
A:甲状腺機能亢進症
代表的なのがバセドー氏病です。これはサプリメントで治すことは無理であり危険です。しかも、メルカゾールやプロパジールなどいい薬があり、それで十分に治癒しますから、甲状腺専門医の指導を受けてください。もっとも、ビタミン、ミネラルなどの基本的なサプリメントはとっておくべきです。
(ハーブに興味のある人は、Gypsywort というハーブが甲状腺機能亢進を鎮めてくれることを知っておいてください。私は患者さんに使ったことがありませんので、効果のほどは具体的には知りません。しかし、ハーバリストや甲状腺専門医の方々はぜひ研究してください。ヨーロッパでは伝統的に使われています)
私のクリニックの女性職員が昨年(2009年)の5月に甲状腺機能亢進症と診断され、甲状腺専門医の処方でメルカゾールを日に2錠とり始めました。6月から月桃加工食品(JIPNAG Ginger®)をメルカゾールとともに日に10錠いっしょに摂ったところ、7月の検査で著明な改善が見られたので、メルカゾールを日に1錠に減らすことができました。彼女は20年前にも一度、甲状腺機能亢進症を患ったことがあり、そのときもメルカゾールを服用したのですが、メルカゾールを減量するのに、そのときは1年以上かかりました。甲状腺専門医も著しい改善に驚いていました。その後、メルカゾールと月桃加工食品(JIPNAG Ginger®)を摂り続け、ついに今年の1月の血液検査、エコー検査、すべて正常となり、現在は(2010年3月)、メルカゾール1錠を一日おき、月桃加工食品(JIPNAG Ginger®)は10錠という処方です。もうすぐに、メルカゾールの服用は不必要になるはずです。
B:甲状腺機能低下症
月桃(JIPANG GingerR)、セレン、マンガン、フラックスシードオイル、ブラダーラック(ケルプ、ヒバマタ)、7-Keto-DHEA
これらのサプリメントはあくまで一般化したもので、個々の症状によって違ってきます。したがって、これらのサプリメントを摂られる前に、Dr.牧瀬にメイルを送り(dr@drmakise.com)、量や種類をきいてください。粗悪な製品のサプリメントの摂取、摂取不足、過剰摂取はかえって身体に悪影響をおよぼし、完治を妨げる結果になることが多々あります。
甲状腺機能低下症であることにまず気づくのが先決なのですが、これがどうしても見過ごされやすく、特に、うつ病 や、更年期障害、慢性疲労症候群などと誤診されがちなのです。その大きな理由は、内科医がこれに気づかないことも あるのですが、甲状腺に関係するホルモンを調べても正常とでてしまい、甲状腺の機能低下とはみなされないことが、 往々にしてあるからです。ですから、血液検査結果にかかわらず、次の簡単な検査をご自分でしてみてください。
毎朝床から起きるまでに体温をはかってください。普通の体温計でけっこうです。腋ではかって36.2度を切るようであれ ば、それは甲状腺機能低下の可能性があります。36度を切ると、かなりその可能性が高くなります。この体温低下現象 は世界中でおこっているようです。ひょっとすると、地球の温暖化(もっとも、最近は、地球は温暖化などしていないという 意見も多いのですが)とどこか関係があるのかもしれません。外が暑くなっているから、体は冷やそうとしているのでしょう か。しかし、体の冷えは万病のもとです。
乾癬の治療に来られた男性患者です。非常に冷え症で、真夏でも使い捨てのカイロを背中に貼りつけているとのことで したので、念のために甲状腺機能の検査を、エコーも含め甲状腺専門医でしてもらうようにすすめました。結果はTSHが 正常値よりわずかに高く、軽度の橋本氏病で、薬をのむほどではないが、要注意という診断でした。乾癬と橋本氏病は 直接には関係ありませんが、この人は10年も乾癬を患っており、病院には足しげく通っていたわけで、それなのに10年 という長い期間にもかかわらず甲状腺機能低下に、医者は気づけなかったのです。これほど、甲状腺機能低下は見逃さ れやすいのです。
甲状腺のホルモンはT4、T3、それとrT3の3種類があります。その中で、活性の強いのがT3です。rT3はT3と分子量 は同じですが、鏡像の異性体です。rはreverse (裏返す)のrです。その活性はT3と比べるとほとんどありません。したがっ て、T3が甲状腺ホルモンとしての主な働きをしているといえます。
普通の血液検査では、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4、FT3は必ずはかるのですが、rT3ははかられることはまずあり ません。ところが、通常の検査では、rT3はFT3と同じにみなされ、FT3として検査結果がでてきます。すると、いくら活性 のないrT3が多く、活性の強いFT3が少なくても、検査としてはまったく異常なしということがおこりえるのです。しかも、TSH も正常とでてくるのです。
つまり、普通の血液検査には甲状腺機能低下を示す数値は現れない、しかし、真実は、rT3が多く、甲状腺ホルモンは うまく作用していない。これを「ReverseT3 Dominance」と呼びます。日本語に訳せば、「リバースT3優位」とでもなるでしょう か。
したがって、現実には、平熱がいつも36度を切る、ボーッとしていることが多い、便秘気味、コレステロール値が高い、 脈が遅い、疲れやすい、集中力が足りない、ずんぐりと太り気味、顔もどこか全体的に浮腫気味、毛髪がごわごわしてき た、皮膚もかさかさ、子供であれば学力が急に低下してきた、といった甲状腺機能低下を示す症状があるのです。しか し、血液検査のデータは異常なし、だから、「患者さん、それは気のせいですよ」と、すまされてしまうのです。気のせいくら いですめば、まだましなほうで、「それはうつ病です」と告げられ、抗うつ剤を処方されると、事態はもっとひどくなり、薬漬 けの泥沼に落ち込んでしまいます。
おそらく、うつ病と診断されている人たちのおよそ2割、また、更年期障害と診断されている女性の約3割はこの 「ReverseT3 Dominance」ではないでしょうか。慢性疲労症候群と診断されている人の中にも、けっこういると推測されます。 私はこれを「隠れ甲状腺機能低下症」と呼んでいます。あなたが女性で、家系的に甲状腺の病気を患った人がいる場 合、その可能性は、かなり高くなります。もちろん、男性でもかかります。さきほどの、乾癬の患者は男性でした。しかも、家 系的にも甲状腺の問題を患った人は一人もいなかったのです。
肝臓の弱い人、腎臓に問題がある人、糖尿病が進行している人なども、「ReverseT3 Dominance」をおこす可能性が高いの で、注意が必要です。また、神経性食欲不振症の人も、おこしやすいのです。
それと甲状腺の問題を取り扱うときには、甲状腺ホルモンだけに注意していては不十分です。常にコルチゾール、性ホル モン、インスリン、成長ホルモンなどもチェックしておかねばいけません。ところが、甲状腺機能低下の疑いだけでは、多く のホルモン検査が、健康保険のきく範囲でできないのです。そこがネックとなり、正確な診断にいたらず、実に中途半端 な治療になってしまい、効果がないのです。保険がきく治療は、こと甲状腺の問題にかんしては、「安かろう、悪かろう」 に、なりがちなのです。
特にコルチゾール(副腎皮質ホルモンの一種)が正常よりも高い場合、T4からT3への変換が抑制されます。したがっ て、普通、日本の外来で処方されるT4製剤(チラージンなど)が、うまくT3に変換されないのです。また、逆にコルチゾー ルが低い場合、T3のレセプターの数が減り、また細胞内でT3の輸送が邪魔されます。ですから、甲状腺の治療を始め る前に、きっちりと副腎皮質ホルモンの機能もチェックしておかねばならないのです。
現代日本に見られる甲状腺機能低下症の多くは、橋本病とよばれる一種の自己免疫疾患です。これについては、検査・ 治療は確立しており、甲状腺専門医で治療してもらうのが、一番、確実で安全で、かつ保険がききますから安上がりで す。下手に代替療法に走らないほうが賢明です。しかし、問題は、治療を受けているのにも、どうも思わしくない。特に疲 労感が抜けないと感じている人が、かなりの数にのぼることです。こういう時には、必ずコルチゾールについても調べても らってください。
以上のサプリメントは妊娠中や授乳中には、必ず医師と相談してから、摂る、摂らないを決めてください。
注意:大豆製品のとり過ぎに注意してください。豆乳、大豆プロテインのとり過ぎは、甲状腺に深刻なダメージを与えます(しかし、納豆や味噌はまったく問題ありません)。「甲状腺 大豆」と、インターネットで検索してください。国によっては、政府が大豆製品のとりすぎに警告を発している国もあります
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