一時、若返りのホルモンとしてブームになったことがあります。

脳のほぼ真ん中に位置する第三脳室の上壁最後部にある松果体という器官から分泌されます。1950年代アーロン・ライナーによって25万頭のウシの松果体を使って発見されました。

しかし血中濃度があまりにも微量であるため、当時の技術ではほとんど手がつけられず、ラジオイムノアッセイが開発され、1970年代後半から本格的な研究が進みました。

6~7才をピークとして、以後年令とともに少なくなっていくホルモンです。睡眠の周期をコントロールし、時差ぼけや不眠症に効果があります。ぼくは海外旅行の際にはいつも携帯し、向こうで、また帰国してからも、数日服用します。時差ぼけ対策に必須のものとなっています。

松果体は光に敏感に反応し、光の量が増えるとメラトニンの分泌を減らします。このホルモンは、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン、生殖に関する種々のホルモン、それに脳内の麻薬とよばれるエンドルフィンなどに影響を与えることは知られていますが、若返りにどれほど役立つか?

さまざまなデータがあり、本当のところ賛否両論でまだ結論が出ていないのが現状です。しかし、いまだメラトニンによる顕著な副作用は報告されておらず、比較的安全に連用することができそうです。

あえて「できそうです」と、書いたのは、30年以上続けて毎日服用している人はまだいないからです。それほど長期にわたって連用した場合、どうなるかというデータはありません。

またメラトニンは強力な抗酸化作用があり、水溶性であり、かつ脂溶性でもあり、脳において重要な抗酸化物質として働いていると推測されます。メラトニンの抗酸化作用はビタミンEの2倍といわれています。

脳では、その活動によって常に活性酸素ができていますから、メラトニンは脳を保護するにはなくてはならないものでしょう。脳の若さは、肉体の若さと密接に関係しています。

アメリカでは医師の処方箋は不要で、薬局のみならず、スーパーでも簡単に買えます。したがってものすごい数の一般市民が、毎日服用しているわけで、日本を含めた諸外国がそのいわば膨大な数による一種の人体実験の結果がどうでるか待っているわけです。

アメリカという国は、薬には実に寛容な国であるというべきか、あるいは、いかなることにおいても責任は自分で取りなさいという精神が行き渡っているというべきなのか、サプリメントを入手するには便利な国であるようです。

しかし、サリドマイドを禁止した国はアメリカだけで、その災禍を免れました(もっとも、多発性骨髄腫治療用にまたサリドマイドは許可されましたが。また最近、その血管新生阻害作用に注目され、他のがんにも転移を防ぐために、処方されるようにもなりました)。

ヨーロッパやオーストラリアでもメラトニンを購入しようとすれば、医師の処方箋が必要です。

ぼくは不眠症の人には、まずメラトニンをすすめています。他の睡眠誘導剤のように翌朝ボーッとした感じが残りません。日本では販売されていませんので、すべて個人輸入になってしまいます。いろんな会社が売っていますが、1ヵ月分、いくら高くても1000円以内です。

したがって眠りをよくして、かつ若返りをもっと期待する人は服用してもかまわないと考えられます。睡眠薬の代わりではなく、抗酸化と若返りを目的として毎日とるのであれば、就寝前20~30分に1ミリグラムほどが適切です。

睡眠薬のためであれば、3~10ミリグラム。しかし、けっこう慣れ(耐性)が生じやすいので、できれば週に2回までにしておいたほうがいいでしょう。

またがんにかかり、その再発予防のためには、毎日20ミリグラムをすすめている医者は多いようです。特に性ホルモン依存性のがん、例えば、前立腺がん、乳がん、卵巣がんなどにはすすめられます。しかし、血液系のがんには摂らないほうが無難です。

またメラトニンは膀胱の容量を用量依存的に増やしますし、夜間の尿生産量を少なくするため、夜間の頻尿のためにしばしばトイレに行き、目をさまさなければいけない人にもいいでしょう。

メラトニンの分泌は光によって作用されますから、就寝時は極力部屋を暗くしたほうがメラトニンはたくさん分泌されます。したがって、部屋のスイッチのありかを知らせるためにスイッチの横についているほんのわずかな光源も本当は無くしてしまった方がいいのです。黒いシールドで隠すことです。

またビタミンB6 は、トリプトファンからメラトニンの生合成される過程に必要ですから、特にビタミンB不足にならないようにビタミンB群をサプリメントから補うことはすすめられます。

メラトニンに興味のある人は、「驚異のメラトニン」ウォルター・ピエルパオリ、ウイリアム・リーゲルソン著が「保健同人社」から翻訳で出ていますので、読まれたらいいでしょう。監訳は「バカの壁」で有名な養老孟司先生です。

ここまでホルモンに関係する若返りについて述べてきましたが、ここからは他の角度からせまってみようと思います。

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