ドクター牧瀬のアトピー性皮膚炎完治療法ガイド
ステロイド軟膏について

アトピー性皮膚炎(ここからアトピーと省略)の患者さんの最大の関心事はステロイドです。この質問で始まり、この質問で終わるといっても過言ではありません。

したがって、ここではっきりしておきましょう。“ステロイドはアトピーの味方です。”

こういうと、なーんだ、ドクター牧瀬もただのヤブ医者だったのかといって、ここで閉じる人がいるかもしれません。

しかし、最後の最後まで読んでください。あなたの忍耐は必ず報われます。これから述べるアドバイスはあなたの、あるいはあなたの家族のアトピー症状をきっと著しく改善してくれるでしょう。

ステロイドが含有されている軟膏でも、使うタイミングと量さえ間違わなければ、決して危なくはないのです(こういうセリフは、アタシを、オレを、ステロイド漬けにした医者から耳にタコができるほど聞いた!と言うなかれ。最後の最後まで読め!!)。

ステロイドを経口的に服用するのと、皮膚に塗るのとでは、その副作用の現われ方が天と地ほど違います。そこを無責任なマスコミの報道や、無知な自然回帰論者の言動に惑わされて、すべてのステロイド使用がいけないと勘違いしていらっしゃる患者さんが、あまりにも多すぎます。

この誤解に良識あるドクターたちはたいへん迷惑しているのが現状です。治療が非常にやりづらくなったのです。いちいち説明しなければいけません。その分、治療に当てる時間が少なくなってしまいます。

ステロイド外用薬(つまりステロイドの入っている軟膏)を皮膚に塗布して、口から服用したり注射したりして体の中に入れた場合の内科的副作用をおこさせるには、それこそ大量のステロイドの外用をしなければいけません。

デルモベートやジフラールといった一番強いステロイドの軟膏を、べたべたと身体じゅうに2本ほど毎日1ヵ月間塗りたくって、やっとプレドニン5mg1錠の内服と同じほどしか皮膚から吸収されないのです。

したがって、現実には、ステロイドの外用でムーンフェイス(満月様顔貌)、胃潰瘍、糖尿、デプレッションなどといったステロイドの内科的な副作用は絶対といっていいほどおこらないのです。

ステロイドが入っている軟膏で生じる、現実的な副作用は皮膚の炎症と萎縮です。目の回りにステロイド軟膏を使用したために白内障がおこると、記述されている皮膚科の教科書がありますが、仮に理論としては正しいとしても、臨床的事実としては間違いと断言していいほど存在しません。

もっとも、アトピー患者さんが白内障、網膜剥離、角膜潰瘍にかかりやすいのは事実で、ぼくもそれに注意して、定期的な眼科の受診を患者さんにすすめますが、それはステロイド軟膏の副作用とはまったく違った理由でおこるのです。皮膚も目も発生の時期には外胚葉から分化します。

つまり、同じ組織から発生するわけで、詳しい理由は未だに不明瞭ですが、皮膚も目も起源は同じで、活性酸素の悪影響を非常に受けやすいということが一つの理由だと考えられます。それと、顔面がかゆいので目の回りを激しくたたくことにもよるでしょう。

またステロイド軟膏で色素沈着が生じるともいわれますが、これもおかしなことで、本当のところは適切な治療をせず、皮膚の炎症を長期間コントロールしなかったのが原因です。

ステロイド軟膏を長期的に使用すると、皮膚の角化細胞の炎症性サイトカインの一つであるIL-1の作用が増強され、それが皮膚炎おこすことと、線維芽細胞という新しい皮膚をつくる細胞の働きが抑えられ皮膚の萎縮がおこることです。

その結果、ちょっとした刺激で皮膚はたやすく破れ、かゆいこともあって、すぐにかいてしまい、よくアトピー患者さんに見られるように、血だらけになってしまいます。

しかし、これは数ヶ月から数年に渡りえんえんとステロイド軟膏を塗っていればということで、短期間であればまず問題はないのです。

つまり短期決戦の要領でステロイド軟膏は使われるべきなのです。(サイトカイン:多数の異なる細胞に働きかけ、細胞間相互作用をおこすタンパク質)

したがって、再発予防のためということで、症状が治まっている部分にもステロイド軟膏を塗るということは間違っています。

医者や病院としては、ステロイド軟膏を患者さんが使ってくれればくれるほど、たしかに利益になりますから、悪徳医者は、「用心のために」とか、「根気よく」とかいう言葉でもって、えんえんとステロイド軟膏の使用をすすめるところがありますが注意してください。

再発予防のためには、ステロイドの入っていないものを使ってください。

また、これを読んでいる人のなかには、すでに何年もステロイド軟膏を使い続け、皮膚の萎縮や炎症をおこしている患者さんがおられるはずです。

何度も脱ステロイドを試み、リバウンドに苦しめられ、結局はまたステロイド軟膏に頼るということを繰り返してきた人が、重症アトピー患者さんにはかなりおられます。

しかし、あきらめないでください。ここに書かれている食事療法、サプリメント、解毒方法、ちょっとした生活習慣の工夫で、必ず脱ステロイドは可能です。

ぼくがステロイド軟膏を使うのは、逆説的に聞こえますが、より速やかに脱ステロイドを達成するために、ステロイド軟膏をうまく使うということなのです。


注意:脱ステロイド軟膏のためにケナコルト(化学名:トリアムシノロンアセトニド)を筋注する医者がいます。服用するのではなく、注射で打つのですから、もっと危険です。こういう治療を受けると、たしかにステロイドの副作用を恐れなければいけません。

ケナコルトは純然たるステロイドホルモンです。ケナコルト軟膏やケナコルト・ローションは、問題はありません。しかし、注射と軟膏・ローションは天と地以上の違いがあります。そこのところをよく注意してください。

もし、あなたが注射を打たれ、スーッとアトピーがひいてしまったら要注意です。成分にステロイドが入っている危険性があります。医者に問いただしてください。

しかし、ケナコルトを筋注するほどひどい医者は成分を正直に明かさない可能性があります。したがって、他の医者に変えたほうがいいかもしれません。またステロイドが入っているにもかかわらず、ステロイドが入っていないといって使われている軟膏も存在します。

特に中国から入ってくる軟膏やローションには絶対に手を出さないでください。欧米のアトピー専門医にかかるツアーなどでも、よく内容を調べてみると、悪化時にはステロイドを注射するところがあります。

これでは、何のためのステロイド軟膏の脱ステロイドか、とんでもない本末転倒です。

2.危険なアンチ・ステロイド療法→