うつ病(鬱)デプレッションに効くサプリメント

本当に正しい知識の羅針盤「ドクター牧瀬のサプリメント講座」


うつ病

次に「うつ」に対処するサプリメントを列記しますが、もし、あなたが病院にかかっており、すでに抗うつ剤を 服用している場合、絶対にその薬を急に止めてはいけません。必ず担当医師と相談してください。

以下のサプリメントを全部同時にとってはいけません。まず、最初は1)~7)くらいから始めてください。それで、だめなら、じょじょに8)以下を足してください。

  • JIPANG Kokoro

    もともと、外国人、特にうつ病の多いアメリカ人を対象にしてつくったので、ローマ字の名前になっています。
    このサプリメントはクワンソウ月桃の二つの自然なハーブのミックスです。クワンソウはアキノワスレグサとも呼ばれる、ユリ科ワスレグサ属の多年草の一種です。英語ではDaylilyと呼ばれていますが、それは花が一日しか咲かないので(実際には二、三日)、この名前がつけられてということです。ワスレナグサと混同されやすいのですが、まったく別の植物です。今日、ワスレグサは世界中で栽培されいますが、このサプリメントは沖縄に自生するクワンソウを使っています。
    昔から沖縄では、クワンソウの葉を煎じてお茶として飲んだり、根は味噌汁や炒めものに使われてきました。沖縄の人々は太平洋戦争時、不安を休めるためにもしばしば愛飲しました。
    昼には気分をリラックスさせ、夜には眠りを深くする作用があります。最近の研究では、脳全体のセロトニンのレベルを増やし、扁桃体、海馬、線条体におけるセロトニンのターンオーバー率を下げます。つまり、今はやりの抗うつ剤、パキシル、ルボックス、ジェイゾロフなどの選択的セロトニン再吸収阻害薬(SSRIs)と同じような働きをするのです。
    しかも、自殺企図、攻撃性の増大、不眠、振戦などといった副作用なしにです。
    夜にはクワンソウはメラトニンの分泌を促し、深い眠りを誘ってくれます。被験者17人という小規模な治験ですが、 クワンソウの乾燥した葉を2週間、夜間に摂ってもらうと12人(70.5%)の被験者に、メラトニンの著明な増大が観察されました。
    また、このサプリメントの3分の1は月桃ですが、月桃にはフラボノイドの一種であるケルセチンが多く含まれています。
    フラボノイドの多くは血液脳関門を通らず、脳の中に入っていけないのですが、このケルセチンは例外で、それを通過し、脳に入ります。
    脳の視床下部は、ストレスに反応し、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)を放出します。さらに、それは脳下垂体から、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促し、そして、そのホルモンは副腎皮質からコルチゾール(いわゆるストレスホルモン)の分泌を促します。つまり、「ストレス → CRF → ACTH → コルチゾール」という軸があるのです。ケルセチンは「CRF → ACTH」のところで、その作用を弱める働きがあることが、つい最近の研究でわかったのです。言いかえれば、ケルセチンはストレスがかかっても、コルチゾールの余計な分泌を抑制してくれるのです。
      Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2010 Aug 16;34(6):955-60. Epub 2010 May 3.
    また、月桃に多く含まれるクロロゲン酸は抗不安作用を示します。
    J Neurological Sciences Vol 262, Issue 1, 77-84 (15 Nov. 2007)
    したがって、このクワンソウと月桃のブレンドは、うつ、不安、不眠といった症状の改善に非常に役立つのです

  • 腸溶性ラクトフェリン(600~1200mg/日)

    ラクトフェリンは脳内の快楽物質エンドルフィンといった内因性オピオイドの産生を高めますので、まず、これを試してください。オピオイド(opioid)は、アヘン(opium)に、「――のようなもの」を示す「-oid」がついてできた言葉で、アヘン様のもの、つまり、モルヒネ様物質の総称を意味します。

    アヘンはみんさんがご存じのように多幸感や恍惚感を起こさせます。うつの状態にあるときは最高の物質です。
    しかし、嗜癖性があり、危険で、最後には人間を廃人にしてしまいます。しかし、脳自体がつくる内因性の快楽物質は、嗜癖性があるものの、必要に応じて分泌されますので、安全なのです。しかも、いかなる薬と併用してもかまいません。抗うつ剤といっしょに服用しても安全です。特に就寝前に多めにとってください。

    注意してほしいのは、ラクトフェリンは必ず腸溶性でなくてはいけないということです。ラクトフェリン入りのヨーグルトなど何の役にも立ちません。また、最近はメタボリックシンドローム用に、ヒハツという一種の香辛料を入れたラクトフェリンが販売されていますが、長期にわたってとった場合、ヒハツがうつにどのような影響を与えるか検証されていません。ですから、単純に腸溶性ラクトフェリンだけがいいのです。もし、探し出せなければ、私の沖縄の研究所で販売している「ドクターズ・メガラクトフェリン」がいいでしょう。098-963-8871、で聞いてください。

  • ビタミンB群

    脳の健全な働きには、ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、葉酸、ビオチン、すべて必要です。これらがすべて入っているB-コンプレックスのサプリメントをとってください。Balance B-50 という商品名のサプリメントがてごろでしょう。
    ビタミンB群の中でも特にB6は重要です。うつ病はセロトニンが欠乏しているということで、選択的セロトニン再吸収阻害剤が開発されたわけです。そのセロトニンは、アミノ酸の一種であるトリプトファンから、次のように代謝されて、できます。
    トリプトファン → 5-HTP(5ハイドロオキシトリプトファン) → セロトニン 5-HTPからセロトニンに変換されるには、アミノ酸脱炭酸酵素が必要です。その酵素がうまく働くには、補酵素としてピリドキサール酸(つまりビタミンB6)が必要なのです。

    セロトニンは血液脳関門という、いわば関所に止められ、脳の中に入っていけません。しかし、トリプトファンやB6はこの関所を通過します。そこで、セロトニンを増やすためには、トリプトファンやB6を補えばいいという理屈です。
    したがって、トリプトファンや5-HTPのサプリメントも、「うつ」対策に、一般には推薦されています。しかし、実際にはあまり効かないというのが私の印象です。
    トリプトファンや5-HTPを数十人の患者さんに試してもらったのですが、さほど効果はありませんでした。それに、トリプトファンや5-HTPは特に心臓の弁に問題のある人、それに強皮症(膠原病の一種で、読んで字のごとく皮膚が固くなり、最悪の場合、内蔵まで固くなり、死の転帰をとることがあります)の人は避けたほうがいいからです。
    しかし、B6なら問題はありません。もっとも、B6は、ごくまれにうつ症状を悪化させることがありますから、その点を注意してください。また、特にパーキンソン病患者さんは、医師と相談のうえにとってください。また、乳の出を悪くすることがありますから、授乳中の女性は摂らないほうが無難でしょう。

  • ビタミンB12(5000μg~10000μg/日)

    ビタミンB群のサプリメントの中に当然含まれているのですが、一般的にそれだけでは不足です。ビタミンB群をとったうえに、さらにB12のサプリメントもつけたすことをすすめます。
    もし理解のある医者が近くにいるのであれば、ビタミンB12の筋注も効果があります。しかし、「うつ」症状にビタミンB12を注射することに対し、健康保険はききません。それに、そういう治療は、よほどビタミン・ミネラルに精通した医者でないと、頭から拒否されます。

    ビタミンB12はシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メチールコバラミンの3種類ありますが、シアノコバラミン以外、どんなに大量にとっても、あるいは注射でうっても、副作用の心配は皆無です。医学書にはビタミンB12のとりすぎは、巨赤芽球性貧血の診断を誤らせるので、よくないと書かれていますが、そもそも巨赤芽球性貧血なるものは極めてまれな病気で、私は医者を30年やっていますが、未だお目にかかったことがありません。
    また、現実にその患者さんを聞いたこともありません。そのような病気に対する誤診の恐れから、頻繁に遭遇する「うつ」にビタミンB12を大量に使わないというのは、実にばかばかしいことだと思いませんか。
    B12を注射してくれる医者が近くにいない場合、サプリメントから、多い目にとってください。次のビタミンCとは3時間あけて摂取してください。

    5000μgというのは、5mgで、非常に多いので、間違いではないかと疑う人がいますが、間違いではありません。
    日本のB12のサプリメントにはこのような大量のB12はありません。アメリカ製がいいでしょう。私も健康維持のために、5000μg/日摂っています。

  • ビタミンC(3~5g/日)

    このビタミンはサプリメント療法の基本です。この3~5グラムという量は、健康維持のためにとる2グラムより多い目です。しかし、うつの場合は、日に5g以上はとらないほうが無難です。
    壊血病という病気がむかし存在していました。当時は原因が不明でしたが、今ではビタミンCの欠乏でおこることがわかっています。したがって、現在はほとんどこの病気はみられません。
    壊血病の主な症状は出血傾向ですが、その他の一つの症状としてうつがあります。マイルドなうつもビタミンC不足でおこる可能性は否定できません。
    ビタミンCを一度に3g以上摂取するときは、上述のビタミンB12とは3時間以上、時間をあけてとったほうが無難です。
    大量のビタミンCはビタミンB12を破壊することがあるからです。

  • フラックスシードオイル、エゴマオイル、あるいは魚油

    オメガ3系統の不飽和脂肪酸が欠乏し、オメガ6系統の脂肪酸が多すぎると、うつ症状をおこしやすくします。また、オメガ3系統のDHAもいいでしょう。特に脳にDHAは入っていけますから。魚油からの方がフラックスシードオイルからよりも、一般的に多くDHAをとれます。

  • 善玉腸内細菌

    腸は第二の脳と呼ばれるほど非常に脳とつながっています。セロトニンの約90%は腸粘膜のクロム親和性細胞(enterochromaffin cell)に存在します。中枢神経系の視床下部、縫線核、松果体には、たったの2%しか存在しないのです。この単純な事実より、腸の健康を維持することが、どれほど脳の健康に大切かおわかりでしょう。精神科の医者は頭ばかり診て、腸などまったく眼中にないのです。

    いわゆる、プロバイオティックという名で、さまざま善玉腸内細菌が配合されたサプリメントが売られています。問題は、数多くのサプリメントから、最も適切なものを選ぶということなのですが、これは各個人によって、腸内細菌叢(フローラ)がまちまちなので、このサプリメントがいいという決定的なことはいえないのです。
    つまり、とってみて、腸の調子がよかったら、それが、あなたにとっていいサプリメントだということなのです。試行錯誤しかありません。しかし、試行錯誤する価値は十分にあります。
    比較的に多くの人に効果があるのが、ビオスリーという製品です。私のクリニックではこれを処方しています。

  • セントジョンズワート(西洋オトギリソウ)

    ルボックス、デプロメール、パキシル と同じように、セントジョンズワートはセロニトンの再吸収を防ぐ作用によって、落ち込んだ気分を、やわらかく高めてくれると推測されています。
    しかも、そういった選択的セロトニン再吸収阻害剤がもたらす、自殺企図、発疹、動悸、立ち眩み、悪心、嘔吐、血液障害、肝障害、攻撃性の増大といった副作用なしにです。
    一ヵ月ほど服用しなければ効果はでにくいとされていますが、私の体質はどうやらこのセントジョンズワートに対して過敏なのか、すぐにわかります。
    デプレッションを感じる暇がないほど忙しい生活をしていますから、服用する必要はないのですが、何でも試してみなくては気がすまないので試してみると、1日の服用量(これは製品によってちがいますので、ラベルに注意して下さい)の半分でもとると、じゅうぶんにその効能が感じられます。半分でなくて、規定量を服用すると、世界を征服したくなるほどの気分の高揚が、脳の奥深いところからじわじわとわきあがってきます。あまりのみすぎると、何をしでかすかわからないので、めったに服用しません。
    しかし、めったに服用しないという表現は、服用することもたまにはあるという意味です。
    そのめったにとは、特に本を書くときです。本を書くという作業は、孤独でうつで悶々とした作業です。
    作家というイメージそのものも、売れっ子の作家以外は、どこかマイナーで、じめじめしていて、粘着質で、世間を斜めに見ているようで、決して夏の碧空のように爽やかではありません。
    そして、じつに面倒臭い仕事です。どうしても愉快な気分にはなれません。そういうとき、この西洋オトギリソウの力を借りるのです。
    文章がさらさらとほとばしるというわけではありませんが、なんとか苦境を切り抜けて、締め切りに間に合います。サルトルは覚醒剤の一種をかじりながら、あの「存在と無」という大著を書いたといいます。
    私ていどの小市民ドクターは、健康食マニア向けの寄稿記事「雑炊と具」を書くにあたって、セントジョンズワートをちびちびと服用しながらというところでしょうか。
    医者から処方される抗うつ剤はどうしても眠気を惹起することが多いのですが、このセントジョンズワートにはそういうことはありません。眠くなっては、本は書けません。
    副作用は日光に過敏になることがあるということぐらいです。ただし、ジゴキシンなどの心臓の薬、テオフィリンなどの気管支拡張剤、サイクロスポリンといった免疫抑制剤など、そして当然のことながら、他の抗うつ剤とは絶対に併用してはいけません。専門医の指導を仰いでください。また、薫製物のハムやソーセージといっしょにとると、血圧を上げることがありますから注意して下さい。
    服用量は製品によって違いますから、各々の指示にしたがってください。

  • アセチル-L-カルニチン(ALC)(500~1000mg/日)

    この物質は体内でカルニチンから代謝されてきます。血液脳関門を通過し脳に入りますから、特に脳に重要です。脳細胞のミトコンドリアに蓄積した老廃物を除去してくれますので、これが不足すると脳細胞は壊れやすくなります。
    カルニチンは羊の肉に多く含まれます。基本的に、私は肉食をうつの人にはすすめませんが、もし、肉を食べるなら、マトンにしてください。たまにはジンギスカン鍋もいいかもしれません。少なくとも、ビーフステーキよりも。魚であればカツオに多く含まれています。
    うつ傾向のある60才~80才の60人を対象に、日に3gのALCを与えるグループと、プラセーボ(偽薬)を与えるグループに分けて治験したところ、ALCを与えたグループには症状の際立った改善が見られたという研究があります。
    特に「老人性うつ病」という実に曖昧な診断を受けた人は、副作用の多い抗うつ剤を服用する前に、一度、ALCを試すべきです。インターネットで検索すれば、簡単に購入できます。
    私のクリニックでは静脈注射でカルニチンを投与することがあります。うつ症状に顕著な改善効果があります。また、アンチエイジングを希望する患者さんにも、注射しています。

  • 7-Keto-DHEA(50~100mg/日)

    DHEAはデハイドロエピアンドロステロンの略です。DHA(ドコサヘキサエン酸:先述したオメガ3系統の不飽和脂肪酸の一種)と間違わないでください。
    DHEAそのものは、テストステロンやエストロゲンといった性ホルモンに代謝されていき、服用の仕方がけっこうむつかしく、下手をすると逆効果が表れます。しかし、7-Keto-DHEAは性ホルモンに代謝されることがなく比較的安全に摂取することができます。
    脂肪を燃焼する働きがあり、内臓肥満にもあるていど有効です。ただし、甲状腺機能亢進症、前立腺に問題のある人、低HDLコレステロール血症がある人は使わないほうが無難です。

  • テストステロン、プロゲステロン

    もし、あなたの「うつ」がホルモンのアンバランスからくるものであれば(多くの場合、男女ともに更年期障害)、こういうホルモンを補うことによって、魔法のごとく改善します。これについては、更年期障害の欄をお読みください。

その他のサプリメント
カヴァ
カヴァカヴァとも呼ばれています。南太平洋の島々で生育する植物で、彼の地では、その根を水に溶かして飲むのです。 カヴァとは苦いとか渋いという意味だそうです。
欧米人たち肉食人種のデプレッションdepressionと 不安anxietyはよほど深刻らしく、彼らの絶望的な追求はついにヨーロッパから見ればちょうど地球の裏側にあたる南太平洋にまで達したのです。
イギリス、ドイツ、スイス、オランダ、オーストリアではけっこうむかしから服用されていたのですが、最近、特にアメリカで有名になっています。日本の薬局でも見かけるようになりました。

   この熱帯性の植物であるカヴァは、その根にカヴァラクトンという物質を含んでいます。これは数種類の成分から複雑に構成されており、まだ、はっきりとはどんなものかわかっていません。
どんなものかわかっていないのに、人にすすめるとはなんたる無責任な医者だと思われるかもしれませんが、漢方薬だってそのほとんどのものが厳密には何だかわかっていません。
ただ、歴史的に長期にわたり多くの人々によって使われてきたから厚生労働省は医薬品として認めたわけで、健康保険が適用できるのです。
決して厳格な二重盲験試験を経て、認められたのではありません。(ほんとのところ、武見太郎、あだ名をけんか太郎とよばれるすご腕の、もと日本医師会のドンの、よくいえば健闘、悪くいえばごり押しで、さすがの厚生労働省も認めざるを得ないようになったのですが)。

  そういう意味では、3000年にわたり南太平洋でブドウ酒のように飲まれていたカヴァは、安全性は漢方薬以上なのです。彼らは宗教儀式、結婚式、人をもてなすとき、あるいは昼休みのひとときといったカジュアルなときにも飲みます。リラックスでき、かつ社交的にもなり、みんな仲良く和気靄々、take it easy、フラダンスでも踊りましょうかと雰囲気になってしまいます。南洋の人々に、しかめっ面した人はいません。いても、歯医者の待合室くらいです。

 作用機序は二つの説があります。一つは、大脳の奥深いところにある辺縁系という一つのシステムの中心的役割を果たす扁桃体(口の奥にある扁桃腺ではありません)に作用して、ヒトをくつろがせるという説。
この辺縁系はヒトの感情や本能に最も深くかかわっているとされています。しかし、どのようにカヴァラクトンが作用するかは今後の研究に待たれています。

もう一つの説は、神経伝達物質であるGABA(ガンマアミノ酪酸)を神経のレセプターにもっと受け入れられやすくするという説明。GABAがレセプターにくっつけばくっつくほど、ヒトはリラックスします。
冗談みたいですが、KAVAがGABAに作用するというわけです。しかし、これも詳しいことは不明です。実際、わからないことばかりなのです。
医学の中でも特に脳の研究は遅れています。テロメアを操作しヒトが永遠の生命を獲得してから数千年をかけても、未知の部分を残していることと思われます。しかし、今はわからなくてもいいのです。要するに安全で効けばいいのですから。

 カヴァはどちらかといえば、デプレッションより、不安に効くのです。もっとも、デプレッションと不安はたいていの場合、オーバーラップしており、デプレッションの3分の2には不安がつきまとっているといわれます。
ただ、不安には、たとえわずかであっても未来という漠然としたものに対する怖れ、つまり時間の要素が混入していることがあります。
カヴァを飲んでも時間が止まるわけはありませんが、敏感な人は「今、ここ、現在にいる」という感覚が増し、もう明日のことは明日でいいじゃないかということで、リラックスできるそうです。
しかし、私の体質はこのカヴァには非常に鈍感らしく、セントジョンズワートの場合とちがって、規定の2倍量をとっても、「別に、どーってこと、ないなー」です。
製品によってちがうのかと思い、三種類ほど試してみても、あまりピーンときません。3倍くらいのむと、やっと、こういう感覚かということがわかってきます。カヴァには速効性があり、効果を感じるためにセントジョンズワートのように一ヵ月とり続ける必要はないのに、これです。ヒトの体はまさに千差万別なのです。

 意識は清明なのに、リラックスしています。なかなかいい気分です。
これなら、人に優しくなれそうです。長生きできそうです。しかし、精神の高揚は感じられません。ガッツに何かをやり遂げようという気持ちにはなれません。
なんとなく南太平洋の人々のフレンドリーな、ものにとらわれない、のんびりとした、アロハオエーっという感覚です。

「存在と無」を書くためにのむようなサプリメントではなさそうです。「雑炊と具」くらいなら、なんとかという感じです。カヴァはどちらかといえば、不安のほうが比重の大きいときに、とればいいでしょう。

 しかし、長期にわたってとる場合には肝機能のチェックを必ずしてください。副作用として、肝障害が報告されています。
そのため、最近は日本、欧米ではカヴァのサプリメントは販売されていません。この副作用は、専門家によると、カヴァそのものの副作用ではなく、カヴァのサプリメントをつくるときに、悪質な業者が手を抜いたために、不純物がまじり、そのために引き起こされたようです。したがって、自然に生えているカヴァを入手し、煎じて飲むしかないのですが、南太平洋にまでいかなくては現実には無理ですね。非常に残念な気がします。

SAMe(S-アデノシル-Lメチオニン)
この物質は体内でメチル化という非常に大切なプロセスに深くかかわっています。また、神経伝達物質であるエピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、それにセロトニンなどの適切な代謝にも不可欠なのです。
また、中枢神経の細胞に重要な働きを持つ、特にホスファチジルセリン(phosphatidylserine:PS)の生産を促します。普通、PSはレシチンなどのサプリメントに含まれていますが、ごくわずかです。
PSは神経細胞膜においてエネルギーの出し入れや神経伝達物質の放出やシナプスの活動等の情報伝達などの神経細胞の機能発現に深く関与しています。
うつを未然のうちに防ぐ効果があります。この物質の構造にはセレンを含んでいますから、セレンもできれば、補っていたほうがいいでしょう。 効果が現われるまで、一日400~800mgの服用で一ヵ月ほどかかります。
これもインターネットショッピングで簡単に入手できます。

ルビジウム(Rubidium)
ルビジウムといった微小ミネラルの不足によってうつ状態が発生することもあります。ルビジウムはフェニールアラニンとチロジンがカテコールアミンを産生させるための酵素を刺激します。カテコールアミンは神経末端から遊離される伝達物質で、脳の生理に極めて重要です。

ウコン
これは沖縄産に限られます。ほかの地域で生産されたウコンにはうつ病を改善するほどの薬効はありません。「私はウコンでうつを治した!」宝島新書。医者自身がひどいうつ病にかかり、それをウコンで治したことが書かれています。ぜひ、お読みください。

D-Ribose:男性の「うつ」にはD-Riboseという、一種の糖がきくことがあります。作用機序はわかりません。しかし、経験的に効くことがあるのです。しかも、この糖は何の副作用もありません。

食事は和風に
むかし、日本には今ほど「うつ」は見かけませんでした。それが、なぜ、こんなに増えたのでしょうか? 
ひとつの理由として、食事が関係してきます。
つまり、最初に、「Ⅱ」現代の病気を解く5つのキーワードで述べた「新世界症候群」です。
つまり、欧米風の食事の乱入です。肉食の過剰です。チーズ、牛乳、ヨーグルトも含めた高タンパク質の食事です。

たいていの高タンパク質の食物は非常にたくさんの種類のアミノ酸を含んでおり、しかも、トリプトファンの割合が少ないのです。すると、そういったアミノ酸どうしで脳への取込みのさいに競争がおこり、炭水化物を主体とした食事よりむしろトリプトファンは脳に到達できず、必然的にその代謝物であるセロトニンの脳内の濃度が低くなるのです。

また、高脂肪の食事はデプレッションにもよくなく、敵意も高めるという研究があります。肉食は、菜食よりずっと多くの脂肪を含んでいます。また、最初のところで述べたホモシステインが、高蛋白の食事から当然それだけ余分に代謝されてきます。これも「うつ」を惹起させる要因になります。

もちろん、気候を含めた風土、それに歴史にも影響されるでしょうが、人間は生物であるかぎり、それを構築しているタンパク質の質が最も基本なのです。向こうの医学関係の雑誌や本を読んでいると、やたらに、depression(うつ)やanxiety (不安) 、という言葉がでてきます。それほど深刻なのです。

 精神分析とキリスト教は日本についに根をおろすことはできなかったといっても大きな間違いではないでしょう。
その理由の説明に、歴史的にどうとかこうとかという難しい議論は無駄です。答えはじつに簡単です。
つまり、単純に、精神分析もキリスト教も日本人には必要でなかったからです。しかし、ヨーロッパではいたく必要だったのです。なぜなら、深刻なdepression(うつ)や anxiety(不安)にかられた人たちには、それらはとても助けになったからです。

キリスト教には懺悔があり、ミサがあり、パイプオルガンがあり、バロック音楽があります。重く冷たくメランコリーな精神のカタルシスを助けてくれる小道具がそろっているのです。精神分析医の役目は懺悔を聴く牧師と本質的には同じです。
ただ前者は神なる絶対者にちょっと席をはずしてもらい、牧師がまとう荘重な衣裳の代わりに似非科学の衣裳をもっともらしくまとい、患者の精神のカタルシスを手助けしているだけなのです。(精神分析は断固として科学ではありません。すぐれた文学であるとしても、似而非なる科学なのです)。
精神分析はキリスト教を必要とする人々の中でしか生まれてこなかったしろものなのです。つまり、ヨーロッパという土壌にはdepression(うつ)や anxiety(不安)という肥料がじゅうぶんに存在していたのです。

   ムンクのあの有名な「叫び」という絵はそれを端的に物語っています。日本の画家がどんなに想像力をたくましくしても絶対に描くことができない、どこか生理的に異質な迫力があります。
あの絵をみていると、フロイトのいいたかったことがすべてわかるような気がします。depression(うつ)や anxiety(不安)は彼らにとって、血や肉の一部なのです。
つまり、食事なのです。

19世紀後半から20世紀半ばにかけのペシミズムに彩られた実存主義哲学の出現は、ギリシア哲学から始まる、あくびがでるように長ったらしい西洋哲学の系譜をたどらなくても、簡単に説明できます。
肉食に戦争という悲劇が組み合わさった産物なのです。キルケゴール、カフカ、ヤスパース、カミュたちに共通する depression(うつ) や anxiety(不安)は、哲学的というよりも生理的です。

つまり一言でいえば、食物のせいなのです。しかし、こんなにあっさりとけりをつけてしまえば哲学科の先生からお叱りをうけるでしょうか。和食に戻りましょう!

注意:もし、あなたがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)と同時に、アスピリン、ボルタレン、インドメタシン、イブプロフェンといった非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用している場合、消化管出血の頻度が非常に高くなります。注意してください。
「うつ」かなと思ったときの手順を最後にもう一度、簡単にまとめておきます。

  • 服用している薬(ハーブ、漢方薬も含める)の副作用をチェック。
  • ホルモンの異常やアンバランスを検査(甲状腺ホルモン、性ホルモンのチェック)。
  • 以上に問題がない場合、今まで述べたサプリメントを試してみる。
  • それでも、改善しないときに、心療内科か精神科にかかる。


ここに述べたことは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。 また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントをとったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。

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