ベータカロチン アルファリポ酸 コエンザイムCoQ10 メラトニン

本当に正しい知識の羅針盤「ドクター牧瀬のサプリメント講座」


活性酸素とフリーラジカル

活性酸素とフリーラジカル-その5

  1. マスター抗酸化物質、α-リポ酸:100mg/日
    (午前に50mg、午後に50mgと分けてとって下さい)

     70年以上も前の1937年、α-リポ酸はジャガイモから発見されました。
    しかし、これが抗酸化物質として極めて重要な位置を占めるのが認識されだしたのは80年代も終わりからです。
    したがって、日本ですでに出版されているビタミン、ミネラルの本にはこのα-リポ酸はほとんど触れられていません。
    α-リポ酸は体内でつくられるという意味においてはビタミンでもミネラルでもありません。
    しかし、非常にわずかしか人体では産生されず、加齢とともに減少し、また食物から得ようとしても極めて難しいので、積極的にサプリメントで補う必要があります。
    一日にすすめられる量100ミリグラムを食物から摂取しようとすれば、300キログラムものホウレンソウを食べなければいけません。

     今まで述べたビタミンC、ビタミンE、セレン、ラクトフェリン、β-カロテンは一つのチームとして、相乗的に抗酸化作用を発揮しますが、その相乗効果をさらに高めてくれるのが、このα-リポ酸なのです。
    特にビタミンC、ビタミンE、CoQ10、グルタチオンなどのリサイクルにあたり、α-リポ酸は中心的役割を果たします。
    最も際だって大切なことは、α-リポ酸が水溶性であると同時に脂溶性であるということです。
    この性質により、水溶性であるビタミンCとグルタチオン、脂溶性であるビタミンEとCoQ10といった非常に重要な抗酸化物質がフリーラジカルによって酸化されたときに、それらをリサイクル(還元)して、再び抗酸化物質として体内で使用できるようにしてくれるのです。

    つまり、α-リポ酸の存在で、数多くの抗酸化物質が一つのネットワークの一員として能率的に働いてくれるわけです。
    グルタチオンは細胞内に最も多く存在している大切な抗酸化物質ですが、α-リポ酸をとることによって、グルタチオンのレベルが30%も増えるといわれています。
    CoQ10はビタミンEをリサイクルしてくれますが、α-リポ酸はこのCoQ10をリサイクルします。
    また、何らかの理由でビタミンEが欠乏しても、α-リポ酸がその不足を補ってくれることが実験で確認されています。
    つまり、重要な抗酸化物質のネットワークの中心的役割を果たしてくれるのです。
    このantioxidants network(抗酸化物質ネットワーク)という概念は、カルフォルニア大学バークレイ校のレスター・パッカー博士によって提唱されています。興味のある人は「The Antioxidant Miracle」 Lester Packer, Ph.D. & Carol Colman著John Wiley & Sons, Inc. 出版を読まれたらいいでしょう。
    素人向けに易しく書かれています。最近は日本語訳もでています。

     水溶性、脂溶性の抗酸化物質をリサイクルしてくれるだけではなく、α-リポ酸それ自体、強力な抗酸化作用を有していますので、今までに述べたビタミンC、E、セレン、腸溶性ラクトフェリン、β-カロテンと同じように、心・血管系の病気、白内障、老化の予防、免疫系の強化に非常に役立ちます。
    また特に糖尿病から由来するさまざまな末梢神経の病変には昔からドイツで使用されています。
    放射線による細胞の損傷を最も効率的に予防し、また回復させてくれる物質は、このα-リポ酸だといわれています。
    また、肝機能を活性化させ、人体に蓄積する有害物質の解毒を促します。
    α-リポ酸の権威であるバークソン博士の著書「The Alpha Lipoic Acid Breakthrough」の序章に、毒キノコによる4人の瀕死の患者を博士がα-リポ酸で救ったエピソードが書かれています。
    毒キノコで肝機能が著しく侵され、あとは死を待つのみという4人が、4人とも奇跡的に完治するのです。
    これは1970年代の終わりの話です。

     さらに特記すべきことは、遺伝子の発現の調節にも、このα-リポ酸がたいへんに役立っていることです。
    ヒトゲノムの解析は完了し、多くのがん遺伝子がわかってきています。
    しかし、たとえあなたが肺がんの遺伝子を持っていたとしても、それが必ず将来、肺がんになるということを意味してはいません。
    その遺伝子が発現し肺がんを惹起するには環境要因が深くかかわりあっています。
    たとえば喫煙するかしないかです。禁煙を実行している人は、肺がんの遺伝子を持っていたとしても肺がんになる確率は、喫煙する人よりずっと少ないでしょう。がんのみならず他のさまざまな病気…おそらく外傷・怪我、細菌やウイルスによる以外のほとんどの病気…についても同じことがいえます。
    細胞質には核因子カッパB(NFーκB)という一種のタンパク質が存在し、普通はおとなしく細胞質内に止まっているのですが、フリーラジカルなどによって活性化されると、核に移動してDNAと結合し、本来なら発現させてはならない遺伝子まで発現させてしまうのです。
    それを阻止する作用が、抗酸化物質の中でも、α-リポ酸が最も強力であるといわれています。

     サプリメントからのα-リポ酸は体内に長く止まることができないので、朝夕と二回に分けてとって下さい。
  2. 見過ごされていた抗酸化物質、CoQ10:50~150mg/日

     コエンザイム(補酵素)Qともよばれ、人体のあらゆる細胞に存在し、エネルギー産生に深くかかわっています。
    それがゆえに、最も多く含有されている場所は、細胞の電力発電所とよばれるミトコンドリアです。
    CoQ10は厳密な意味でのビタミンではありませんが、食物から(あるいはサプリメントから)摂取しなくてはならないとう点で、ほぼビタミンと同じ類と考えていい抗酸化物質です。
    特にビタミンEをリサイクルしてくれますので、抗酸化物質ネットワークの一つのメンバーとして最近その重要性がとみに認められてきています。
     1957年に牛の心臓のミトコンドリアから分離され、翌年、実験室での合成に成功しました。これはアメリカでの話ですが、1960年代に日本は世界にさきがけて最も多くこのCoQ10を研究し、現在では40あまりの製薬会社がそれぞれのブランド名で医療機関に販売しています。
     特に心筋症、高血圧、歯肉炎に、効果があり、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(あの車椅子の天文学者ホーキング博士がわずらっている病気)といった脳神経系の病気にも有効であるという研究がなされています。免疫系を活発にし、がんも予防してくれます(特に乳がん)。また精子の運動能力を高めてくれますので、男性不妊にも効果があります。精子を優秀な「泳ぎ手」にしてくれるのです。若返りにも効果があります。
    生体組織中ではCoQ10は、還元型(ユビキノール)の方が酸化型(ユビキノン)より多く存在します。8割以上が還元型です。
     したがって、CoQ10のサプリメントを購入する場合、表示によく気をつけ、ユビキノール(ubiquinol)を主成分としているものを探してください。還元型の方が8倍も効果的ですから。

     また、CoQ10は体の中でもチロシンというアミノ酸からわずかですが合成されますが、それにはビタミンB6が必要です。したがって、ビタミンB群のサプリメントも補ったほうがいいでしょう。
     また、特にスタチン系の抗高脂血症剤(抗コレステロール剤:メバロチン、リポバス、ローコール、リピトール、リバロなど)、スルフォニルウレア系血糖降下薬(オイグルコン、ダオニール、アマリール、ブタマイド、アベマイド、ジメリン、デアメリンなど)、三環系抗うつ剤(ノリトレン、アモキサン、イミドール、トフラニール、トリプタノール、スルモンチール、アナフラニール、アンプリット、プロチアデンなど)を服用している人は、CoQ10が不足してきます。ですから、積極的に補う必要があります。
     「The CoenzymeQ10 Phenomenon」という本がKeats Publishing, Inc.「THE MIRACLE NUTRIENT COENZYME Q10 」がBANTAM BOOKS、「all about coenzymeQ10 」がAvery Publishing Group からそれぞれ出版されています。このサプリメントを理解するには便利な本だと思います。日本の家庭医学書コーナーに、CoQ10に関する本が見当たらないのは、実に不思議な気がします。
  3. 抗酸化剤としてのメラトニン

    この物質は、脳のほぼ真ん中に位置する第三脳室の上壁最後部にある松果体という器官から分泌されます。
    1950年代アーロン・ライナーによって25万頭のウシの松果体を使って発見されました。しかし血中濃度があまりにも微量であるため、当時の技術ではほとんど手がつけられず、ラジオイムノアッセイが開発され、1970年代後半から本格的な研究が進みました。
    6~7才をピークとして、以後年令とともに少なくなっていくホルモンです。
    メラトニンの欠乏は先に述べたエストロゲン・ドミナンスにつながります。
    メラトニンは一時、若返りのホルモンとしてブームになったことがあります。また、時差ぼけ対策、あるいは睡眠薬として、とられることが多いのですが、最近は抗酸化剤・抗炎症剤としての作用にも注目されています。
    ビタミンCやビタミンEを服用するような感覚で、抗酸化剤・抗炎症剤として毎日とっている人が増えてきています。私もその一人です。
    メラトニンの抗酸化作用はビタミンEの2倍といわれています。血液脳関門を通過し、水溶性であり、かつ脂溶性でもあり、脳において重要な抗酸化物質として働いていると推測されます。脳では、その活動によって常に活性酸素ができていますから、メラトニンは脳を保護するには、なくてはならないものでしょう。
    かつて、メラトニンは脳の松果体でのみつくられていたと考えられていたのですが、その研究が進むにつれて、人体のあらゆる器官でもつくられていることがわかってきました。特に腸では、松果体でよりも500倍も多く生産されています。
    おそらく、腸は人体の中で最も酸化ストレスを受けやすい器官だからでしょう。じかに、食物と触れるのですから。
    非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)による胃壁のダメージから守ってくれます。
    また、逆流性食道炎にも効果があります。当然、脳に対するあらゆるダメージからも脳を保護してくれ、また、アルツハイマー病からくる認知障害も改善します。心血管系にも保護的に働き、心筋の作用も強くする働きが確かめられています。
    またがんにかかり、その再発予防のためには、毎日20mg以上をすすめている医者は多いようです。
    特に性ホルモン依存性のがん、例えば、前立腺がん、乳がん、卵巣がんなどにはすすめられます。
    しかし、血液系のがんにはとらないほうが無難です。また、メラトニンは膀胱の容量を用量依存的に増やしますし、夜間の尿生産量を少なくするため、夜間の頻尿のためにしばしばトイレに行き、目をさまさなければいけない人にもいいでしょう。また、メラトニンには亜鉛の血中濃度を正常化する働きがあります。松果体は光に敏感に反応し、光の量が増えるとメラトニンの分泌を減らします。したがって、部屋のスイッチのありかを知らせるためにスイッチの横についているほんのわずかな光源も本当は無くしてしまった方がいいのです。黒いシールドで隠すことです。
     またビタミンB6は、トリプトファンからメラトニンの生合成される過程に必要ですから、ビタミンB不足にならないようにビタミンB群をサプリメントから補うことがすすめられます。
    特に精神的な疲れを感じるようなときには、ビタミンB群とメラトニンを就寝前に服用すると、翌朝、非常にすっきりと疲れがとれている感じがします。ぜひ、試してください。
    睡眠薬の代わりではなく、抗酸化と若返りを目的として毎日とるのであれば、就寝前20~30分に0.3~1mgほどが適切です。
    睡眠薬のためであれば、3~10mg。
    しかし、睡眠薬としては、けっこう慣れ(耐性)が生じやすいので、できれば週に2回までにしておいたほうがいいでしょ う。
    アスピリンを摂ると、メラトニンの産出を非常にそこないます。血液凝固を防いで、血液をサラサラにということでアスピリンを摂っている人はずいぶんおられますが、気をつけてください。消炎鎮痛剤もそうです。また、その他、ある種の抗不安薬、抗うつ剤、それに降圧剤(利尿薬、ベータブロッカー、カルシウム拮抗剤)、カフェイン、アルコールなどもメラトニンの産出を阻害します。逆に、バナナ、米、大麦などはメラトニンの産出を促します。したがって軽い、夜食というものは睡眠にはいいのかもしれません。
    よく、厳密な玄米菜食主義をすすめる人たちは、夜7時以降は何も口にするなといいますが、こういうストイックな生き方は、かえって健康によくないのかもしれませんね。小生などは、まったくストイックではありませんし、生活がかなり不規則ですから、夜10時過ぎに夕食を摂ることもあります。気分的に満足することもあり、腹をすかして寝るより、よほど熟睡できます。

    メラトニンは日本では入手できませんから、インターネットで外国から個人輸入してください。一か月分、せいぜい千円以下です。
    メラトニンに興味のある人は、「驚異のメラトニン」ウォルター・ピエルパオリ、ウイリアム・リーゲルソン著が「保健同人社」から翻訳で出ていますので、読まれたらいいでしょう。監訳は「バカの壁」で有名な養老孟司先生です。

    以上、月桃加工食品(JIPNAG Ginger® )、β-カロテン(ミックスタイプ)、腸溶性ラクトフェリン、ビタミンC、ビタミンE(ミックスタイプ)、セレン、α-リポ酸、CoQ10、メラトニンの9つは、いっしょにとってほしいものです。
    単独でとるよりも、お互いが相乗しあって、活性酸素・フリーラジカル対策に、素晴らしい効果を発揮します。
    しかし、活性酸素・フリーラジカルを除去するのはこれら9つだけでは決してありません。
    列挙すれば、うんざりするほどのリストができてしまいます。
    どうしても触れておかねばならないビタミン、ミネラル、その他のサプリメントはあとで述べる各々の疾患のところで、書き足しながら進むことにします。