
ぼくの診療所ではRASTやパッチテストなどの検査を一切行いません。というのは、これをやっても実際の治療成績はほとんど上がらないからです。
7割りのお母さん方は他の病院で行なった食物アレルギーの検査結果を持ってこられます。そして、たいがいがほとんどの食物にアレルギーがあるように出て、何も食べられないという結果になっています。
またハウスダスト、花粉、ダニ、金属にもアレルギーがあり、もう何も食べられない、どこにも住めないということになってしまいます。そんなバカなことはないのです。
アトピーにはアレルギーが関係していることは確かなのですが、現在の日本で行なわれている程度の曖昧な検査にアレルギーがあると出るのと、実際にそれを食べてアレルギー症状が出るのとは大違いなのです。
病院がそういう検査をやる一つの大きな理由は、健康保険がきくので、患者さんの負担にはあまりならず、それでいて病院の収入アップにつながるからです。
しかし、結局はぼくたちの税金からまかなわれているわけで、必要最低限にとどめておくべき検査なのですが。
たしかに、小児の場合、大豆、小麦、牛乳、卵白といった食物に対するアレルギーがあり、そのためにアトピーが発症する例はけっこうあります。
腸管の発育が不十分で、抗原となる物質が抗原性を持ったまま体内に吸収され、血液の中でその物質に対するIgE抗体をつくってしまうのです。
するとそのIgE抗体ができてしまった食物を再度食べたときに、抗原抗体反応がおこり、アトピーが発症するという構図です。
しかし、それはあくまで、腸管が未発達な時期におこることであり、ソバに対するアレルギー以外、中学に入るころには普通は消えてしまっています。
2才まで、特に卵白に対するアレルギー反応を強く示す子供がいますが、徐々に消えていくものなので、あまり神経質にならないことです。そして、よく噛んで食事をとるようにお子さんに注意してやって下さい。
過剰な食物に満ちあふれ、食事まで貪欲にあわただしくとらなければ、忙しいこの現代ではとり残されるという恐れが、こっそりとぼくたちの文化に忍び込んでしまったようです。
このはや食いの習慣はアレルギーのみならず、あらゆる病気に悪影響を及ぼします。
世界中で8億5千万以上の人たちが飢えに直面していることを教え、毎回の食事ごとに美味しいもが食べられることに深く感謝し、その幸せを噛みしめながら、ゆっくりとよく噛んで食事をとるように指導してあげて下さい。
これは道徳の問題であると同時に、健康の問題でもあるわけです。ちなみに、卑弥呼の食事時間は平均51分で、3990回噛んだそうです。
ところが時代が今に近づくにつれて、食事にかける時間が少なくなり、戦前は22分で、1420回噛み、現代人は11分で、620回しか噛まないそうです。
ダニ除去のためのいろんな器具、あるいは、ダニがつかない布団や枕も販売されています。こういったものをアトピー患者さんに不当に高く売りつけ暴利を貪る、いわゆるアトピー業者の宣伝に乗せられて無思慮に購入することはバカげています。
しかし、常識を働かせ、常に生活空間を清潔にしておき、目には見えないダニなどの、ひょっとするとアレルゲンになるかもしれないものをできるだけ少なくすることは、当然心がけておくべきことです。
特に男性のヤングアダルトの独身住まい、万年床ではアトピーは改善しません。それに、身のまわりを清潔に保つには、一銭も余分にかからないのですから。
アメリカの自然療法家の本を読んでいると、アトピーの原因となるアレルゲンを調べあげ、それを除去した食事をさせ、アレルゲンフリーの環境に住まわせ、アトピーを完治させることができたと誇らしげに書いているのを散見します。
そりゃ、ごもっともでしょうよと、こちらとしてはいいたいくらいです。
まず、完璧にアレルゲンフリーの住居空間を、この狭い日本でつくりだすことは事実上不可能です。
ぼくがここに述べているアトピー対策は、普通の社会生活を営みながら、しかも、できるだけ安価に実行できる方法を紹介しているのです。そして、アレルゲンを完全に除去した食事は非常に高くつきますし、かつ、この忙しい日本の社会で毎食、毎食、準備できないのです。
温泉療法というのがあります。これを2年続けて完治したという人がいました。どこそこの温泉の成分をパックにしたものを購入し、それを自宅の風呂に入れ、毎日4~5回入浴したということです。当然その2年間、社会生活は営めません。
使ったお金は400万円~500万円です。こういうことができる人は、それをやればいいのですが、ほとんどの人はそういうことはできないのです。
*2年間も毎日、毎日ゆったりと温泉につかっていれば、ストレス・フリーで、かなりの病気も治ると思うのですが。なになに温泉の成分が取りわけ効いたのではないでしょう。温泉療法で荒稼ぎしているアトピー業者さん、真実をいってしまってどうもすみません!
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