胃・十二指腸潰瘍 その2
以下にそのサプリメントを列挙します。全部を補う必要はありません。特に最初のビタミンCとビタミンUが大切です。予防のためにとっておかれたらいいでしょう。
- ビタミンC:3グラム/日
ピロリ菌に対し抑制的に働きます。
- ビタミンU
ヒトの生命維持に必須の物質ではないので、正確にはビタミンとはいえず、ビタミン様物質といったほうが的確ですが、「抗潰瘍ビタミン」ともよばれています。Uは英語の潰瘍を意味する「Ulcer」の頭文字からとられました。
イオウを含むアミノ酸の一種で、メチルメチオニンスルホニウムクロライド(MMSC)が化学名です。1940年代後半アメリカで、キャベツから発見されました。
胃腸の粘膜の新陳代謝を活発にして、潰瘍の治癒を促します。また胃酸の分泌を抑制するとともいわれています。これを配合した胃腸薬キャベジンコーワはどこの薬局でも売っています。
キャベツの葉を、一回の食事ごとに1枚でも効果があるとされていますが、胃・十二指腸潰瘍の人はもっととってほしいものです。ジューサーでジュースにして飲むくらいの積極性が必要です。キャベツにはビタミンUだけでなく、ビタミンC、ビタミンKも豊富ですから、ぜひ自然のサプリメントとして毎日とって下さい。
(* キャベツは肝機能を高めたり、また、脂肪肝にも効果があります。しかし、キャベツには甲状腺腫の発生を促す物質も含まれています。したがって、極端に多量に、…例えば毎日丸々半個以上のキャベツ…食べたりすることはひかえたほうがいいでしょう。また、当然、甲状腺の病気にかかっている人は注意して下さい)
その他、役に立つサプリメントなど
- 亜鉛
このミネラルは粘膜の傷の修復に必要です。普通は日に15mg/日ほどが適切なのですが、潰瘍治療が目的の場合、1ヵ月目はその3倍(つまり45mg)、2ヵ月目は2倍(30mg)、3ヵ月目に15mgというようにして下さい。
- ビタミンA
これも亜鉛と同様に粘膜の傷の修復に必要です。ただし妊娠中の女性はとらないほうが賢明です。10万IU(1ヵ月目)→5万IU(2ヵ月目)→2万5千IU(3ヵ月目)→1万IU(4ヵ月目)
- 甘草
漢方の最も基本的な薬草です。実に様々な薬効があり、胃潰瘍にも昔から、とられていました。甘い味がします。お茶で飲むのもいいでしょう。ただし、血圧をあげる可能性がありますから、十分に注意してください。通販で簡単に入手できますが、中国産のものには絶対に手をださいないでください。いったい、どんな農薬が使用されているか、見当がつかいないからです。
- ブドウ種子エキス、あるいはピクノジェノール
この二つのサプリメントがもっている抗酸化物質は、OPCs(oligomeric proa nthocyanidins )、
あるいはPCOs(procyanidolic oligomers)
とも呼ばれているバイオフラボノイドです。カテキンが数個つながった構造をしています。強力な抗酸化作用をもちますので、どちらか一つでもいいですから、補って欲しいものです。
- マスティックの木の樹脂
ギリシアのヒオス島にのみ自生する潅木であるマスティックの樹脂がピロリ菌を抑制します。緑茶のカテキン類よりも、特異的にピロリ菌に作用するといわています。歯槽膿漏にも効果があり、5000年前から使われてきました。
ヒノキの香りがあり、古代から樹液を口に入れ噛む習慣がありました。コロンブスはヒオス島を訪れ、アメリカ大陸発見の航海にも、このマスティックをもっていったそうです。私の患者さんにも、服用している人がおられ、けっこう気にいっておられます。錠剤でもあります。Goolgeで検索してください。
- タヒボ(紫イペ、パウ・ダルコ)
がんのサプリメントのところに詳しく書いています。胃・十二指腸潰瘍については、ピロリ菌の発育を抑制する効果があるとされています。
- クルクミン
熱帯アジア原産の植物であるウコン(ターメリックとも呼ばれています)の主成分です。カレー粉のあの黄色い成分だと思っていただいて結構です。アーユルヴェーダ医学で数千年の昔から使用されてきました。特に最近、ある種のがん細胞にアポトーシスをおこすことが確かめられ、がんの代替療法にも積極的に取り入れられています。これもパウ・ダルコと同様に多彩な病気に効果があり、ピロリ菌の発育を抑制します。
ウコンには数多くの種類があり、クルクミンを含んでいる割合が違います。秋ウコンがクルクミンを多く含有しています。またウコンに含まれるアズレンは、抗炎症、抗潰瘍作用もあり、胃・十二指腸潰瘍の人にはたいへんすすめられるサプリメントです。
日本製のものであれば、沖縄産がすすめられます。
カレーライスは刺激が強いの胃によくないというのは古い考え方で、カレー粉はこのクルクミンを含んでいますので、むしろ積極的に食べてください。しかし、普通のカレーに使われているルーには、あまりよくない脂が入っています。したがって、本当は、自宅でカレー粉からつくるのがベストなのですが。
- ニュージーランド産のマヌカハニー
マヌカという木は、フトモモ科の低木で春から夏にかけて白やピンクの花を咲かせます。この花からできた蜂蜜です。昔から原住民のマオリ族はマヌカハニーを愛用してきました。一般に蜂蜜はピロリ菌に対し成長抑制効果を発揮しますが、特にこのマヌカハニーは、普通の蜂蜜の8倍以上の効果があります。私はこの独特の味が大好きで、紅茶に入れて愛飲しています。
- アイスランドの苔
北欧では昔から、のどの痛み、風邪、喘息、時には結核、胃炎などの症状をやわらげるために伝統的に使われてきました。このアイスランドの苔に含まれているポリサッカライドの一種にピロリ菌の繁殖を抑制する効果があることが確認されています。また、エイズウイルスの繁殖も抑制します。ハーブ専門店で売っています。
(Antimicrobial Agents And Chemotherapy, Jan.1997, p.215-217)
- ジャガイモジュース、あるいはキャベツジュース
ジューサーがあり、しかも時間に余裕のある人は、次の二つのジュースを飲んで下さい。
ジャガイモジュース:ジャガイモ+ニンジン+リンゴ+パセリ
キャベツジュース:キャベツ+トマト+セロリ
(ただし、セロリは冷えのある人、妊娠を希望している人は、使用しない)。
しかし、ジューサーで毎日ジャガイモジュースをつくるのが面倒だという人には、最近、スイスの有機農法の農家から輸入されたジャガイモジュースが売られています。けっこうおいしいものです。
最後に諸注意
タバコは止めて下さい。ニコチンも血管収縮作用があり、気管だけでなく、食道、胃にまで達しています。どうしても吸いたいといわれるのなら、食後のいっぷくにしておいて下さい。空腹時には絶対に吸わないように。
また非常に多くの非ステロイド系の抗炎症剤、たとえばアスピリン(バファリン)、インドメサシン(インダシン)、イブプロフェン(ブルフェン)、ロキソプロフェン(ロキソニン)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)、ピロキシカム(フェルデン)などにも胃粘膜を障害する作用がありますので十分に気をつけてください。
牛乳は胃・十二指腸潰瘍によくないのです。これを読んで驚く人がいるかもしれませんが、牛乳は胃酸の分泌を促しかえって逆効果なのです。なるほど一時的には胃・十二指腸潰瘍からくる痛みを抑えてくれるかもしれませんが、結局は胃酸分泌が増え、悪化させることになるのです。
特に胃・十二指腸潰瘍の人は、牛乳に対しこの傾向が強く、これはもうすでに20年以上前にカルフォルニア大学医学部ロサンゼルス校で証明されています。もし牛乳をすすめるような病院や診療所があれば、他の病気でも、そこには二度とかからないほうが安全です。
またビール、セヴン・アップ、コーヒーも胃酸の分泌をたかめ、胃・十二指腸潰瘍の患者さんは避けたほうが賢明です。一見常識に反するようですが、チリソース、唐辛子といった香辛料や、刺激の強いニンニクは胃酸の分泌をたかめないどころか、胃・十二指腸潰瘍に効果的なのです。
それと三度の食事ではなく、細かく分けて小量ずつ食事はしたほうが、胃・十二指腸潰・瘍にとっていいと考えている人がいるかもしれませんが、これは間違いです。逆効果です。もっとも、一度に大量に食事をするのもいけません。したがって、普通どおりに食事はすればいいということになります。
ここに述べたことは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントをとったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。

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