
まずDHEAはデヒドロエピアンドロステロンの略であり、不飽和脂肪酸の一種DHA(ドコサヘキサエン酸)ではないことに注意して下さい。
副腎、精巣、卵巣でコレステロールは次のように代謝され、最終的には、男を男たらしめるテストステロンや、女を女たらしめるエストロゲンに変化していきます。その途中にできてくるのがDHEAです。
またごく最近の研究によると、脳の海馬錐体細胞層にも一群のステロイドホルモン合成酵素が存在し、エストラジオールが生合成されることが確認されています。アルツハイマー病ではDHEAの明らかな低下が見られます。
DHEAの産出は思春期から徐々に増え、20~24才でピークになり、70才でピーク時の1/4、90才で1/10に減ります。
成長ホルモンと同じような数多くの若返り効果が報告されています。また、1985年にはマウスなどの齧歯類には延命効果があるとも確認されています。しかし、人間にはたして延命効果があるかどうかは定かではありません。
このホルモンはアメリカでは処方箋なして、スーパーマーケットでも簡単に買えます。まるで頭痛薬か風薬のように、テレビで宣伝されていたこともあるくらいです。当然、日本からも2ヵ月分なら何の問題もなく個人輸入できます。
代謝されて、テストステロンやエストロゲンの性ホルモンとして作用するだけでなく、それ自体、種々の若返り効果をもたらすとされていますが、しろうとが勝手に服用するには危険があります。
精力、体力、記憶力、敏捷さ、社交性、意欲を若い時代と同じレベルに取り戻したとしても、前立腺がんや乳がんになってしまっては、何の意味もありません。
アメリカ以外ではどこの国でも医師の処方箋が必要です。日本では普通の医療機関では処方もしてくれません。よほど特殊なクリニックか、あるいは若返りを専門としている保険の利かない美容整形を主体としている病院でしか、医師は処方しないでしょう。
十分な医学知識がないかぎり、はでな宣伝にのせられて、個人輸入をして勝手に服用するのはよした方が賢明です。
Trends in Pharmacological Sciences 18 :447-449(1997)でカナダのMcgill大学の研究者たちは、老化防止にDHEAは効果があるかどうかはまだ不明であり、有効性と安全性が証明されるまでは重大な副作用を伴うことが有り得る薬物として取り扱うべきであると結論しています。
興味のある人のために、「DHEA 驚異のホルモン療法」レイ・サヘリアン著が宝島社から翻訳で出版されています。
またDHEAの二つ前の前駆物質プレグネノロン(pregnenolone)も若返りのホルモンとして、アメリカでは処方箋なしでスーパーマーケットでも購入できます。
特に記憶力を増すといううたい文句で売られていることがありますが、十分な医学知識がないかぎり、はでな宣伝にのせられて、長期にわたって連用するのは問題があります。これもDHEAと同じように慎重に扱われるべきものです。
もし、どうしてもこういったホルモン系のサプリメントを摂りたいのであれば、7-Keto-DHEAというサプリメントにして下さい。これであれば、性ホルモンに変換されることがありませんので。
しかし、これも摂り過ぎると甲状腺機能に影響を与えますから注意してください。
若いということは、いいかえれば精腺の活動が旺盛であるということで、この旺盛さを人為的に60代、70代、80代とずっと保持させるということは、そこに何らかの無理が生じるのは当然のことかもしれません。
したがって他のがんはともかくとして、特にホルモン依存性の前立腺がんや乳がんの発生率は増えるのではないかと懸念されます。しかし必ずそうであるというデータは今のところそろっていません。
逆に免疫の力が強くなるので、むしろがんは減ると主張する学者もいます。そのへんのところが、こういったホルモン療法では未解決なのです。
最後に、代謝図に注意してください。
テストステロンやエストロゲンといった性ホルモンができてくるには、もとになるコレステロールが必要であることがおわかりでしょう。現代はコレステロールが眼の敵のように悪視されていますが、それは間違いなのです。若返りには適度なコレステロールが絶対に必要なのです。
メタボリック・シンドローム撲滅といった愚かな狂言にのせられて、コレステロールを下げるために、コレステロール下降剤を服用すると、てきめんに若さを失っていきます。これに関しては、「症状別サプリメント・クリニック」の高脂血症のところをお読み下さい。
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