ドクター牧瀬のアトピー性皮膚炎完治療法ガイド

最近できた軟膏でステロイドは使われていませんが、そのかわりにタクロリムスという免疫抑制剤が配合されています。一般に使われだしてから20年ほどですので、まだその副作用については未知な部分が多すぎます。

ステロイド軟膏より多彩な副作用がでてくるのではないかと心配です。ぼくは患者さんにはすすめません。げんに、プロトピックによる薬疹で、頬に大きく、固い紅斑をつくってしまった患者さんを治療したことがあります。特に日光の当たる顔に使うのはさけたほうがいいでしょう。

しかし、皮肉なことに、顔の赤味をとるには有効なようで、その赤味をとるために顔に塗る患者さんが多いのです。いっておきますが、主成分は免疫抑制剤ですよ!

抗がん剤と同じと思っていいほどの薬です。プロトピックが世にでたとき、ぼくは、現代医学の一種の狂気を感じたものです。たしかに服用させるのではなく皮膚に塗るだけですが、命をとらないアトピーにここまでやるのかと。

しかし、9-3のビタミンB2、B6のところに書きましたように、アトピー患者さんは、顔の赤味で非常に悩むことが多いのです。第三者からみると本当にたいしたことではないのに、もう他人の視線さえ恐ろしいようで、うつむきかげんで会話する人もいます。

そういう患者さんには、将来おこりうるかもしれない副作用の心配より、今ここにある苦しみをひとまず軽くしてあげるために、プロトピックの使用を黙認することはあります。

それでも、顔の赤味のためなら、まずビタミンB2、B6の大量投与を試み、それが功を奏しないときに、最後の手段として使われるべきものなのです。

ただ、健康保険が使える普通の病院では、そういうビタミンの使い方は保険外になってしまうので、患者さんに金銭的負担がかからないように、ビタミンの大量投与は行わないのです。

もっとも、たんに皮膚科医がビタミンB2、B6が顔の赤味除去に効果があることを知らないだけのこともありますが! こちらの方が多いでしょう。

さらに、こういう免疫抑制剤の入った軟膏を使うことをかなり積極的に容認しているアメリカの皮膚専門医に行くツアーまであります。

このツアーを募っておられる主催者ご本人のアトピーが治ったということで、募集されておられるわけですが、アメリカでの治療後は「炎症が時々おこることがあっても、もうステロイドの塗り薬も使うことがなく、画期的なアトピー性皮膚炎のお薬で安全に生涯を普通の皮膚、普通の生活を楽しんでコントロール出来るようになります。」というふうに書かれています。

はたして、そうなんでしょうか?

生涯にわたってというには、せめて数十年は使われてから判断されるべきで、ましてやFDAからも警告を受けているような軟膏を長年使い続けるということは、極めて危ないとしかいいようがありません。ぼくはこの書き方は非常に無責任であると思います。

プロトピックはいずれちょうどサリドマイドのように大きな被害を及ぼしたあとに、やっと禁止されることになるのではないでしょうか。それが、一番、恐ろしいのです。致命的な被害が出たあとでは、もう手遅れなのです。


読売新聞2005年3月12日に次のような記事が載っていました。

アトピー治療薬 発がんの可能性 米食品医薬品局

米食品医薬品局(FDA)は十日、藤沢薬品工業が開発したアトピー性皮膚炎の治療 薬「プロトピック」(一般名・タクロリムス)が発がんに関連している可能性があるとして、他の治療が効かない場合に限って短期間で使うよう、医療関係者に呼びかけた。

動物実験でがんが見つかり、使用量が多いほど危険性が高いことが確認されたためで、患者の中には少数のがんの報告があるという。プロトピックは、免疫抑制剤として開発された成分を塗り薬にした新薬。

ところが、プロトピックは健康保険が適用されるのです。そのおかげで、日本の厚生労働省にあたるアメリカの食品医薬品局(FDA)の以上の警告にもかかわらず、日本皮膚科学会からもおすみつきを得て、日本の皮膚科でどんどん使われ始めているのです。

ちなみに日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎に対する標準治療は、適切なステロイド軟膏の使用と顔の赤みにはプロトピック軟膏の使用のみです。

これだけでよしとするのです。しかし、これだけでは治癒しないから患者は嘆いており、いかがわしいアトピービジネスが跳梁跋扈するのです。

それをアトピービジネスのために、ステロイドによる標準治療が捻じ曲げられたというのは、本末転倒もはなはだしいこと限りなしです。結核に対する、「結核ビジネス」は成功しませんでした。

なぜなら、現代医学が結核を治してくれ、「結核ビジネス」の入る余地がなかったからです。

日本の皮膚科医の最大の欠点は栄養学の知識がないということです。「医食同源」「身土不二」という意味がまったくわかっておらず、皮膚しか見えない皮膚近眼の集団であるということなのです。

そういう人たちの集まりであるがゆえに、日本皮膚科学会お墨付きの治療ではアトピーは決して根治しないのです。

ステロイドの使用をぼくは否定しませんし、ステロイドの使用はむしろ短期決戦式にうまく使えとまですすめますが、それだけでよしとはしません。ぼくなりに副作用のない軟膏や、効果的なサプリメントの組み合わせをつくり出そうと日夜努力しています。

しかし、日本皮膚科学界はステロイドとプロトピックだけとよしとするのです。ステロイドとプロトピックだけでよしとして喜ぶのは、製薬会社だけではないでしょうか?

それでは、製薬会社の太鼓もちにしかすぎません。いったい、何のために大学の皮膚科は存在するのでしょうか? いったい何のために日本皮膚科学会というものが存在するのでしょうか?

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