ドクター牧瀬のアトピー性皮膚炎完治療法ガイド


4)脂肪

ぼくたちは毎日いろんなかたちで、さまざまな脂肪を食事からとっています。

肉、鳥、魚、大豆、サラダドレッシングといったはっきり目に見える食物からも、またポテトチップ、クリームチーズ、チョコレートなどに含まれている目には見えないところからも摂取しています。

米や小麦にもわずかですが含まれているのです。脂肪はグリセリン1分子と脂肪酸3分子とが結合したものですが、その脂肪酸の種類によって数多くの脂肪が存在します。

脂肪酸の詳しい説明は省略しますが、天然に存在する脂肪酸は偶数個の炭素元素をもつ直鎖型をしており、二重結合をもたない飽和型と、一つかあるいはそれ以上の二重結合をもつ不飽和型に大別されます。

そして、不飽和型の脂肪酸は、不飽和結合のある位置によって、オメガ3系列の不飽和脂肪酸とオメガ6系列の不飽和脂肪酸に分けられます。前者のオメガ3系列の不飽和脂肪酸は、魚、フラックスシード・オイル(亜麻仁油)、シソ油、エゴマ油(ゴマ油とは違いますので注意してください。

エゴマはシソ科に属します。シソ油とほぼ同じとみなしてけっこうです)などに多く含まれるα-リノレン酸、後者のオメガ6系列の不飽和脂肪酸はサフラワー油(べに花油)、サンフラー油(ひまわり油)、大豆油、コーン油、コットンシード・オイル(綿実油)、ゴマ油、落花生油、米ぬか油、小麦胚芽油、月見草油、グレイプシード・オイル、ナタネ油などの植物油が多く含むリノール酸です。

オメガ3系列のα-リノレン酸から良性エイコサノイドが、オメガ6系列のリノール酸からアラキドン酸を経て悪性エイコサノイドが代謝されてくる、ということだけ覚えておいて下さい(下図を参照)。これがキーポイントです。

そこで、細胞膜に蓄積されたリノール酸は、ガンマリノレン酸を経てアラキドン酸に変化し、それがさらに悪性のエイコサノイドの方に属するプロスタグランジンやロイコトリエンへと代謝され、人体はわずかな刺激にも過剰に反応してしまうのです。

いいかえれば、最近、特に増えてきたアレルギー疾患は、細胞膜に過剰に蓄積されたアラキドン酸が原因なのです。

つまり、アトピーを治すのに一番大事なことは、オメガ3の油を増やし、オメガ6の油を減らすことなのです。

また、動物性の牛、豚、羊、鶏などの肉、とりわけ反芻胃をもっていない豚と鳥の肉にはアラキドン酸が多く含まれていますので、これらも悪性エイコサノイドの材料を多く提供していることになります。したがって、できるだけ肉食をさけることです。

しかし、現代は、特に国が豊かになればなるほど、西洋的な食事、つまり油と肉を使う料理が 多くなり、オメガ3とオメガ6との比率(オメガ3÷オメガ6の値)が小さくなってきています。

これが、アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症が、急増している大きな原因の一つなのです。国が豊かになり食生活が洋風になるにつれて、アトピーが増えてきているのです。

ちなみに、血液中の オメガ3とオメガ6の比率(ω3/ω6)を日米で比較したとき、日本人の場合、それが1/4、 日系アメリカ人が1/12、アメリカ人が1/16(最近は1/20~30にまでω6が増えたという研究者もいます)で、アメリカの食事が圧倒的にω6系統の脂質、つまりリノール酸などが多いということがわかります。

その分心・血管系を中心としたいわゆる生活習慣病をはじめ、がん、糖尿病、アレルギー疾患、それにリウマチなども日本よりはるかに多く、かつ重症なのです。




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