肪という脂質自体は何も悪さをしないのです。ちなみに、純粋なコレステロールを大量に実験動物に注射しても、動脈硬化はおこしません。
それなのに、総コレステロール値220mg/dl以上、あるいは中性脂肪値150mg/dl以上、あるいはLDL140mg/dl以上の場合、医者はすぐに抗高脂血症剤を処方します。
しかし日本で一番多く処方されている、HMG-CoA還元酵素阻害薬(いわゆるスタチン系ドラッグ---
プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンなど)には深刻な欠点があるのです。
それは体内のCoQ10を枯渇させるという副作用です。
CoQ10は先ほど述べたように重要な抗酸化作用を示すのみならず、心臓を正常に働かせるために非常に大切な補酵素なのです。
ところが、狭心症や心筋梗塞を防ぐために服用している抗高脂血症剤そのものに、心筋に必須の栄養素CoQ10を枯渇させる作用があるのです。しかもスタチン系抗高脂血症剤には横紋筋融解症という極めて重大な副作用があるのです。
それについては「私は薬に殺される」福田実著・幻冬社刊、をお読みください。

あなたが40代以上であれば、総コレステロールが250mg/dlくらいでは、特にスタチン系の抗高脂血症剤はのむ必要はまったくありません(280mg/dlでも不要)。
むしろ、そのくらいのコレステロールが適切なのです。がんにもかかりにくいのです。うつ病にもなりにくいのです。
また、LDLが悪玉、HDLが善玉と分けて考えるようですが、とんでもない話で、どちらも体に非常に大切だから存在するのであって、特に日本人の場合、LDLが少々多くても問題はないのです。
また、中性脂肪は150mg/dlを最高として、それ以上は下げる必要があるなど、明確な医学的根拠はありません。
むしろ、日本人の場合、総コレステロール、中性脂肪が少ないほど、総死亡率は高いのです。

 しかし、世には脂質異常症(高脂血症)のための食事指導の本がいやというほど出ています。読む必要はまったくありません。
なぜなら、現実の生活では、実現できないメニューばかりだからです。仮にできたとしても、よほどの健康オタクのしっかりもののかみさん、あるいは健康ジャンキーのだんなさんがいて、精進料理からビーフステーキなみのご馳走を毎日つくってくれなければ、三日坊主に終わってしまうのが関の山です。
特に単身赴任のお父さん、洋食に慣れてしまった若い独身男性、つきあいで外食の多い営業マンには事実上不可能なことです。
それにもかかわらず本屋に出回っている脂質異常症(高脂血症)のためのほとんどの本には、非現実的なメニューが満載されています。買うほうも買うほうですが、それを書くほうも書くほうだと思いませんか。
病院の入院患者のメニューじゃあるまいし。
普通の社会生活を送っている多忙な人々の、いったいどれだけがそのメニューを守れるか。そんな基本的なことを、そのような本の著者たちは、飛ぶ鳥の影ほどの瞬間さえ考えてはいないでしょう。
総ページ数のおよそ三分の一から、多いときには三分の二ほどが実行不可能な献立表に費やされています。どこそこ大学医学部、なになに教授が書いたとしても、…しかし、実際には若手の医局員に書かせて、あとはさっと目をとおすだけでしょうけれど…、現実離れした指導です。
要するに、教授のゴーストライターである医局員が、まだ書くことがないほど勉強不足だから、あるいは、書く才能がないから、そんな健康オタク用のメニューで誤魔化しているのです。
いいかえれば、名前を貸しているなになに大学の教授は誠実でないということです。
脂肪からとるカロリーは全体の10%以内にしないさいといわれたところで、この忙しい現代人のいったいだれがまともに守れるでしょうか。
そして具体的にどのようにしてカロリー計算をしろというのでしょうか。カロリーブックと電卓を持ち歩き、会食の時にもチェックしなければならないのでしょうか。こんなことをお客の前でやっていると、まとまるはずの商談までまとまりません。バカも休み休みにしないさいといったところです。
また、体内のコレステロールの75%はアセチルCoAという物質によって、細胞内でつくられます。
したがって、脂肪の多い食事をとったからといって、コレステロールが上昇するということでもないのです。つまり、低脂肪のまずい食事がはたして、健康に役立つかどうかは、実のところかなりあやしいのです。

 そして、そういう本に限って、厚生労働省ご推薦教科書のように適度な運動を奨励しています。

「適度な運動? バ~カこくでね~ど!」

と、いいたいほどです。毎日、毎日、片道二時間も満員電車に積み込まれて通勤するお父さん(お母さん)に、それ以上苛酷で適度な運動があるでしょうか。乗り換えに、JR、地下鉄、私鉄の階段を昇降するだけでじゅうぶんではないでしょうか。
睡眠時間を減らしてまで帰宅後深夜にジョギングなんて、それこそ狂気の沙汰です。
夜はセックス以外は静かに眠るものだと太古の昔から人間の体はプログラミングされているのです。昼休みに屋上で縄飛びするより、昼寝しているほうがよほどましです。
そして、土日は自宅でごろごろと怠けているのが最大の健康法なのです。日曜日くらい家族で遠出とばかり、週日の勤務でクタクタになったお父さんを早朝から叩き起こすようなかわいそうなことはしないであげて下さい。
早死にさせます。適度な運動が必要なのはわずか10センチばかりの隙間を狙って、強引に1メートル以上の巨大な尻をねじ込みながら座席を確保せんとする三食昼寝つきの中年のオバハンぐらいなものです。
そういう破廉恥なオバタリアンには、確かにジョギングも必要だろうし、エアロビクスも必要でしょう。
しかし、激烈な競争社会の前面に立って、日夜、家庭をささえんと激務に励む普通の人々の健康維持には、まがぬけたようにゆったりと流れるくつろぎの時間のほうが、適度な運動よりももっと必要なのです。
適度な運動に固執するあまり、そういう無為なる優雅な時間を奪われるのは最もバカげたやりかたなのです。
出勤前に、電車に間に合うようにと、一分、二分の遅れを気にしながら排気ガスの充満した街中をジョギングするなんて、心臓にいいわけがありません。常識で考えてもそうでしょう。
それほどジョギングが健康にいいと思われるなら、通勤時に、すべての階段を軽く…あくまで軽く…駆け昇ることをされたらいかがでしょうか。あるいは、軽く汗ばむほどの早歩きでオフィスや仕事場にむかうことです。時間の節約にもなります。

 そういった強靭な意志力を必要とする、いい換えれば、実行するにおよんで多大なストレスがかかるやり方、つまり長期にわたる食事制限と運動プログラムは、事実上、絶対といっていいほど長続きしません。
高脂血症はそれ自体、痛くも痒くもなく、自覚的に何ら不愉快な症状を感じるわけではないので、よほどの健康オタクか末期的健康ジャンキーでないかぎり、そこまで懸命になって予防しようという気がおこらないのです。
したがって、必ずどこかで中途挫折してしまいます。それなら、最初からそういう戦略はとらないのが賢明というものです。

そして、ここで、特に注意しなければいけないのは、コレステロールを気にするあまり、低くし過ぎてもよくないということです。
総コレステロールが160㎎/dlを切ればかえって要注意です。
コレステロールは人体にとって絶対に必要不可欠なものです。主に睾丸や卵巣でつくられるテストステロンやエストロゲンといった性ホルモンはコレステロールがなければつくられません。
皮膚は紫外線を受けてコレステロールからビタミンDをつくります。副腎でできるステロイドホルモンもコレステロール由来です。
また、細胞膜を構成する重要な一因子でもあります。
戦前の日本には脳出血が非常に多かったのですが、その大きな原因の一つは動物性脂肪蛋白が不足し、じゅうぶんなコレステロールを摂取できず、脳の血管が脆くなっていたのです。
それに最近の研究によると低コレステロールの人には自殺傾向が強いということです。これは何となくわかるような気がしませんか。
太った人がうつ状態に陥って深刻そうな顔つきをしている様子をしているのをあまり見かけたことはないでしょう。
どちらかといえば、汗をかきかき多飲多食をしなかがら、ワッハッハーと笑いとばしている人が多いのではないでしょうか。
また低コレステロールの人は肝臓がん、慢性閉塞性肺気腫にかかりやすくなるともいわれています。
生命保険の統計では、最も長生きするタイプは、完全に平均的中肉中背のタイプではなく、やや小太りのタイプだそうです。つまり、メタボのおっちゃんやおばちゃんなのです。

フィンランドは世界でも最も冠動脈疾患、つまり、狭心症や心筋梗塞が多い国です。
そこでの15年にわたる調査で、低コレステロール食をとったグループと、本人の好きなものを食べさせたグループの死亡率は、何と前者のほうが二倍も高かったという結果さえ出たということです。
こうなると、もう栄養学の根本が問いただされるほどです。
そして、そうされなければならないのです。またオランダのライデン大学の研究によると、85才以上の場合、むしろコレステロールが高いほうが感染症やがんにかかる率が低くなり、結果的には長生きできると証明されています。
したがって、無理にコレステロールや中性脂肪を下げようと悪戦苦闘し、特に副作用のある抗高脂血症剤で対処するのはナンセンスそのものなのです。
コレステロールは下がったが、他の病気になってしまったでは何の意味もありません。
問題はコレステロールや中性脂肪が酸化されないように気をつけることなのです。
つまり、適切な抗酸化剤をサプリメントからとればいいのです。
また、悪性のアミノ酸であるホモシステインを下げるビタミン類もとればなおいいでしょう。
ただし、「家族性高脂血症」の人で、総コレステロールが350mg/dl、中性脂肪が900mg/dl以上にも達する人(500人に1人ほどの割合)は積極的にHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系ドラッグ)を服用する必要があります。
私の患者さんにもそういう方がおられ、その方に限って、スタチン系の抗コレステロール剤を服用していただいています。 

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