
6. ストレスについて
ストレスに応じて副腎皮質からアドレナリンが分泌されます。
人生にストレスはつきものですから、アドレナリンがなければ人は死んでしまいます。
しかし、血中にアドレナリン過剰の状態が続くと、がん細胞のアポトーシス(自然死)を促す「BAD」(BCL-Antagonist cell death)と呼ばれるタンパク質を不活性化する酵素が活性化され、がん細胞が増え続けるのです。このことは、アメリカのWake Forest大学のGeorge Kulik博士が、乳がんと前立腺がんについて確かめています。
しかし、このようにアドレナリンによってアポトーシスが阻害されることがはっきりとわかっているがんは、すべてのがんのせいぜい5~10%です。
したがって、今まで、ストレスとがんの関係について証明しようといくつも研究が行なわれてきましたが、明確な結果はでてきていないのです。いいかえれば、ストレスと高血圧、あるいは喫煙と肺がんの関係ほどの因果関係はみつけられなかったということなのです。
10数年前のイギリスの医学誌に発表されたものによると、乳がんを患った患者の過去五年と、良性の腫瘍を乳房に患った患者の過去五年を比較したところ、人生における苛酷な出来事(例えば家族の死や、離婚)に有為な差はなかったとしています。
第二次世界大戦に参加した日本や欧米のがんの発生率は、当時と比べると、平和な今のほうがはるかに高くなっています。どんな見方をしても、当時のほうがストレスはひどかったと考えられますが。
しかし、ストレスほど個人的なものはありません。疫学的統計では決して処理できない部分があります。
親の死よりペットの死のほうが、本人にとっては重大なストレスになることさえあります。女房に逃げられるより、部下の突き上げの方がストレスになることは、おそらく大いにありえます。うるさい女がいなくなって、せいせいしたが、会社へ行くのがたまらなく憂うつであるといったケースです。
そして、これは非常によくあることですが、乳がんを一度わずらった女性が10年は再発もなくうまくいっていたのに、親が心筋梗塞で倒れ、その看病に奔走しているうちに、再発するというようなケースです。
私は、過度なストレスは、はやり密接にがんに関係すると考えています。
人が良すぎる人ほど過度なストレスを抱え込む傾向があります。一緒に住んでいない親が脳梗塞で倒れても、亭主の母親だったら、アタシ、悪いけど、仲よしさんと杉良太郎の公演を見に行きます、あんた一人で見舞ってね、アシカラズといったほうが長生きしそうです。
ここまで極端でないにしろ、ある程度、悪人になるほうが健康によいかもしれません。責任感がなく、ちゃらんぽらんで、おまけに人を人とも思わない傍若無人さは、ここだけの話ですが、健康への秘訣かもしれません。
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